アラフォー世代には懐かしさあふれる選曲
Title:芹澤廣明 ANIME GOLDEN HITSTORY
「ギザギザハートの子守唄」や「涙のリクエスト」など初期チェッカーズの数々のヒット曲や中森明菜の「少女A」など数多くのヒット曲を世に送り出し、日本歌謡界を代表する作曲家のひとりといえる芹澤廣明。彼は特にアニメソングを数多く手掛けていますが、今回、彼の作家活動35周年を記念して、彼のアニメソングのみにスポットをあてた作品集がリリースされました。彼が手掛けたアニメソングといえば「タッチ」や「キン肉マン」のテーマ曲などアラフォー世代にとってはかなり懐かしさを感じるラインナップとなっており、その懐かしさゆえにこのオムニバスアルバムも聴いてみました。
今回、2枚組のアルバムなのですが、うちDisc1はすべて80年代に大ヒットを記録したアニメ「タッチ」やその派生作品としての劇場盤などに使用された楽曲。Disc2も18曲中9曲が「ナイン」や「陽あたり良好!」などあだち充アニメの作品になっています。そういう意味では若干バランスが悪いように感じないではないのですが・・・。「タッチ」についてはほかに使用された曲を集めた「ベスト盤」もリリースされていますし・・・。
とはいえ「タッチ」をリアルタイムで見ていた世代にとっては、特にDisc1については聴いていて懐かしさで胸がいっぱいになってくるような楽曲が続きます。おそらくアニメを見ていなくてもこの曲は知っている、という方も多いであろう、あまりにも有名な主題歌「タッチ」はもちろんですが、同じオープニングテーマだった「愛がひとりぼっち」や「チェッ!チェッ!チェッ!」、エンディングテーマだった「青春」とかもかなり懐かしく記憶しています。今聴くと、ある意味アニメソングらしい、叙情感やダイナミズムをベタに強調した歌謡曲という印象を受けるのですが、当時、まだ小学生だった私にとっては、「タッチ」に使用された曲というのは非常に大人びた感じがして、とてもカッコいいと感じていた記憶があります。あらためて聴くと、そんな懐かしさがよみがえってきました。
またアニメの挿入歌として使用された「星のシルエット」や「風のメッセージ」などもよくアニメの中で流れてきて非常に懐かしさを覚えます。こちらはAORの要素が強く、洋楽テイストの強いナンバーで、こちらも当時、大人びた雰囲気にカッコよさを覚えた記憶があります。ただ今回はじめて知ったのですが、これらの曲って歌っていたのはご本人様だったんですね・・・。
逆に「キン肉マン」に使用された「キン肉マンGo Fight!」などもリアルタイム世代だった私にとっても非常に懐かしさを感じます。こちらは「タッチ」とは打って変わっていかにもなアニメソング。ただ「タッチ」にしろ「キン肉マン」にしろ、いい意味でわかりやすいベタさが曲の中で表現されており、彼の曲が数多くアニメソングに起用されたのはそこらへんが大きな要因だったのでしょう。
また、彼の書く曲は比較的その影響がわかりやすく、これは初期チェッカーズの曲とも共通するのですが、ロカビリーやオールディーズなど60年代以前のアメリカのロックンロール、ポップスの影響が非常に顕著。また哀愁感強い歌謡曲的な楽曲も数多く書いているのですが、これらの曲に関してもオールディーズからの要素が楽曲の中に混じっており、楽曲の中にどこかあか抜けた要素を感じることが出来ます。この歌謡曲的な要素と洋楽的な要素のほどよいバランスが彼の楽曲の大きな魅力のように感じました。
ちなみにこのアルバムのラストに収録されている「Light It Up!」は今年6月になんとアメリカでリリースされ彼の全米デビュー作となった曲だとか。軽快な打ち込みのラテン風の曲で、特に目新しさもなく、またさすがに御年70歳なだけにボーカルの衰えは隠せませんが、ただ、この年齢になっても新たな挑戦を続ける彼の意欲には感心させられました。
そんな訳で、特にアラフォー世代にとっては懐かしさあふれるコンピ盤。「タッチ」などをリアルタイムで見ていた方にとっては非常に懐かしく楽しめることの出来るアルバムになっていました。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Chasing the Horizon/MAN WITH A MISSION
純然たるオリジナルアルバムとしては約2年ぶりとなる新作。シンセのサウンドで軽快に聴かせつつ、ダイナミックなバンドサウンドを重ねるスタイルが耳を惹きます。基本的には以前からと方向性に変化はなく、楽曲によっては、特に英語詞の曲は「オッ」と思うようなカッコいい曲もチラホラある一方、サウンド的にもメロディー的にも平凡な曲も見受けられ、アルバム全体としては悪くないんだけども絶賛するにはちょっと物足りない、といういつもの感想に。
評価:★★★★
MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly
5 Years 5 Wolves 5 Souls
The World's on Fire
Out of Control(MAN WITH A MISSION x Zebrahead)
Dead End in Tokyo European Edition
クソカワPARTY/大森靖子
オリジナルアルバムとしては4枚目、約1年4ヶ月ぶりとなるアルバム。ほどよく狂った歌詞は相変わらずで、基本的には前作の路線を踏襲した形なのですが、ただアルバム全体としてはいままでの彼女としては薄味。正直言うと、あまりインパクトの強いような歌詞も見受けられず、一番印象に残ったのは歌詞でもメロでもなく彼女の歌声になってしまったような。悪いアルバムではないのですが、「無難」という印象を受けてしまったアルバムでした。
評価:★★★★
大森靖子 過去の作品
洗脳
トカレフ(大森靖子&THEピンクトカレフ)
TOKYO BLACK HOLE
kitixxxgaia
MUTEKI
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事
- 前作同様、豪華コラボが話題に(2019.01.26)
- その「名前」を聞く機会は多いのですが・・・(2019.01.25)
- 「ラスボス」による初のベスト盤(2018.12.24)
- 民謡歌手としての原点回帰(2018.12.23)
- 相変わらずの暑さ(2018.12.22)
コメント