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2018年9月22日 (土)

胸が熱くなるスプリット盤

Title:Ken Yokoyama VS NAMBA69
Musician:Ken Yokoyama/NAMBA69

昨年、2017年の日本のミュージックシーンにおいてもっとも大きなニュースのひとつは、間違いなく約18年ぶりとなるHi-STANDARDのニューアルバムリリースというビックニュースでしょう。90年代の日本のパンクシーンにおいて絶大な人気を誇ったバンド、Hi-STANDARD。特に99年にリリースしたアルバム「MAKING THE ROAD」はミリオンセラーを達成。大きな話題となり、数多くのパンクロックバンドに大きな影響を与えました。

しかし2000年には残念ながらその活動を休止。一時はメンバーの横山健、難波章浩の不仲が伝えられ、実際に2007年には難波章浩のブログ上でハイスタの収益の分配をめぐるトラブルがWeb上で掲載されるなど、その活動再開が絶望視されていた時期もありました。しかし、その後2人の不仲も解消されたようでハイスタの活動も再開し、昨年は待望のニューアルバムのリリースに至りました。

そして今回、なんと横山健と難波章浩のバンド、NAMBA69がスプリットアルバムをリリース。ある意味、一時期の両者の不仲という経緯があり、かつKen Yokoyama名義での活動もNAMBA69としての活動もハイスタ活動休止中に開始された活動であっただけに、ある意味、ハイスタ活動再開以上に胸熱な企画のように感じました。

特に今回のアルバムで印象的なのはNAMBA69の「PROMISES」で、

「We're here!
(Did we really wanna fight?)

We're here!
(Why did we part ways?)」
(訳;僕たちはここにいる!
(僕たち本当に喧嘩したかったのか?)
僕たちはここにいる!
(何故僕たちは別々の道を歩んだんだろう?))

(「PROMISES」より 作詞 AKIHIRO NAMBA、TOSHIYA OHNO)

と、ハイスタが活動休止となり2人が離れ離れになっていた時期の事を歌ったような歌詞になっていますし、またタイトルとなった「PROMISES」も、ハイスタが活動休止になってもハイスタが戻ってくるまでレーベル「PIZZA OF DEATH」を守っていくという「約束」のことだという話もあります。そういう意味でも難波章浩の思いが強く感じられる曲になっています。

本作にはKen Yokoyamaの楽曲が3曲、NAMBA69の楽曲が3曲収録されています。Ken Yokoyamaの曲は「Support Your Local」とHANOI ROCKSのカバー「Malibu Beach Nightmare」もいずれもへヴィーで、よりハードコア志向が強いナンバーに仕上がっています。また3曲目の「Come On,Let's Do The Pogo」は一転して軽快なスカパンクなナンバーに。いずれもハイスタの方向性とは若干違う雰囲気を見せる楽曲になっています。

一方NAMBA69の曲は前述の「PROMISES」もそうですが、メロディアスパンク色の強い楽曲に。タイプ的には比較的、ハイスタに近いものを感じます。もちろん、Ken Yokoyama、NAMBA69どちらの曲もハイスタとは異なるものなのは間違いありませんが、ハイスタの方向性としては、より難波章浩の意向が比較的強いのかな、という印象も受けました。

ちなみにそれぞれの3曲中1曲はカバーとなっている本作ですが、NAMBA69はblurの「SONG2」をカバー。印象的なイントロと、「フゥーフゥー」という印象に残る合いの手がそのまま残っており、原曲のイメージそのままにパンクロックにした楽しいカバーに仕上がっていました。

前述の通り、Ken YokoyamaとNAMBA69の曲が1枚のCDに収録されているだけで胸が熱くなってくるような1枚。内容的にもお互い思い入れを感じられる名曲、名カバーが揃っていました。またハイスタでの活動とは別に、お互いのソロ活動も継続しそうですね。ハイスタの活動を長く続けるためにも並行してソロとして活動を続けるスタイルの方がいいのかもしれませんね。ハイスタ、Ken Yokoyama、NAMBA69それぞれの今後の活動に期待です。

評価:★★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH

NAMBA69 過去の作品
21st CENTURY DREAMS
LET IT ROCK

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