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2018年9月16日 (日)

逝去後20年目のトリビュートアルバム

Title:hide TRIBUTE IMPULSE

ある意味、ブルーハーツと並んでおそらく今、もっとも多くのトリビュートアルバムがリリースされているミュージシャン、hide。今回のアルバムは没後20年にあたってリリースされたトリビュートアルバム。一体何作目だよ!とも思ったりするのですが、今年5月に彼の最期の足取りをたどったドキュメンタリー映画「HURRY GO ROUND」が公開されており、本作はその映画公開にあわせて作成されたといったところでしょうか。

今回のトリビュートアルバムに参加しているのはタイプ的には比較的hideからの影響が容易に想像できるようなロック系ミュージシャンがメイン。西川貴教やACID ANDROID、BREAKERZ、MIYAVIなどが参加しています。カバーも原曲のイメージに沿ったシンプルなカバーがメイン。そのため無難で目新しさはあまり感じられない反面、ファンからすると賛否がわかれそうな「これはちょっと・・・」といった感じのカバーもあまりなく、全体的に卒なくこなしている印象を受けました。

ただ、参加メンバーの中でもっとも意外性があったのがCocco。彼女が「GOOD BYE」をカバーしているのですが、アコギのアルペジオをバックに彼女らしい感情のこもった力強いボーカルで歌い上げており、完全にCoccoの曲として仕上がっている絶品のカバーに仕上がっています。Coccoのファンはもちろんのこと、おそらくhideのファンも大満足のカバーだったのではないでしょうか。

そしてもうひとつ本作の聴きどころが(トリビュートアルバムという趣旨からは少々ずれるのですが)最後に収録されているhideの歌う「HURRY GO ROUND」。今回、はじめて見つかった未発表の音源だそうで、デモ音源なのですが、hideの息吹がそのまま伝わるような生々しいボーカルが収録されており、間違いなくファンなら感涙モノの1曲。ファンにとってはおそらくこの曲を聴くだけで本作を聴く価値はあり、といった感じでしょう。

ほかのカバーは・・・「ROCKET DIVE」をカバーしたDragon Ashはロックバンドとしての魅力を最大限に発揮した疾走感あるロックチューンで、Dragon Ashのバンドとしての実力も強く感じます。西川貴教の「ever free」はエレクトロ・・・というよりもデジロックという表現がピッタリきそうなカバー。良くも悪くも彼らしい、ちょっとベタさを感じるカバーになっています。BREAKERZの「EYES LOVE YOU」は、ある意味今回のカバーの中では良くも悪くももっとも無難で原曲準拠のカバー。ただDAIGOのボーカルはあきらかにhideを意識しており、その点、トリビュートらしい原曲への愛情も感じます。「Bacteria」をカバーしたSEXFRiENDなるグループはアイドルグループBiSHのアイナ・ジ・エンドとMOROHAのUKによるデゥオ。UKのファンキーなアコギ1本でのサウンドが耳を惹き、また、ちょっとベタさを感じるもののロッキンなアイナ・ジ・エンドのボーカルもカッコいいカバーに仕上がっていました。

Coccoやラストのhideなど聴きどころはありつつ、全体的には卒なくまとめた感のあるトリビュートアルバム。おそらくファンにとっても参加ミュージシャンのファンにとってもそれなりに楽しめる内容になっていたと思います。しかし、本当にhideのトリビュート、多いですね。おそらくhideが参加していたX JAPANが、断続的とはいえ未だに活動を続けているため、そこから遡ってhideを好きになるような方が多いんでしょうね。もろ手をあげて絶賛するような内容ではありませんでしたが、十分楽しめるトリビュートアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

XIII/lynch.

名古屋出身のロックバンド、lynch.によるタイトル通り13枚目となるオリジナルアルバム。いわゆるヴィジュアル系にカテゴライズされるタイプのバンドで、楽曲的にはハードコア的な要素も強いタイプ。方向的にはDir en greyやもっとポップ寄りという意味ではthe GazettEと近い感じなのですが、the GazettEよりもさらにポップ寄りになった感じ。悪い意味でヴィジュアル系らしい耽美的なボーカルにベタな哀愁感をたっぷりと塗りたくったメロディーラインが耳につきます。決して悪い内容ではないけれど・・・メロディーはさほど面白味を感じず、ハードコア路線としても少々中途半端。今回はじめて聴いたのですが、おそらく次回作は積極的には聴かないだろうなぁ。

評価:★★★

hameln/おいしくるメロンパン

とにかくユニークなバンド名がまず先に立つスリーピースバンドの3枚目となるミニアルバム。メランコリックさを感じるメロディーラインが魅力的で、所々シティポップ的な要素も感じられる点がユニーク。要所要所にハッとさせられるようなフレーズが登場するなど、その実力を感じさせてくれる一方、肝心のサビについてはちょっと平凡な感じになってしまっているかな。彼ら、まだミニアルバムだけのリリースでフルアルバムをリリースしていないだけに、フルアルバムをリリースした時にどんなアルバムを作ってくるか、非常に楽しみなミュージシャンではありますが。

評価:★★★★

おいしくるメロンパン 過去の作品
indoor

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