川谷絵音のコアの部分
Title:PULSATE
Musician:indigo la End
例のベッキーとの不倫騒動ですっかりヒール的な立ち位置でお茶の間レベルに知られるようになってしまった川谷絵音。いまだにネットなどでは叩かれたりしていますが、正直、彼にもベッキーにも川谷絵音の元妻にも何の関係のない人がなぜあれだけ継続的に叩けるのか不思議に思ってしまいます・・・。もっとも、そんな評判などどこ吹く風。むしろあの騒動以降、ミュージシャンとしての活動は非常に充実したものを感じます。騒動の後にリリースされたゲスの極み乙女。の作品は傑作が続いていますし、indigo la Endについても前作「Crying End Roll」も傑作でしたし、続く本作も、そんな彼の充実した状況を反映するかのような傑作アルバムに仕上がっていました。
今回のアルバム、バリエーションという観点から言えば、決してバラエティーに富んだ作品ではありません。「魅せ者」のようなファンキーでアップテンポなナンバーや、エレクトロジャズな「プレイバック」、エレクトロチューンの「雫に恋して」のような曲もありますが、基本的にシンプルなバンドサウンドをバックにしたミディアムテンポの聴かせるナンバーがメイン。いままでも飛び道具的な曲が多かったゲスの極み乙女。に比べると、地味目に感じる曲が多かったのですが、今回は派手なインパクトある曲がより少なくなったように思います。
しかし、それにも関わらずアルバム全体としての出来は前作を上回る傑作に感じました。その大きな要素としてはまずメロディーラインの美しさにあるように思います。インパクトあるサビがあるわけでもありませんし、わかりやすいポップなフレーズが流れている訳でもありませんが、心うつようなメロディーラインがとにかく魅力的。個人的に特に印象的だったのが「Play Back End Roll」で、サビの最後にファルセットボイスで歌われるフレーズの美しいこと・・・。
歌詞についても決して強いインパクトあるフレーズが飛び出している訳ではありません。ただ、いままでのIndigo la End同様、いや、いままで以上にロマンチックさがあふれる歌詞が魅力的。まあ、こういう歌詞を臆面もなく書けるような人だからこそ女性にもモテるわね(^^;;そんな中で今回ちょっと気になったのが「冬夜のマジック」の歌詞。Indigo la Endといえばそのバンド名の由来はスピッツの「インディゴ地平線」なのですが、今回、この曲の歌詞にいきなり「スピッツ スピッツ」という言葉が登場。出だしの「冬夜の魔法」という言葉遣いはどこかスピッツ的。ひょっとしたらスピッツを意識したのでしょうか?
前作のアルバム評では「脂ののりまくった」とまでの印象は受けない、と書きました。しかし今回のアルバムに関しては川谷絵音の脂がのりまくった傑作アルバムだと思います。特に決して飛び道具の登場しないシンプルな歌詞とメロで勝負しているだけに、川谷絵音のミュージシャンとしてのコアな部分を出しまくっているアルバムのように感じます。ある意味、ゲスの極み乙女。以上に評価を受けてよいアルバムだと思うのですが・・・。しかし最近、この2バンド以外にも新しいバンド、ユニットの活動を開始しているようで、その勢いは止まらなさそう。indigoとしてのこれからの活躍も楽しみです。
評価:★★★★★
Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら
藍色ミュージック
Crying End Roll
ほかに聴いたアルバム
夏を好きになるための6の法則 Part.2/The Mirraz
最近は配信限定で主にミニアルバムを積極的にリリースしているThe Mirraz。今回、突如リリースされた本作は2013年にリリースされた「夏を好きになるための6つの法則」の続編的な内容。かなり粋がった内容が目立ったPart1に比べると、粋がったスタイルは鳴りを潜めたものの、それでも身近なテーマを皮肉的に歌うスタイルは健在で、ある種の小気味よさを感じます。全体的にギターリフを主導で早口で歌いまくるギターロックで、ある意味いつも通りの彼ら。夏らしいサマーチューン6曲が収録されており、The Mirrazらしさを楽しめるアルバムになっていました。
評価:★★★★
The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ
夏を好きになるための6の法則
OPPOTUNITY
しるぶぷれっ!!!
BEST!BEST!BEST!
そして、愛してるE.P.
ぼなぺてぃっ!!!
Mr.KingKong
バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を探すマエストロとMoon Song Baby
ヤグルマギク
RED JACKET
ALL TIME BEST~全部このままで~1988-2018/JUN SKY WALKER(S)
デビュー30周年を迎えるJUN SKY WALKER(S)の初となるオールタイムベスト。ジュンスカというとイメージとして後の「青春パンク」に直結するようなJ-POP色強いパンクロックを奏でていたバンド、という印象が強かったのですが、今回のベスト盤、特に初期の作品については演奏に関してもかなり荒々しい演奏が印象的で、彼らが間違いなくパンクバンドだった、ということを再認識させられました。
ただ一方、「START」あたり以降の作品については演奏も悪い意味でまとまってしまい、メロディーの迫力も薄れ、J-POP的な無味無臭な曲が増えてきてしまいます。この時期の楽曲に関しては、完全に2000年代の「青春パンク」につながるようなタイプの曲で、形式的な「パンクロック」に留まってしまっています。ここらへん、彼らがブレイクしたからこういう無難路線に移行せざるを得なかったのでしょうか。デビュー当初のスタイルを維持すればもっともっと面白いバンドになったんでしょうけどね。その点、残念に感じてしまったベスト盤でした。
評価:★★★★
JUN SKY WALKER(S) 過去の作品
B(S)T
LOST&FOUND
FLAGSHIP
BACK BAD BEAT(S)
FANFARE
BADAS(S)
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コメント
私もpulsateは前作より好きです
前作は藍色ミュージックが良すぎた分、アレ?みたいなところがあったのですが、
今回はさすが川谷絵音っていう感じの曲だったと思いました
ゲスも前よりいい意味で落ち着いてきたな
売上的には目立たないかもしれないけど、
結局あの騒動を経てその経験を糧にして良い
作品をつくれてるのかもしれないと思いました(不倫は駄目ですけど 笑)
投稿: あゆみ | 2018年9月 9日 (日) 21時32分
>あゆみさん
そうなんですよね。さすが川谷絵音といった感じです。例の騒動で悪目立ちしちゃった感がありますが、彼の実力は本物でしょう。これからもがんばってほしいです。
投稿: ゆういち | 2018年9月24日 (月) 23時12分