« 安室奈美恵のベスト盤、再び | トップページ | 胸が熱くなるスプリット盤 »

2018年9月21日 (金)

3年ぶりのオリジナルアルバム

Title:GOING TO A GO-GO
Musician:クレイジーケンバンド

デビュー以来、律儀にほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けるクレイジーケンバンド。ただ、昨年はベスト盤、おととしにリリースした「香港的士-Hong Kong Taxi-」はセルフカバーアルバムと2年続けて企画盤的なアルバムをリリース。オリジナルアルバムとしては3年ぶりとちょっと久々のアルバムとなります。

昨年のベスト盤はデビュー20周年、おととしの企画盤は横山剣のデビュー35周年とベテランの領域である彼ら。一時期は「リリースするたびに最高傑作を更新する」と言われるほどの勢いのあった彼らでしたが、ここ最近は一段落。ただ、直近のオリジナルアルバム「もうすっかりあれなんだよね」はここ最近のアルバムとしては一番の出来でしたし、バンドとしては安定期に入っているといった印象を受けます。

実際に今回のアルバムでもタイトルチューンであり1曲目を飾る「GOING TO A GO-GO」は彼ららしい軽快で楽しいポップチューンに仕上がっていますし、おきまりのアイキャッチを挟む「そうるとれいん」も彼ららしいソウルと昭和歌謡が融合した聴かせるナンバーで、暖かいメロディーラインにほっとさせられる名曲。アルバム全体として一時期のような勢いことないものの、安定感のある良曲が並んでおり、ファンならずとも安心して聴ける歌謡曲テイストの強いソウルポップが並んでいます。

さてそんな今回のテーマは「支離滅裂」だそうで、アイキャッチが3トラックがあるため全17曲となる今回のアルバム、様々なタイプの曲が収録されています。おなじみのソウル、歌謡曲の要素だけではなく、例えば「GARDEN」はラテンなパーカッションが目立つナンバーになっていますし、「SOUL 痛  SOUL」では裏打ちのリズムが展開されるレゲエのテイストも強いナンバーに。「オハヨウゴザイマス」はダンサナブルなナンバーに仕上がっているなどバラエティー豊富。音楽のジャンル的な部分のみならず、ほかにも例えば「山鳩のワルツ」はNHKの「みんなのうた」に採用されるなど、子どもにもアピールできるようなポップチューンになっていますし、「夜のドドンパ」「のっぺらぼう」のようなコミカルなナンバーも収録されています。

そんな訳でバラエティー豊富なアルバムとなった今回の作品ですが、ただ正直言うと、このバラエティーの豊富さは今回のアルバムに限った訳ではなく、クレイジーケンバンドは以前から、音楽的な懐の深さを感じさせます。今回のアルバム、「支離滅裂」を唄っている割には、そんなに「支離滅裂」じゃなかったな、と思ってしまいます。個人的にはちょっと安定しすぎている感じもするため、もっと「支離滅裂」になってもおもしろかったのでは?と思う部分もあるのですが・・・。もっとも今回のアルバムテーマの「支離滅裂」は、彼ららしい単なるジョークという気もしないではないのですが・・・。

もっともそうはいっても内容的には上にも書いた通り、安心して聴ける傑作アルバムという点は間違いありません。3年待たされたファンも納得できる内容だったと思います。次はまた1年後にオリジナルアルバムがリリースされるのでしょうか?次回作も楽しみです。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
香港的士-Hong Kong Taxi-
CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界


ほかに聴いたアルバム

Rappuccino/GAKU-MC

ラップグループEAST ENDのメンバーで、ミスチル桜井和寿とのユニット、ウカスカジーとしても活躍しているGAKU-MCの2年ぶりとなるニューアルバム。前作同様、日常生活の中での応援歌的な歌詞がメイン。正直、前作でもちょっと気になったのですが、そういうテーマだとしてもあまりにも毒がなさすぎる・・・。特にJ-POP系のミュージシャンでよくありがちな「前向き応援歌」系の歌詞と異なり、歌詞にある程度具体性があるだけに、あまりに清潔に漂白された内容に鼻白んでしまいました。

あとちょっと気になったのが「オー・シャンゼリゼ」のサビを「表参道」に代えた「オー・オモテサンドウ」って曲があるんですよね。でもこのネタって既にKANが「表参道」って曲でやってるんだよなぁ。知る人ぞ知る的な曲ならまだしも、この曲、アイドルグループのチャオ ベッラ チンクエッティがカバーしてオリコンで最高位3位を取っているだけに、周りの誰も「知らなかった」ではちょっと許されないと思うんだよね・・・。もちろん、一言話を通しているんならば、何も問題ない話だとは思うんだけど・・・。

評価:★★★

GAKU-MC 過去の作品
世界が明日も続くなら
ついてない1日の終わりに

|

« 安室奈美恵のベスト盤、再び | トップページ | 胸が熱くなるスプリット盤 »

アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 3年ぶりのオリジナルアルバム:

« 安室奈美恵のベスト盤、再び | トップページ | 胸が熱くなるスプリット盤 »