« アラフォー世代には懐かしさあふれる選曲 | トップページ | 音楽的な素養の高さを感じる »

2018年9月 9日 (日)

あくまでもロックバンドとして

Title:The Very Best of CARNATION "LONG TIME TRAVELLER"
Musician:カーネーション

1983年にバンド名を「カーネーション」と改名してから今年で35年。その区切りとなる年を記念して、オールタイムベストがリリースされました。デビューシングルである「夜の煙突」からスタートして現時点で直近のオリジナルアルバムである「Suburban Baroque」収録曲、さらには新曲2曲を加えたCD2枚組全30曲。発表順に並んでおり、カーネーション35年の歩みを暦年順で知ることのできるベストアルバムになっています。

カーネーションのイメージというと個人的には非常に音楽的な偏差値の高いバンドというイメージがあります。AORやソウル、ファンクなどの要素を取り込み、落ち着いた雰囲気のメロディアスなギターロックにまとめるバンド。特にネットを中心に、若手ギターロックバンドを「ロケノン系」という呼び方をすることがありますが、さしずめ彼らは同じ音楽専門誌のミュージックマガジンに好意的に取り上げられることが多く、いわば「ミューマガ系」というカテゴライズされそうなバンド、というイメージを持っていました。

実際、このベスト盤を聴くとギターロックを主軸にしつつ、AORやソウルなどの要素をほどよく取り入れた楽曲が実に魅力的。その傾向は初期の作品から強く、例えば「It's a Beautiful Day」もファンキーなギターで軽快に聴かせてくれますし、「I WANT YOU」もメロウなソウルナンバーに仕上げています。彼らの楽曲に関してはムーンライダーズとの相似性をよく言われるそうですが、AORの要素が強い楽曲などは山下達郎的な雰囲気も感じられました。

ただ、今回のベスト盤を聴いてひとつ強く感じたのは、曲によってはソウルやAORの方向に大きくシフトしようともあくまでもギターロックをその主軸に置いているという点でした。特に初期の楽曲に関しては例えば「Garden City Life」のような軽快なギターロック的要素が強く、思っていた以上にロックバンドとしての骨太の演奏を聴かせてくれています。

そしてその傾向はDisc2の比較的最近の曲に関しても顕著で「ジェイソン」みたいな疾走感あるギターロックチューンがあったり「アダムスキー」ではロッキンなシャウトを聴かせてくれたりとロック的な要素はむしろ強くなってきたりもします。ある意味、落ち着いたAORバンドとしての立ち位置を拒否して、あくまでもロックバンドとしてこだわっていることをこのベスト盤から強く感じることが出来ます。実際、今回新曲として入っている2曲「Future Song」「サンセット・モンスターズ」も骨太なギターロックとしての要素が強く、ギターロックバンドとしてのある種のこだわりを強く感じることが出来ました。

彼らは「大人のロックバンド」とは言わせないということをひとつのスタンスとして維持しているようです。確かにデビュー35周年のベテランバンドで、かつAORやソウル的な要素も強いメロディアスな楽曲を奏でる、というとどうしても「大人のロックバンド」という形容をつけがち。実際、彼らの落ち着いた楽曲からはそういう表現がピッタリくる部分もある点は否定できません。

ただ一方このベスト盤で感じられたギターロックバンドとしてのこだわりは、「大人のロックバンド」と言わせないとするある種の若さ、勢いを感じさせる部分もありました。そういう意味では確かに彼らが「大人の」という形容詞がつきがちな「落ち着いた」というイメージをいまでも払拭すべく骨太のロックを奏でようとしているスタンスを強く感じさせます。いままでのオリジナルアルバム以上に彼らのそんな方向性を強く感じたベスト盤。デビュー35年、まだまだ彼らの活動の勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★★

カーネーション 過去の作品
Velvet Velvet
UTOPIA
SWEET ROMANCE
Multimodal Sentiment
Suburban Baroque


ほかに聴いたアルバム

Sonatine/D.A.N.

Suchmosやceroなど相変わらずシティポップにカテゴライズされそうなミュージシャンが高い人気を博していますが、おそらく彼らもその一組。彼らの場合、比較的クラブミュージックとの親和性が強く、ミニマルなエレクトロサウンドと独特のグルーヴィーで気だるさを感じるサウンドが非常にカッコよく感じます。ミニアルバム「Tempest」以来、約1年3ヶ月ぶりのアルバムなのですが、基本的には前作と同じ方向性の作風。とにかく終始心地よさを感じる傑作でした。

評価:★★★★★

D.A.N. 過去の作品
Tempest

WOKE/The BONEZ

RIZEのJESSEを中心に、元RIZEのNAKA、Pay money To my PainのT$UYO$HI、ZAXによるバンド。へヴィーなバンドサウンドを聴かせるパンクバンドといった感じなのですが、印象的にはRIZEの延長線上にいるような感じ。全英語詞なのでRIZEより洋楽寄りでしょうか。ただ基本的にはRIZEからラップの部分を差し引いて、パンクの要素をより強くしたといった印象。ただ、これならRIZEでも出来るでは?と思ったり、思わなかったり・・・。

評価:★★★★

|

« アラフォー世代には懐かしさあふれる選曲 | トップページ | 音楽的な素養の高さを感じる »

アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505136/74088969

この記事へのトラックバック一覧です: あくまでもロックバンドとして:

« アラフォー世代には懐かしさあふれる選曲 | トップページ | 音楽的な素養の高さを感じる »