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2018年9月 7日 (金)

20歳を迎えた彼女

Title:魔法が使えたみたいだった
Musician:にゃんぞぬデシ

前作をリリースした時は「現役女子高生シンガー」として話題となったにゃんぞぬデシ。それから早2年。今年彼女は成人式を迎えたようで、大人の女性へと成長を遂げています。そしてその傑作アルバムだった前作から2年、待望のニューアルバムがリリースされました。

前作でみせた彼女の魅力といえば、「女子高生」という売り文句とは裏腹に、制作当時17歳だったという年齢を全く感じさせないようなこぶしの利いた歌いまわしとブルースの要素すら感じる歌詞とメロディーライン。ただ一方では現役女子高生らしい歌詞もちらほら登場しており、そのアンバランスさもまた、非常にユニークに感じる作品になっていました。

今回の作品についても基本的にその方向性に大きな変化はありません。1曲目でPVも作成された「同じ空の下どころか」はアップテンポな楽曲ながらもこぶしを利かせたボーカルを聴かせてくれますし、「同じ空の下どころか隣の隣の隣の町に住んでいるのに気持ちがひとつにならない」という切ない片思いの歌詞も印象的。そして今回のアルバムで特に印象に残ったのが「全てお見通しよ」。アコギとピアニカによるシンプルな演奏に切ないメロディーラインが胸をうつ曲。好きな人に対して「全てお見通しよ」と言ってみたいという切ない気持ちを綴った歌詞も印象に残ります。

歌詞のテーマ的には20歳の彼女らしい切ない恋心を歌った曲がメインで、素直な気持ちが歌われているのですが、歌詞はどこか落ち着いて大人びた雰囲気を感じられるのも特徴的。ただ一方、タイトルチューンでもある「魔法が使えたみたいだった」では高校の卒業をテーマとして歌っており、高校時代の自分について、若さゆえの勢いを「魔法が使えたみたいだった」と歌っています。こちらは20歳の彼女ならではの歌詞と言えるのですが、ここでも昔を振り返る視点に客観性が感じられる点から、大人びた雰囲気を感じ取れます。

そんな訳で前作と同様、20歳という年齢にも関わらず楽曲にはどこか老成した雰囲気が感じられるのが大きな特徴。ただ前作に比べるとブルージーな雰囲気を感じる点が薄くなってしまっており、そこはちょっと残念だったような印象も受けます。もっともとはいえアルバム全体から伝わる彼女の魅力は前作同様。わずか6曲のミニアルバムという長さが残念に感じられる傑作アルバムに仕上がっていました。

また、彼女の歌詞やボーカルを聴くと強く感じられるのが、これから10年後20年後に彼女がどんな歌を歌っているか、とても楽しみになってくるということ。彼女の書く歌詞や歌い方には味があり、特にこれから経験を重ねることにより、より熟成されていきそうなそんな予感があります。彼女くらいの年齢のミュージシャンは、ある意味若さゆえの勢いから成り立っていることが多く、それだけに「若さ」をいかに持続していくかがポイントになるようなミュージシャンが多いのですが彼女の場合は逆。ただそれだけ彼女の才能にはまだまだ大きなポテンシャルがあることを感じられます。これからの活躍がとても楽しみになってくるミュージシャン。これからも要注目です。

評価:★★★★★

にゃんぞぬデシ 過去の作品
はじめまして。17歳です。ハッピーエンド建設中。


ほかに聴いたアルバム

6月から7月にかけて配信限定で電気グルーヴのライブアルバムが相次いでリリースされました。今回はそのご紹介。

TROPICAL LOVE TOUR 2017/電気グルーヴ

こちらはDVD/Blu-rayでリリースされた同名の映像作品の初回盤についてきたライブ盤のみを配信限定でリリースされたもの。昨年3月にZepp Tokyoで行われた「TROPICAL LOVE TOUR」の模様を収録したもの。序盤は「人間大統領」「東京チンギスハーン」などユーモラスで軽快なポップチューンで場を暖め、中盤は「The Big Shirts」「Shameful」などといったダンサナブルなナンバーで観客を踊らせ、そして後半は「トロピカル・ラヴ」「ヴィーナスの丘」などラテン風のトロピカルなナンバーで締めくくるという構成も見事。しっかりリスナーを楽しませる展開になっています。同ツアーは私も見に行ったのですが、全体的には電気グルーヴのコミカルな部分よりもテクノミュージシャンとしての側面を強調した構成になっており、ミュージシャンとしての実力をより強く感じさせるライブ盤になっていました。

評価:★★★★★

クラーケン鷹2018/電気グルーヴ

こちらは今年の3月にZepp Tokyoで行われたワンマンライブの模様を収録したライブ盤。選曲は比較的最近の曲が多く、「TROPICAL LOVE TOUR」と同じような方向性を感じつつも、「TROPICAL LOVE TOUR」に比べるとよりコミカルな要素も強くなっている印象も。「flight to Shang-hai」のような石野卓球ソロ曲を披露したり、「燃える!バルセロナ」では日出郎が参加したりとよりバラエティーに富んだ展開が楽しめる構成に。アルバムリリース後のツアーとは異なる、より自由度の高い構成が楽しめるライブ盤になっていました。

評価:★★★★★

電気グルーヴ 過去の作品
J-POP
YELLOW
20
ゴールデンヒッツ~Due To Contract
人間と動物
25
DENKI GROOVE THE MOVIE?-THE MUSIC SELECTION-
TROPICAL LOVE
DENKI GROOVE DECADE 2008~2017
TROPICAL LOVE LIGHTS

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