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2018年8月10日 (金)

W杯テーマ曲が話題に

Title:THE ASHTRAY
Musician:Suchmos

ジャズやソウルのサウンドを取り入れた独特のグルーヴ感で、音楽ファンを中心に人気上昇中のバンドSuchmos。昨年リリースしたアルバム「THE KIDS」はチャート2位にランクインするなど大ヒットを記録しましたが、今年、そんな彼らをお茶の間レベルに巻き込んで話題となった「騒動」がありました。

それが本作にも収録されている「VOLT-AGE」を巡る騒ぎ。この曲、今年のワールドカップのNHK中継テーマソングに起用されました。NHKのワールドカップのテーマ曲といえばSuperflyの「タマシイレボリューション」や椎名林檎の「NIPPON」など、露骨に高揚感のある曲が起用されてきました。ところが本作はわかりやすい高揚感あるサビがあるわけではなく、むしろ「盛り上がり」という観点からは抑制的なサウンドであるために賛否両論の意見が起こりました。

ソウル風の黒いグルーヴ感にダイナミックでロッキンなギターがのる楽曲は文句なしにカッコいいと思うのですが、Suchmosらしい楽曲でJ-POP的なわかりやすさはありません。そのため否定的な意見の中でもSuchmosが悪いわけではなく彼らを起用したNHKが悪いという意見が目立つのですが、ただ、よくよく考えると今回のワールドカップ中継のテーマ曲、NHKとしてはあえてこのような抑制的なテーマ曲を選んだのではないか、とすら思います。

サッカーという競技は世界的な盛り上がりを見せるスポーツである反面、フーリガンの存在など時として暴動に結びついてしまう事例が少なくありません。日本ですら、ワールドカップの中での渋谷での盛り上がりの中、痴漢が発生したり多くのゴミが放置されたりと問題となる事例が少なくありません。

そんな中、テレビ中継のテーマソングも時としてそんな熱狂を煽るような方向性を取りがち。NHKのワールドカップ中継でも4年前のブラジルW杯の時のテーマ曲、椎名林檎の「NIPPON」は露骨な日本びいきで煽りの強い歌詞が賛否両論を呼び起こしました。

しかし今回のSuchmosの曲は、例えば歌詞の中で「血を流さぬように 歌おうぜメロディ 自由のメロディ」のように、あきらかにワールドカップで発生しがちな熱狂の暴走を抑えようとする歌詞が入っています。ある意味、今回の曲、時として行き過ぎになりがちなワールドカップの熱狂をあえて抑制しようとしたNHK側の強い意図があったのではないでしょうか。今回のSuchmosの曲をあえて選んだということからもそんなNHK側の意思を感じます。

今回のアルバムは、そんな「VOLT-AGE」や、同じくタイアップ曲の「808」を冒頭に並べた全7曲のミニアルバム。あまりシングルを切らない彼ら。「VOLT-AGE」もあれだけの大型タイアップでありながらもシングルリリースされていませんが、そんな中、本作はタイアップ曲を中心としたシングル代わりのミニアルバムといった感じでしょうか。

リズミカルなダンスチューンが心地よい「808」や「VOLT-AGE」のように、彼らにしてはインパクトの強い曲が並んだあとの3曲目以降はさらなるSuchmosらしさを発揮している曲が並びます。基本的にソウルやファンク、ジャズの要素が加わった、彼ららしいグルーヴ感が心地よい楽曲の連続。ジャジーでAORテイストも強い「FRUITS」にエレピが入った爽やかなサウンドに分厚いバンドサウンドも心地よい「YOU'VE GOT THE WORLD」。軽快でファンキーなポップナンバー「FUNNY GOLD」は後半の曲の中ではもっとも取っつきやすさを感じます。

ミディアムチューンの「ONE DAY IN AVENUE」はバンドサウンドも入り、スケール感を覚えるナンバー。この曲がある意味後半のピークと言えるでしょう。そしてラスト「ENDROLL」はタイトル通りのアウトロ。静かにジャジーに聴かせるインストナンバーでほどよい余韻を残しつつ、アルバムは幕を下ろします。

7曲入りのミニアルバムながらもしっかりとSuchmosの魅力を聴かせることが出来る傑作アルバム。文句なしの名曲揃いのミニアルバムでした。ブレイク後も全くそのスタイルを変えることなく活動を続ける彼ら。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

Suchmos 過去の作品
THE KIDS


ほかに聴いたアルバム

25th L'Anniversary LIVE/L'Arc~en~Ciel

ここ最近、事実上、活動休止状態となっているL'Arc~en~Ciel。本作はそんな中、25周年記念のライブということで数少ないラルクの活動となった2017年の東京ドームライブの模様を収めたライブアルバム。25周年の記念的なライブということもあり、ベスト盤的な選曲が魅力的。音響の悪さには定評のある東京ドームでのライブなだけに、音質面ではあまり期待できない内容ですが、純粋に「ベスト盤」として楽しめる内容。特にDisc2の「HONEY」から「READY STEADY GO」あたりの流れは文句なしにカッコよく、ラルクの魅力を再認識します。

ただちょっと気になったんですが、途中、収録されているMC。観客に対する呼びかけが「会いたかったんだろ!」・・・ってのが(^^;;いや、この手の観客に対する呼びかけって、普通「会いたかったぞ~!」だと思うんですが。はっきりいって、このナルシスティックな自信、ホストっぽい・・・というか、本人たちが嫌っている典型的な「ヴィジュアル系」だよなぁ、なんて思ってしまいました。まあどうでもいい話といえばどうでもいい話なんですが、気になってしまって・・・。

評価:★★★★★

L'Arc~en~Ciel 過去の作品
KISS
QUADRINITY~MEMBER'S BEST SELECTIONS~
TWENTY 1991-1996
TWENTY 1997-1999
TWNETY 2000-2010

BUTTERFLY

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