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2018年8月18日 (土)

シンプルでポップなアルバム

Title:The Now Now
Musician:GORILLAZ

一時期はデーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットが仲たがいし、その「バンド」としての行方も心配されたGORILLAZ。ただその後2人の関係も修復し、昨年は久々となるニューアルバム「Humanz」がリリースされました。その後、長い沈黙の期間を取り戻すかのように活動が活発化。前作からわずか1年2ヶ月で早くもニューアルバムがリリースされました。

前作「Humanz」は数多くの大物ゲストが参加。中にはかのノエル・ギャラガーが参加するなど大きな話題となりました。また楽曲としてもバリエーションが多く、エレクトロサウンドをメインにしつつ、HIP HOPやレゲエなどの要素も取り込んだ多彩な音楽性が大きな魅力のアルバムとなっていました。

そして今回のアルバムは、ある意味前作「Humanz」とは対照的なアルバムとなっていました。ゲストとして「Humility」にジャズギタリストのジョージ・ベンソン、「Hollywood」ではラッパーのスヌープ・ドッグにエレクトロミュージシャンのジェイミー・プリンシパルが参加していますが、ゲスト勢はこの程度。前作ではあまり目立たなかった2D(=デーモン・アルバーン)のボーカルが前面に押し出された作品となっています。

さらにバラエティー豊富だった前作とは対照的に、今回のアルバムは前作と同じくシンセのアレンジを主軸にしつつも、比較的シンプルなポップソングが並ぶ内容となっていました。1曲目の「Humility」から爽快な雰囲気のサウンドをバックにしたメロディアスなポップチューンになっていますし、続く「Tranz」も打ち込みのリズムが軽快な明るいポップチューン。中盤特に印象的だったのが「Idaho」で、アコギの美しいアルペジオが全編に流れる、牧歌的な空気を感じるしんみり聴かせる暖かいナンバーになっています。

後半も「Magic City」「One Percent」のようなサイケテイストも感じるドリーミーなアレンジのナンバーも目立つものの、これらの曲に関してもしっかりと「歌」が流れており、サウンドよりもメロディーラインを聴かせるような構成になっています。最後まで終始、メロディアスな歌を聴かせる構成になっていました。

サウンド的にもシンセの音色はどこか80年代的で懐かしさを感じさせるような音になっています。中盤「Lake Zurich」はこのアルバム唯一のインストナンバーになっているのですが、エレクトロサウンドが軽快なダンスチューン。どこかディスコテイストの懐かしさすら感じさせるポップチューンになっていました。

また今回のアルバム、GORILLAZのアルバムの特徴的だったHIP HOP的な要素がほとんどありません。唯一、スヌープ・ドッグが参加した「Hollywood」ではHIP HOP的な要素を感じられましたが、このアルバムの中では例外的。そうい意味でも歌を聴かせるポップなアルバムという点が明確になった作風と言えるでしょう。

正直言って、アルバムの中でキラー・チューンになりそうなインパクトあるポップソングもありませんし、一度聴いた感じだと地味にすら感じられるアルバムかもしれません。ただ、2度3度聴くと、知らず知らずに癖になるようなアルバムになっており、それもやはりデーモン・アルバーンのポップスメイカーとしての実力所以なのでしょう。シンプルなアルバムでしたが、それゆえにデーモンの実力が如実にあらわれた作品と言えるかもしれません。今回のアルバムも文句なしの傑作でした。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz

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