« お盆明けで新譜は多め | トップページ | 前作とは対となる作品に »

2018年8月31日 (金)

「ソロ」としての作品を収録

Title:音道
Musician:Chage

今回紹介するのはご存じCHAGE&ASKAのChageによるソロベストアルバム。CHAGE&ASKAといえば、2009年より無期限の活動休止状態になっていました。その後、2013年には一度活動再開がアナウンスされたものの、ご承知の通り2014年にASKAが覚せい剤保持で逮捕。メディア報道によれば、覚せい剤の使用を止めようとしたCHAGEと仲に亀裂が入ったようで、ASKAはソロでの活動を再開していますが、現状、CHAGE&ASKAとして活動再開の目途は経っていません。

個人的にどんな犯罪であろうと罪を償えばミュージシャンがどのように活動を再開しても問題ないと思っているのですが、ただASKAの活動再開前後の言動を見ても覚せい剤所持の件について真摯に反省しているとは思えず、そんな中での活動再開には疑問を思っていました。

そして今回リリースされたアルバムは、Chageのソロデビュー20周年を記念してリリースされたベストアルバム。このベスト盤を聴いてみたのは、率直なところ、そんな現状に対してのChageに対する同情心がまず半分ほどありました。ただ一方では一般的にCHAGE&ASKAに関するChageの印象といえばASKAに比べると・・・という印象が強い一方で、チャゲアスのファンの中ではChageの評価が非常に高いという話も聴いており、そういうこともあって今回、Chageのベスト盤に興味を持ち、このアルバムを聴いてみました。

Chageはチャゲアスの曲の中でも多くの曲を提供しているのですが、今回のアルバムはチャゲアスとしての曲は2曲をセルフカバーしているのみ。また80年代から90年代にかけて彼が中心となって活動していたバンド、MULTI MAXの楽曲は含まれていません。そういう意味で純然あるソロミュージシャンChageとしてのベストアルバムになっています。

そういうこともあって20周年のベスト盤といってもほとんどがチャゲアス活動休止後にリリースされた曲で、チャゲアスの曲やMULTI MAXの曲でも名曲の多い中、ちょっと物足りなさを感じないでもありませんでした。ただ、もっとも今回のアルバムに収録されている曲に関しては全体的に完成度が高く、インパクトも十分。チャゲアスのヒット曲というとASKAの曲がメインなのですが、Chageも間違いなくシンガーソングライターとしての実力を持っていることを実感できます。

ASKAの曲と比べると、率直に言ってしまうとChageはボーカリストとしても歌い方にさほど癖もありませんし、「華」という要素は薄いように感じます。それがチャゲアスのシングル曲の多くをASKAが担当している要因かもしれません。ただ一方、ASKAの曲が彼の特徴あるボーカルに引っ張られるような形になるのが多い反面、彼はボーカリストとしての癖がASKAに比べると薄いだけに曲のバリエーションは広いように感じます。今回のベスト盤でも「Viva!Happy Birthday!」は本格的にファンクの要素を取り入れていますし、カバー曲の「遠くへ行きたい」はラテン風に仕上げていますし、「GO!GO!GO!」はロック調の曲に仕上げています。全体的にメロディーの癖としてはASKAよりも歌謡曲的な要素を強く感じるのですが、楽曲の自由度については強く感じさせるベスト盤になっていました。

ちなみに今回、1曲目はチャゲアスの「終章(エピローグ)」のセルフカバーを収録。これはチャゲアス時代から知っているのですが、歌詞、メロディー含めて絶品の名曲。これだけで彼の実力を感じ取れます。また1984年にリリースされ大ヒットを記録した「ふたりの愛ランド」もしっかりとオリジナルで収録されているのもうれしいところです。

またラストはチャゲアスの「愛すべきばかちんたちへ」のセルフカバーを収録しているのですが、こちらはASKAとの共作曲。この曲をあえて収録している点、彼のASKAに対する思いを感じることが出来ます・・・。

今回のベスト盤を聴いて、ASKAの影に隠れがちですが、彼も間違いなく実力あるミュージシャンだと実感したベスト盤。これを機に、是非。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

なつめきサマーEP/the peggies

3ピースガールズロックバンドによる配信限定の4曲入りミニアルバム。かわいらしい雰囲気の軽快なギターロックが並んでいて、良くも悪くも「女の子バンド」らしい曲が並んでいます。タイトル通り、いかにも夏向きの爽快なサマーソングが並んでいますが、正直、これといったインパクトはちょっと薄い印象も。まだまだこれから、といった感じでしょうか。

評価:★★★★

the peggies 過去の作品
super boy! super girl!!

【Ko-Ou-Doku-Mai】/KEMURI

前作から11ヵ月という短いスパンでのリリースとなったスカパンクバンドKEMURIのニューアルバム。基本的にはいつものスカパンク路線で「大いなるマンネリ」といった感じなのはいつも通り。毎度の通り、ライブでは盛り上がりそうな曲ばかりで、安心して聴けるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

KEMURI 過去の作品
ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"
RAMPANT
SKA BRAVO
F
FREEDOMOSH

|

« お盆明けで新譜は多め | トップページ | 前作とは対となる作品に »

アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ソロ」としての作品を収録:

« お盆明けで新譜は多め | トップページ | 前作とは対となる作品に »