バンドのコアな部分が表に出たセルフプロデュース作
Title:High As Hope
Musician:Florence+The Machine
女性ボーカリスト、フローレンス・ウェルチを中心とするロックバンドFlorence+The Machine。デビューアルバム「Lungs」がイギリスのアルバムチャートで1位を記録。その後、3作連続イギリスのアルバムチャートでは1位を獲得するなど本国では絶大な支持を得ています。約3年ぶりとなる本作は残念ながら本国イギリスのチャートでは最高位2位に留まったようですが、アメリカビルボードチャートでは見事2位を獲得。全世界的に高い人気を得ているバンドとなっています。
そんな彼女たちの4枚目となるアルバムは、数多くのプロデューサーを迎えて制作されていたいままでの作品と異なり、フローレンス・ウェルチのセルフプロデュースとなる作品。個人的に彼女たちの作品を聴くのは前々作「CEREMONIALS」以来2作目となるのですが、その前々作は比較的ダイナミックなアレンジ、ちょっとネガティブな表現を使うと仰々しさを感じさせる作風でしたが、今回のアルバムはセルフ・プロデュースとなった影響でしょうか、サウンドは比較的抑え気味で、フローレンスのボーカルを前面に押し出して聴かせるアルバムになっていたように感じます。
例えば1曲目「June」も比較的シンプルなサウンドで力強い彼女のボーカルを聴かせつつのスタート。後半、サウンドは徐々にダイナミックに盛り上がってきますが、まずは彼女のボーカルが印象に残ります。特に中盤以降「Big God」もまずはピアノの音色のみで力強い彼女のボーカルを聴かせるスタートとなっていますし、「Grace」も後半はドラムスやコーラスラインでダイナミックにサウンドは変化していきますが、序盤は静かなピアノをバックに彼女の歌声を聴かせる構成になっています。
楽曲的にはソウル的な要素を加え、伸びやかに聴かせる力強いボーカルが大きな魅力になっています。以前聴いた「CEREMONIALS」ではビョークあたりに近い雰囲気を感じる「魔女系」なんて表現をしました。今回のアルバムもそんな神秘的な雰囲気は楽曲の随所に感じられます。ただ、上にも書いた通り、ちょっと仰々しさを感じるサウンドは今回は控えめ。あくまでもフローレンスの生の歌声に焦点をあてており、そういう意味では彼女のボーカリストとしての本質的な持ち味にスポットがあてられたアルバムになっていたと思います。
終盤の「The End Of Love」「No Choir」もピアノを中心とした静かなサウンドをバックに彼女の歌声を聴かせる楽曲で締めくくり。どちらも以前の彼女たちの楽曲と同様、神秘的なサウンドが流れており、それもまた大きな魅力となっているもののあくまでもサウンド的には控えめ。しっかりと彼女の歌を聴かせる構成となっています。
アルバムも4作目となりバンドとしての人気も確立。セルフプロデュースとなり、いい意味で「神秘的」「魔女系」なんてギミックに頼らず、フローレンスのボーカルと彼女たちのコアな部分のみを前面に押し出して勝負できるだけの自信をつけてきたアルバムと言えるのかもしれません。そして、その自信を裏付けるかのように、彼女のボーカルが実に心に響いてくる傑作アルバムに仕上がっていました。これだけ全世界的に人気を博していながら、日本ではなぜかいまひとつ盛り上がっていないのが不思議になってくるのですが・・・Adeleやビョークあたりが好きなら絶対はまるはず。お勧めです。
評価:★★★★★
Florence+The Machine 過去の作品
CEREMONIALS
ほかに聴いたアルバム
SCORPION/DRAKE
相変わらず高い人気を誇るアメリカのHIP HOPミュージシャンDRAKEの最新作。本作も当たり前のように全米1位を獲得しているほか、1日で最もストリーミングされたアルバムという記録を打ち立てるなど、その本気のほどを見せつけています。
そんな彼のアルバムは全25曲入りでCDでは2枚組というフルボリューム。正直言うと、最初の方は比較的ダークな雰囲気の作風の曲が多く、これまでの彼からすると若干聴きにくいな、という印象を受けたのですが、CDで言うとDisc2からすると歌モノの作品が増えてグッと聴きやすく、ポップな作風の曲が増えてきます。いい意味でDRAKEらしい作品が並んでおり、結果としてフルボリュームのアルバムでも最後まであっという間に聴くことが出来ました。その人気だけではなく楽曲自体でも変わらないDRAKEの実力と魅力を感じることが出来る傑作でした。
評価:★★★★★
DRAKE 過去の作品
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