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2018年8月11日 (土)

EPシリーズに続く5年ぶりの新作

Title:Bad Witch
Musician:NINE INCH NAILS

NINE INCH NAILS5年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました!・・・とはいっても、2016年にEP盤「Not The Actual Events」が、2017年にもEP盤「Add Violence」がリリースされていますので、そんなに久しぶりといった感触はありません。特に今回のアルバムも全6曲30分という短さ。前作「Add Violence」リリース時もEP盤のシリーズは3作ある、というアナウンスがされていましたので、実質的にEP盤第3弾的な位置づけのアルバムといった感じになるのでしょうか。

そんな彼らの5年前のアルバム「Hesitation Marks」はエレクトロ色が強く、彼らとしては「軽い」というイメージのあるアルバムでした。ただ、その後リリースされた2枚のEP盤はグッと彼らの本来の持ち味であるインダストリアルの色合いが強いアルバムにシフトしました。そして続く今回のアルバムに関しても、初期の彼らを彷彿とさせるようなインダストリアルメタルの色合いが強く出たアルバムになっていたと思います。

まず1曲目「Shit Mirror」はノイジーなギターにシャウトするボーカルが重なった、疾走感あるナンバーで、インダストリアルというよりもパンク的な色合いの強い作品。まずは気分的にかなり高揚感のある楽曲からはじまります。続く「Ahead Of Ourselves」もテンポよいリズミカルな打ち込みからスタートするナンバー。途中、ヘヴィーなシャウトはあるものの、リズミカルで聴きやすいナンバーとなっています。

ここらへんはある意味、「つかみ」といった感じでしょうか。グッとインダストリアル色が強くなるのが3曲目「Play The Goddamned Part」。出だしからして不穏でメタリックなサウンドがまず耳を惹きます。かなり不気味な雰囲気で淡々と続いていくのですが、序盤から流れていたフリーキーなサックスが後半では全面に押し寄せ、最後までダークで不穏な空気感が続いていくナンバーになっています。

続く「God Break Down The Door」もフリーキーなサウンドと複雑なリズムのドラムスが終始耳を惹くナンバー。不気味なメロディーラインも妙に耳に残ります。さらに「I'm Not From This World」もヘヴィーでメタリックなサウンドで不気味な雰囲気が淡々と続くナンバー。静かなインダストリアルサウンドが非常に緊迫感ある雰囲気を作り出しています。

そんなインダストリアル色の強く不気味で緊迫感ある中盤からラストの「Over And Out」は最後を締めくくる軽快なエレクトロナンバー。いままでの雰囲気から力が抜けたような感じの楽曲になっているのですが、ところどころ、メタリックな雰囲気を残しており、聴き終わった後、なんとも言えない気持ちになって終わります。

昨年、そして一昨年にリリースされたEP盤も30分弱の短さにNINの魅力が凝縮された内容でしたが、今回のアルバムもその延長戦上のような、30分という短さの中で彼らの魅力が凝縮されているようなアルバムになっていました。ただ、そのEP盤2枚に比べてもよりインダストリアル色が強くなっており、ヘヴィーなサウンドの中に感じられる緊迫感が強い魅力に。ポピュラリティーという側面からはちょっと低めかもしれませんが、NINの良さを十分すぎるほど感じられる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks
Not The Actual Events
Add Violence


ほかに聴いたアルバム

OIL OF EVERY PEARL'S UN-INSIDES/SOPHIE

イギリスはグラスゴー出身の女性ミュージシャン、サミュエル・ロングによるソロプロジェクトによる初となるフルアルバム。もともとプロデュースワークでも大きな話題を呼んでおり、過去にはマドンナの曲のプロデュースを手掛けたほか、日本でも安室奈美恵の曲のプロデュースを手掛けて話題を呼んだこともありました。

本作は1曲目「It's Okay To Cry」ではスケール感あるエレクトロサウンドで伸びやかに聴かせるポップチューンを聴かせ、北欧的なちょっと幻想的な雰囲気のあるポップミュージシャンなのかと思いきや、2曲目以降は破壊的なエレクトロサウンドやノイズなどで楽曲をメタメタに切り刻むような作風の曲が続き、ある意味、非常に実験的でパンキッシュな作風が目立ちます。ただ、意外とポップな作風が楽曲を流れている曲も多く、ラストの「Whole New World/Pretend World」もデジタルビートのデジロック風の作品・・・とベタな表現が出来るようなロッキンでポップなナンバーになっていたりします。

1曲目のスタートから2曲目以降の展開にちょっとビックリさせられますが、独特なエレクトロサウンドの魅力をしっかり楽しめる作品。実験的な作風でありつつも、意外とポップで聴きやすい、そう感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

Lush/Snail Mail

2年前、16才の時にリリースしたEP「Habit」が各種メディアで大絶賛を集め、一躍注目のミュージシャンとなったSnail Mailによるデビューアルバム。基本的にはシンプルなローファイ気味のギターロックといった感じで、女性のソロロックミュージシャンということもあってイメージ的にはコートニー・バーネットと近い部分を感じます。楽曲的にド派手さはないのですが、シンプルなだけにしっかりとしたメロディーラインを聴かせてくれています。これからの活躍も楽しみな新人ミュージシャンです。

評価:★★★★★

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