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2018年7月17日 (火)

都会的なサウンドとトライバルなサウンドを融合

Title:Modernluv
Musician:TAMTAM

毎回、独特な雰囲気が魅力的なアルバムを作りだし、大きな話題となるレゲエダブバンド、TAMTAM。そんな彼らの約1年9ヶ月ぶりとなるアルバムがリリースされました。特にダブを取り入れたグルーヴィーなサウンドが大きな魅力の彼女たちですが、今回のアルバムもタイトルチューンにもなっている1曲目「Mondernluv」はイントロ的なダビーなインストチューン。まずは浮遊感ある独特のグルーヴ感がとても心地よいスタートとなっています。

ただ今回のアルバムはレゲエやダブ的な要素は強くなく、むしろソウルやAORの要素が強いアルバムになっていました。2曲目「Esp」ではGOKU GREEN改めGOODMOODGOKUがゲストとして参加しているのですが、彼のメロウなボーカルがあわさったシティポップな作風。「Sorry Lonely Wednesday」もメロウな空気感が心地よいAORナンバー。こちらも入江陽やYuta Fukaiがゲストとして参加しています。ラストを飾る「Night Owl」も一昔前のフュージョン風な雰囲気を感じつつもメロウなボーカルが心地よいシティポップチューンに仕上がっています。

そんな全体的にソウル、シティポップのテイストが強い今回のアルバム。昨今、シティポップのバンドが多くブレイクし話題となっていますので、そんなシーンに対してのTAMTAMからの回答とみることも出来るかもしれません。ただもちろん単純にシティポップの要素を取り入れた訳ではなく、その中でしっかりとTAMTAMらしい色は出してきています。例えば「Dejavu」などは疾走感あるリズムの中、グルーヴィーなサウンドを展開していますし、「Nyhavn」などもドリーミーでダビーなサウンドはまさにTAMTAMらしいといえるサイケなナンバー。独特な雰囲気が非常に心地よい世界観を作り出しています。

ほかにもハンドクラップも入った「Finevies」「Deadisiland」などトライバルなリズムが入った楽曲も目立ちます。これらの曲に関してもTAMTAMらしい独特なリズム感が楽しむことが出来、シティポップバンドとは一風変わった雰囲気を醸し出していました。

アルバム全体としてはソウルやAORの要素の強いメロウなサウンドを醸し出しつつも、サイケやトライバルな要素を強く感じるサウンドは、都会的な要素とトライバル的な要素を上手く融合させたTAMTAMらしい独特な世界を作り上げていたアルバムになっていると思います。レゲエ的な要素はかなり薄いものの、しっかりといままでのTAMTAMに通じるサウンドを作り上げている傑作アルバム。またもやこのサウンドの世界に深くはまってしまいそうです。

評価:★★★★★

TAMTAM 過去の作品
For Bored Dancers

Strange Tomorrow
Newpoesy


ほかに聴いたアルバム

ALL TIME BEST mixed by MIGHTY CROWN/RIZE

デビュー20周年を迎えたRIZEの代表曲をMIGHTY CROWNによる編集が行われたDJ Mix盤。要するに彼らの代表曲が、1曲あたり2分程度のおいしいところ取りでメドレー形式で続くアルバム。彼らの曲をきちんと聴きたいと思っているような方には物足りなさを感じるかもしれませんが、とりあえずの入門盤としては最適な内容かも。RIZEの「カッコいい」部分がきちんと抽出されているアルバムになっていました。

評価:★★★★

RIZE 過去の作品
K.O.
EXPERIENCE
FET BEST
THUNDERBOLT~帰ってきたサンダーボルト~

夢で逢えたら/シリア・ポール

1977年にナイアガラ・レーベルからリリースされた女性シンガーによるアルバムの復刻版。シリア・ポールはもともとラジオ番組のパーソナリティーなどで人気を博していたタレントだったようですが、大瀧詠一プロデュースとなるアルバムで再デビュー。スマッシュヒットを記録したようですが、大ブレイクとまではいかず、本作も一部のマニア的には注目を集めていたものの、どちらかというと「知る人ぞ知る」的なアルバムだったようです。

本作で収録されている「夢で逢えたら」はご存じの通り、ジャパニーズポップスシーンでのスタンダードナンバーとなっていますが、彼女が歌うバージョンはナイアガラでの初リリースということで「オリジナル」のひとつの扱いとされているようです。同作を含め、まさにナイアガラレーベルらしい洋楽テイストあふれる爽やかなポップチューンが並ぶ本作。ハワイアンやチャチャ、キューバ音楽などのワールドミュージックからの要素も強く感じられ、国際色豊かな作風は今聴いても全く古さを感じさせません。

Disc2の方には当時のライブ音源も収録。今からすると「ライブ」というよりも「歌謡ショー」的な雰囲気になっているのが70年代ならでは、といった感じもしますが、それを含めて当時の雰囲気を味わえる内容となっています。今聴いても魅力的なポップスアルバム。大瀧詠一やナイアガラサウンドが好きなら必聴の1枚です。

評価:★★★★★

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