宇宙人も登場する?ユニークな歌詞が魅力
Title:Tokyo Mermaid
Musician:KOKIA
今年、デビュー20周年を迎え、先日は初となるオールタイムベストをリリースしたKOKIA。そのベストアルバムに続いて待望となるニューアルバムがリリースされました。
今回のアルバム、まずなかなかユニークなのはその歌詞。1曲目、いきなり「お化けが怖いなんて」という、童謡を彷彿とさせるようなタイトルの曲からスタートします。ただ、その歌詞の内容は死んでしまった恋人に対して「お化けでいいから会いたい」と歌う、なかなかへヴィーな内容の歌詞。ただ、そんな内容の歌詞でも、「お化け」という表現を用いているのでどこかユーモラスで必要以上に重い歌詞にはなっていません。
「天気がいい ビール飲もう」もタイトル通り、天気がいい昼間に仕事をさぼってビールを飲もうという、かなりほっこりとした雰囲気の曲。おそらく誰もが共感できそうなシンプルな題材で非常にユニークな歌詞になっています。また「FURUATO~故郷~」などはタイトル通りのふるさとに対する想いを歌ったナンバーでアコースティックでしんみり聴かせるサウンドと伸びやかな彼女の歌声で心に染みるようなナンバーになっています。
また今回は結構ぶっとんじゃった歌詞も少なくなく、例えば「Nipponjin」なんて曲が登場。すわ、今流行り(?)の愛国ソングか?確かに「日本人としての誇りを持とう」的なテーマ性なのですが、自虐的な歌詞も登場する彼女ならではの「日本人論」になっています。また、さらにぶっとんでるのは「Aliens~宇宙人わかりました~」などは宇宙人との遭遇というテーマとなっており、かなりユニーク。若干、KOKIA、何があったの?なんて思ったりもしちゃいますが(笑)。
ただ、全体的なテーマ性が今回は比較的身近な素材となっており、彼女の曲でよく見受けられたような愛や平和的な、良く言えば普遍性のある壮大なテーマ、悪く言えば仰々しいテーマ設定は今回はあまりありません。
また、仰々しいといえば今回の彼女の楽曲、サウンド的にもアコギやピアノ、シンプルなストリングスを主軸とした比較的シンプルなもの。こちらも彼女らしい分厚くスケール感のあるサウンド、少々悪く言えば仰々しさを感じるサウンドはほとんど見受けられませんでした。
ただ、サウンド的には比較的シンプルでありながらも、楽曲の雰囲気としてはいつものKOKIAらしいファンタジックな雰囲気をきちんと醸し出していました。それはサウンド的にもシンプルながらもどこかファンタジックな雰囲気を感じさせるアレンジになっていたという点も大きいでしょうし、彼女のボーカルもまた、完全にそのスタイルが完成されており、無理にサウンドを分厚くしなくてもしっかりと彼女の世界観を確立できるということを証明したアルバムになっていたように感じます。
歌詞にしてもサウンドにしてもいままでのKOKIAから少々スタイルを変えてきた部分があるので賛否両論があるみたいですが、個人的にはここ最近の彼女のスタイルにはマンネリ気味な部分も感じていたところもあり、ここ最近のアルバムの中では一番の出来だったと思います。デビュー20年を迎え、あらたな一歩ともいえる今回のアルバム。これからの活躍も楽しみです。
評価:★★★★★
KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~
REAL WORLD
Musique a la Carte
moment
pieces
心ばかり
Where to go my love?
I Found You
EVOLVE to LOVE-20 years Anniversary BEST-
ほかに聴いたアルバム
For You/Crystal Kay
LDH移籍第2弾となる約2年半ぶりのCrystal Kayのニューアルバム。LDH移籍第1弾となった前作と同様、1曲1曲を取り上げれば決して悪くないものの、全体的に無難で、Crystal Kayらしさがあまり出ていない曲が並んでおり、アルバム全体としてはかなり印象の薄い内容になっています。特に中盤から後半にかけてバラードナンバーが続く構成になっており、確かに彼女の歌の上手さを生かそうとした結果なのかもしれませんが、それにしてはかなり安直な感じ・・・。「よく出来たアルバム」かもしれませんが、いまひとつ彼女の良さが感じられない作品でした。
評価:★★★
Crystal Kay 過去の作品
Shining
Color Change!
BEST of CRYSTAL KAY
THE BEST REMIXES of CK
FLASH
Spin The Music
VIVID
Shine
Lacrima/HUSKING BEE
途中、ミニアルバム「Stay In Touch」を挟み、フルアルバムとしてはメジャー復帰後2枚目となる新作。彼ららしいメロディアスでポップな楽曲が並び、パンキッシュな曲からポップテイストの強い曲、「Living Life」のよな哀愁感漂うナンバーまでバラエティー豊富。目新しさはないのですが、HUSKING BEEの魅力はしっかりと出しており、安心して聴ける良作に仕上がっていました。
評価:★★★★
HUSKING BEE 過去の作品
Suolo
Stay In Touch
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