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2018年7月30日 (月)

ジャケットは「ソフトロック」風

Title:Age Of
Musician:Oneohtrix Point Never

今回紹介するのはOneohtrix Point Neverというミュージシャン。ニューヨークはブルックリンを拠点に活動するダニエル・ロパティンというミュージシャンによるソロプロジェクトだそうです。某音楽専門誌で紹介されており、今回気になって聴いてみたのですが、完全に音を聴くのも今回ははじめて。どんなミュージシャンかわからないまま、アルバムを聴いてみました。

まず目を惹くのはジャケット写真。清純そうな女性3人が並び斜め上を見上げているそのジャケットは、いかにも70年代あたりのフォークソング、あるいはその後のソフトロックあたりを彷彿とさせます。それだけに最初は「歌モノか?」と想像しつつ聴いてみました。

そして聴き始めたアルバム。最初に飛び込んできたのはチェンバロの音色。メロディアスに、少々中東風な雰囲気を醸し出しつつ楽曲は進んでいくのですが基本的にはインスト路線。さらに途中から微妙にサウンドに歪みが生じだして「あれ?」と思わせます。

続く「Babylon」は男性ボーカルでしんみりと聴かせる歌モノ。こちらも少々エスニックな雰囲気が流れつつ、メロはしっかりと聴かせるのですが、こちらもボーカルにはエフェクトがかけられており、サウンドにはノイズも流れたりして、若干サイケな雰囲気を感じます。

さらに「実験的な作風」と言えるのが3曲目「Manifold」。ピアノの音色を美しく聴かせつつ、エレクトロのサウンドを重ねるインスト路線なのですが、バックにはエフェクトをかけてゆがませたボーカルがサンプリングされているなど「ポップ」な雰囲気とは程遠いサウンドがほどこされており、一種異様な雰囲気を感じさせる曲になっています。

その後もエレクトロサウンドをベースにしつつノイズやアンビエントなどの影響が強い曲が目立ちます。特に中盤以降「We'll Take It」「Same」「Still Stuff That Doesn't Happen」などメタリックなサウンドがインパクトを持った曲も並びました。

ただアルバム全体を流れるのはどこか東洋風、エスニックな感じ。1曲目のタイトルチューン「Age Of」もそうでしたが、シンセによるインストチューン「Toys2」もどこか東洋風な雰囲気を感じますし、「RayCats」なども実験的なエレクトロチューンながらも琴の音色を思わせるようなストリングスが流れ、和風な雰囲気すら感じます。東洋風といっても、どちらかというと西洋人が見た東洋で、中東も中国も日本もごちゃまぜになったような「東洋風」なのですが、独特なエスニックな雰囲気が大きな魅力でした。

また「実験的」という形容詞が似合いアルバムではあるのですが、全体的にどこかメロディアスでポップに聴かせる感があるのも大きな魅力。数少ない歌モノの「Babylon」もそうですし、「Black Snow」などもメロディーは実にポップで魅力的な作風になっていますし、「Last Known Image of a Song」なども笛の音や鈴の音、シンセ、ストリングスやパーカッションの音などが入り混じるインストですが、目立ったメロディーはないもののどこか郷愁感があり、ポピュラティーすら感じさせる楽曲になっていました。

そんな訳でアルバム全体的に実験的な作風が目立つものの、意外と聴きやすくポップという印象すら受けるアルバムになっています。ジャケット写真で「ソフトロックのアルバムか?」と誤解して聴いた方も、意外と気に入る・・・かも???

評価:★★★★★

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