数多くのミュージシャンへ影響を与えたガールズバンド
Title:CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~
2005年にメジャーデビュー。3枚目となるシングル「シャングリラ」が大ヒットを記録し、一躍人気バンドの仲間入りを果たし、その後も根強い人気を誇ったガールズバンド、チャットモンチー。ただご存じのように今年7月の解散(完結)を発表し、その活動に幕を下ろします。そんな彼女たちへのトリビュートアルバムがリリースされました。
チャットモンチーの音楽シーンに対して与えた影響というのは、まず何よりも女の子だけでもバンドが出来るということを形で示した点が大きいように感じます。いままでの日本の音楽シーンではレベッカにしろLINDBERGにしろジュディマリにしろ、ボーカルは女の子だけどもそのほかのメンバーは男というスタイルのバンドが圧倒的に多かったですし、プリンセスプリンセスのようなヒットを飛ばした女の子オンリーのバンドもありましたが、ポップス寄りだったためか、正直、その後のフォロワーはほとんどあらわれませんでした。
しかし、チャットモンチーの登場以降、女の子オンリーのバンドがグッと増えたように思います。今回のトリビュートに参加しているねごとなんかもまさにチャットモンチーのフォロワー的なガールズバンドですし、最近ではSHISHAMOなどもブレイクを果たしています。SCANDALやSilent Sirenみたいなアイドル寄りのバンドも目立ちますが、チャットモンチーのブレイク以降、ガールズバンドが増えたというのは何よりも彼女たちがロックバンドとしてもカッコよかったというのが大きな要因なのではないでしょうか。
今回のトリビュートアルバムでも、そんなシーンに対するチャットモンチーの影響を示すかのように多くのバンドが参加しています。前述のねごとが「シャングリラ」をカバーしているほか、ここでも何度か紹介している管理人がいま一押しのガールズバンド、CHAIも「Make Up! Make Up!」で参加。さらに今回、一般公募でも参加を募り、ペペッターズ、月の満ちかけというインディーバンドも参加しています。
チャットモンチーといえば、女の子の心境をストレートに歌った歌詞が大きな魅力的。それだけに今回のトリビュートでもガールズバンド、あるいは女性ボーカルのバンドのカバーが一番しっくりきたように感じます。ねごとやCHAIもそうですが、ほかにもHomecomingsやHump Back、集団行動やきのこ帝国などがそんなガールズバンド、あるいは女性ボーカルによるバンド。ある意味「無難なカバー」といった印象でしたが、ただチャットモンチーらしさをいい意味でしっかりと残したカバーだったと思います。
ただ逆に強いインパクトを残したカバーはむしろ男性勢で、まずは冒頭を飾る忘れらんねえよの「ハナノユメ」。バンド結成のきっかけとなった曲だそうで、さらに彼らの代表曲「CからはじまるABC」では歌詞の中でチャットモンチーが登場するくらい大きな影響を受けているバンド。がなり声と分厚いサウンドでのパンクのカバーに仕上げており、チャットモンチーの曲を忘れらんねえよのスタイルに無理やり引きずり込んだようなカバーになっていますが、とにかく熱いそのボーカルからはチャットモンチーへの愛情が最も伝わってくるカバーとなっていました。
またグループ魂の「恋愛スピリッツ」のカバーもユニーク。まあ、彼らは多くのトリビュートアルバムに参加していて、そのカバーのスタイルはある意味全く同じなのですが、今回は曲の途中にコントが、それもチャットモンチーご本人出演で登場するスタイル。結構ブラックなネタでユニークな内容になっています。
さらに強いインパクトだったのがラストのギターウルフ「東京ハチミツオーケストラ」。原曲はチャットモンチーらしい可愛らしいギターロックなのを無理やりギターウルフらしい強烈なガレージロックでカバー。あまりの変貌ぶりは賛否両論ありそうですが、間違いなく強いインパクトのあるカバーになっていました。
そんなインパクトあるカバーがありつつも、ただアルバム全体としては正直言うと、良くも悪くも無難な感じがして、イメージを大きく逸脱したり、彼女たちの曲をつかって実験をするようなインパクトあるカバーは少なかったかな。比較的若手のバンドが多く、チャットモンチーがラスト前のトリビュートということで若干遠慮してしまったのでしょうか。ファンにとっては安心して聴けるのですが、もうちょっと意外性あるカバーも欲しかったかもしれません。ただ、チャットモンチーの魅力はきちんと伝わるカバーに仕上がっていたと思います。チャットモンチーのファンはもちろん、参加しているファンにとっても楽しんで聴けるトリビュートアルバムだと思います。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.2
創刊50周年を迎えた人気漫画週刊誌「週刊少年ジャンプ」のテレビアニメの主題歌や挿入歌などを集めたノンストップミックスアルバム第2弾。正直、第1弾に比べると最近のアニソンの割合が多くなり、アラフォー世代にとって懐かしいと感じる曲は少なくなってしまうのがちょっと残念。最近の曲に関しても良くも悪くもいかにもJ-POPな曲が多く、インパクトはあるものの平凡な曲が多かったかも。とはいえ「うしろゆびさされ組」やらドラゴンボールの「魔訶不思議アドベンチャー!」やら、高橋ひろの「アンバランスなKissをして」やら小比類巻かほるの「City Hunter ~愛よ消えないで~」やら懐かしい曲もチラホラ収録されており、やはりそれなりに楽しんで聴くことが出来ました。
ただ前作同様、50周年の企画盤なのに70年代以前のアニメ主題歌が皆無なのはちょっと残念。第3弾まで予定されているようですが、オールタイムのミックスにするよりも年代別に分けた方がリスナー層も分けられてよかったのでは?またWANDの「世界が終るまでは・・・」をはじめスラムダンクの主題歌は収録されていないんですね。ビーイング系はこの手のコンピへの参加を拒否したということでしょうか。ただ、Vol.1でFEEL SO BADが参加していたので、完全拒否という訳ではないと思うのですが・・・。
評価:★★★★
週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.1
Telepathy/SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
インストバンドSPECIAL OTHERSのアコースティック編成、SPECIAL OTHERS ACOUSTIC名義による2枚目のアルバム。軽快なサウンドのポップスが多く、いい意味での聴きやすさを感じる一方、アコースティック編成らしい暖かいサウンドにほっとするようなインストナンバーが並んでいます。目新しさはないものの、しっかりと心に響いてくるアルバムです。
評価:★★★★★
SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~
LIGHT(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WINDOW
SPECIAL OTHERS II
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事
- 前作同様、豪華コラボが話題に(2019.01.26)
- その「名前」を聞く機会は多いのですが・・・(2019.01.25)
- 「ラスボス」による初のベスト盤(2018.12.24)
- 民謡歌手としての原点回帰(2018.12.23)
- 相変わらずの暑さ(2018.12.22)
コメント