大充実のブルースボックス盤
Title:DOWN HOME BLUES-CHICAGO
今日、紹介するのは豪華5枚組のブルースのボックス盤。Winnerworldというイギリスのレコード会社からリリースされたコンピレーションアルバムで、「BLUES&SOUL RECORDS」誌に大きく紹介されており興味を持ち、5枚組ながらも5千円弱という安さもあり、思い切って買ってしまいました。
タイトル通り、1940年代、50年のシカゴブルースを収録したコンピレーションアルバムなのですが、まずそのボリューム感がすごい。全5枚組のCDに収録されているのは41ミュージシャン134曲。レーベルもRCAビクターやコロンビア、チェスといった有名どころから新興のインディーレーベルまでレコード会社の垣根を越えてそろえてあります。また曲順もおおむね録音年代順になっており、コンピレーションを聴きすすめていく中でシカゴブルースの流れを知ることが出来ます。
またこのコンピアルバムではMuddy WatersやHowlin' Wolf、Little WalterにElmore Jamesなどなどの有名どころはきちんと抑えられており、そういう意味ではブルース初心者層にもアピールできる一方で、80曲以上がシングルとして発売されなかった曲やシングルの別テイク。Muddy WatersやHowlin' Wolfなどのメジャー勢に関しても著名なヒット曲はあえて入れていなかったりと、なにげに選曲に関してはマニアックな部分も多く、マニア層へのアピールも十分。そういう意味では実にバランスの取れた選曲と言えるかもしれません。
さてこの134曲という大ボリュームのアルバムをお腹いっぱいになりながら聴き進めていったのですが、一言で「シカゴブルース」といってもそのバリエーションの広さをまず感じました。いかにもブルースらしい聴かせるナンバーがあるかと思えば、スウィング風の曲やムーディーなナンバー、軽快なブギウギやロックンロール風の曲、ダンサナブルなナンバーやインストチューンなど様々。シカゴブルースの世界の懐の深さを感じます。
このコンピではブルース好きなら誰もが知っているようなミュージシャンから知る人ぞ知る的なミュージシャンまで様々揃っているのですが、当たり前かもしれませんが著名なミュージシャンは聴いていてすぐわかる強い個性を持っていることをあらためて感じました。Howlin' Wolfの独特のだみ声やElmore Jamesの強烈なギターサウンドはいわずもがな、Muddy Watersのボーカルってあんな色っぽかったんだ、とあらためて認識させられたり、Little Waterの個性的なハープの音色にあらためて気が付かされたり、様々な曲の中と並べて聴くからこそあらためてわかるような発見も少なくありませんでした。
また、そんなメジャーどころ以外で個人的に印象に残ったのが、Disc3に収録されているBlue Smittyの「Crying」。独特のトレモロ奏法が強い印象を残します。また、同じDisc3のHomesick Jamesというユニークな名前のシンガーによる「Homesick」も印象的。かなりパワフルなボーカルが印象に残りますし、軽快なピアノとノイジーなギターの演奏も楽しげで印象に残ります。ちなみにかのElmore Jamesの従兄弟だそうです。
さらに本作、CDの内容もすごいのですが、同封のブックレットもすごい!88ページにも及ぶ読み応えのある内容なのですが、ミュージシャンの紹介がギッシリ。さらに収録曲のセッションミュージシャンに関する情報も記載されており、リスナーにとっては非常にありがたい内容に。さらに当時の貴重な写真も数多く載っており、CDを読みながらこのブックレットを読むだけでブルースファンにとっては至福の時間が訪れること間違いなしです!(あ、ちなみに輸入盤オンリーなので英語のみです・・・念のため)
そんな満足度100%の非常に充実したコンピレーションアルバム。ブルースが好きならとりあえずは聴いてみて損のないアルバムだと思います。非常に幸せな時間が味わえるボックス盤でした。
評価:★★★★★
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