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2018年7月27日 (金)

話題のアルバムから12年ぶり!

Title:WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE
Musician:STRUGGLE FOR PRIDE

圧巻ともいえるノイズサウンドで埋め尽くされたハードコアなサウンドが特徴のロックバンド、STRUGGLE FOR PRIDE。今や伝説とも言えるロックフェス、Raw Lifeへの出演でも注目を集めたほか、2006年にリリースされたアルバム「YOU BARK WE BITE」も大きな話題となりました。

しかし、その後は活動も停滞。時折その名前を聴くことはありましたが音源はリリースされず、ファンをやきもきさせていました。そして12年の月日を経て、待ちに待ったニューアルバムがついにリリース。ファンを歓喜させました。

実は私もそんな歓喜したリスナーの一人。12年前のアルバム「YOU BARK WE BITE」は偶然、某CDショップの店頭で試聴したのですが、その音の世界で圧巻し、その場で衝動買い。そして楽曲にいきなり魅了されてしまいました。それだけに久々となる今回のアルバムももちろん即買い。私にとっても待ちに待った作品でした。

そんな12年ぶりとなるアルバムですが、彼らの楽曲の方向性に基本的な変化はありません。アルバムはいきなり激しいギターノイズの嵐からスタートし、途中からそれにへヴィーなドラミングが加わります。そんなリスナーの鼓膜をつんざくようなダイナミックなサウンドが大きな魅力なのですが、一方、そんなノイズの後ろでしっかりと「メロディー」が鳴っているだけに実は意外と聴きやすさという側面を感じるのも彼らの大きな魅力。例えば「FALSEHOOD」はへヴィーなギターノイズを取り去れば、そこにはパンクロックのメロディーが流れてくることは聴いているだけで容易に想像できます。

前作「YOU BARK WE BITE」はそんな迫力あるノイズサウンドで終始押し切ったアルバムに仕上がっていましたが、今回のアルバムの特徴として彼らの曲の合間にDJ HIGHSCHOOLやトラックメイカーのBUSHMIND、DRUNK BIRDS、FEBBという盟友たちの曲が合間に収録されており、一種のオムニバスアルバムのような雰囲気すらあります。特にこれらの曲はSFBとはタイプが大きくことなり、DJ HIGHSCHOOLやBUSHMINDはHIP HOP的なエレクトロサウンド。DRUNK BIRDSはなんとフォークソング(!)でアコースティックでしんみり聴かせる歌モノ。FEBBはラップとスタイルが大きく異なります。

正直言って、ここらへんの曲に関しては最初は大きく戸惑いました。アルバムの流れの中で明らかに分断されているようにも感じましたし、そのためアルバムの統一感もちょっと欠けるような部分があったのも否めません。ただ、ノイズ一辺倒となりがちなSFBのアルバムの中でちょうどよいインパクトとなっており、またもちろん楽曲の出来も文句なしの内容でしたので、2度3度聴くうちに徐々に違和感もなくなってきました。

またSFBの楽曲自体も前作以上にバリエーションを感じます。前作も激しいノイズの中でなんとボーカルにカヒミ・カリイが参加。彼女のウィスパーボイスと強烈なノイズという真逆の組み合わせがユニークだったのですが、彼女は今回も参加。ただ今回はスカ風のリズムの静かな楽曲の中でのボーカルとして参加しており、強烈なノイズとの組み合わせはありませんでした。

「NOTHING TAKES THE PLACE OF YOU」では元スカパラの杉村ルイがボーカルで参加。こちらもノイズではなくガレージ風なバンドサウンドでちょっとくすんだ雰囲気の中、静かに聴かせる歌モノになっています。ノイズと歌モノの組み合わせという意味ではEGO-WRAPPIN'中納良恵が参加した「MAKE A RAINBOW」がまさにそれ。ベニー・シングスというポップミュージシャンのカバーなだけに彼女の歌は非常にポップなのですが、そこに強烈なギターノイズを乗っけるというアンバランスさがユニークなナンバーになっていました。

さらに今回、Disc2として昨年12月にON AIR WEST SHIBUYAで行われたライブの模様を収録したライブ盤がついています。こちら、先日亡くなったラッパーのECDが最後に参加したライブだったとか・・・彼の声もしっかりと残されている貴重な音源なのですが、ライブの方も迫力満点。彼らのライブは一度も見たことないのですが、一度是非見たくなってしまいました。

そんな訳で12年ぶりの新作となりましたが、今回もまさに大満足の傑作アルバム。そのギターノイズに終始圧巻させられるアルバムになっていました。ほかのミュージシャンの参加もあり、アルバム全体の統一感にはちょっと欠ける部分もあるのですが、全50分の内容にSFBのノイズだけだとさすがに胸やけしそうなので、そういう意味ではちょうどよい「箸休め」的な展開とも言えたのかも。音源がリリースされず「伝説のバンド」的な扱いになりかけていた彼らですが、しっかりと現役感を見せることが出来たアルバム。その内容も文句なしです。

評価:★★★★★

Title:YOU BARK,YOU BITE
Musician:STRUGGLE FOR PRIDE

そんな彼らの2006年にリリースした1stアルバムがリイシュー。長らく廃盤になっていたようで「幻の1st」とも言われていたようです。今回、オリジナルリリース時は無音となっていた80年代関西ハードコア・シーンの重鎮MOBSの「NO MORE HEROES」のカバーを新たに収録されています(オリジナルでは無音カバーとなっていた理由がいまひとつ不明だったのですが・・・おそらく許諾が取れなかったためと思われますが・・・)。

上にも書いた通り、本作を私はリアルタイムで聴いてすっかりはまってしまいました。その当時も同サイトで感想を書いていました。駄文ですが、元のサイトが既に閉鎖されてしまいましたので、その感想を再掲します。

先日、CD屋へ行ったら、「アンダーグラウンドシーンでの最重要バンド」というPOPが出ていて、かなりプッシュされていました。このバンドについては、ほとんど初耳だったのですが、どうも気になってしまい、また、それ以上に、最近気に入っているMSCの漢が参加しているということで半分、衝動買い的に購入してしまいました。ところが、これが大正解!!もう、この作品、まさに鳥肌モノの1枚でした。

冒頭、カヒミ・カリイの朗読からスタート。彼女の、あのか弱いウイスパーボイスが淡々と続くのか、と思いきや、突如、ギターの轟音ノイズが入ってきます。そして、そのまま2曲目へと突入。この「BLOCKPAIN」では、冒頭、漢の攻撃的、暴力的なラップがノイズに重なるように入っており、耳へのある種パンチのように、衝撃を受けることとなります。その後も、ただただギターのノイズの連続。しかし、それが8曲目「MOBS」でピタっととまります。この曲、ただただ無音。しかし、いままでの耳をつんざくような曲の直後に入っているこの「無音」がなんともいえずに不気味で、無音でありながらも、しっかりとアルバムの中の1つの曲として、私たちになんともいえない衝撃を与えてくれます。音がないということが、逆にこれほど雄弁に彼らの主張を伝えてくるとは・・・まさに驚きの瞬間でした。

彼らの音楽は、いわゆるノイズミュージック。私自身、実はノイズミュージックに関しては、決して好きなジャンルではありません。にも関わらず、彼らの曲に関しては、すっかりとはまってしまいました。それは、彼らの楽曲が、ただただ轟音を流しているだけではなく、その背後には、しっかりとバンドサウンドがひとつのグルーヴを作り出しており、そして、さらに彼らの楽曲には、ギターノイズの洪水ながらも、一方では、どこか単純な音の洪水にとどまらないビートを感じることも出来、ノイズとはいえ、既存のノイズ系のミュージシャンとは全く異なる個性を感じることが出来たからではないでしょうか。

全く新しい音楽に出会えたような、衝撃的なアルバムでした。正直、とっつきにくいジャンルだと思うし、はまる人ははまるけど、はまらない人は・・・という感じだと思います。ただ、もし興味を持ったら、是非一度聴いてみてください。「アンダーグラウンドシーンでの最重要バンド」というあおり文句が嘘ではないことがわかります。ちょっと遅ればせながら、すごいバンドに出会ってしまいました。これからも注目していきたいところです。

当時の感想にも書いた通り、「MOBS」の無音カバー、ノイズ続きのアルバムの中で無音であることがちょうどよいインパクトになっていたと思っていただけに、実は実際のカバーを入れた今回のリイシューよりもオリジナルの方がよかったかも、とすら思っています。本来の意図とは少々異なるのかもしれませんが。

ただ、上でも書いた通り、個人的にはまさに衝撃的だったアルバム。その衝撃は久しぶりに聴いたこのリイシューでもほとんど変わりませんでした。長らく廃盤の状態だったようですが、今回のリイシューで一気に手に取りやすくなったようですので、これを機に是非!まさに衝撃の走る傑作です。

評価:★★★★★

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