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2018年7月31日 (火)

神様のお気に入り!

Title:God's Favorite Customer
Musician:Father John Misty

前作「Pure Comedy」が大きな評価を受けた元Fleet Foxesのドラマー、J.Tillmanのソロプロジェクト、Father John Misty。本作はFather John Misty名義となる4作目のアルバム。まずタイトルがなかなかユニークでどこか皮肉めいています。邦題をつけると「神様のお気に入り!」となりそう・・・これだと皮肉めいた雰囲気が消えてしまいますが・・・。

ただ肝心の楽曲は絶妙なメロディーセンスが冴え、非常に丁寧につくられたサウンドをバックに魅力的に聴かせるポップスが主軸となっています。まず序盤、耳に残るのが先行シングルでもあり自らの本名を冠した題が印象的な「Mr.Tillman」。アコギを加えたバンドサウンドの中、ピアノの奏でるフレーズがまず美しく印象に残りますし、そのピアノにあわせるように歌われるメロディーラインもどこか切なさが感じられる、耳に残るフレーズとなっています。

続く「Just Dumb Enough To Try」もピアノをバックにフォーキーに聴かせるナンバー。こちらもピアノをバックに丁寧に歌われるメロディーに切なさとある種の郷愁感を覚えさせる楽曲になっています。

その後も基本的にピアノやアコースティックギターを主軸にしっかりとメロディーラインを聴かせるポップスが主軸。シンプルながらもどこか懐かしさを感じさせるサウンドは60年代のビートルズのテイストも感じさせます。決して目新しくはないのですが、とにかくメロディーラインの良さに惹きつけられるポップソングが並んでいます。

そして後半の聴かせどころはやはりタイトルチューンの「God's Favorite Customer」でしょう。アコースティックなサウンドをバックに、フォーキーな雰囲気で切なく淡々と歌うナンバー。もともと彼自身、牧師を目指していた過去を持つそうで、そんな「神様のお気に入り」だった彼が、神様から距離を置いていくに至った思いを歌ったナンバーだとか。メロディーやサウンドからも彼の思いを感じ取ることの出来るこのナンバーはまさに後半のハイライトとなっています。

終盤の「The Songwriter」もピアノをバックにしんみりと聴かせるバラードナンバー。そしてラストを締めくくる「We're Only People(And There's Not Much Anyone Can Do About That)」などもまさに70年代のフォークロックを彷彿とさせるような聴かせるナンバーに。最初から最後まで60年代や70年代の匂いを醸し出しながら、丁寧に聴かせる歌が魅力的な作品に仕上がっていました。

そんな訳で、比較的淡々と進んでいくアルバムで決して派手さはありません。また目新しさという観点からも薄味かもしれません。ただ間違いなく美しいメロディーラインが耳を惹き、終わった後、満足感あふれる気持ちになるアルバムだったと思います。いい意味で比較的広い層にアピールできるようなポピュラリティーあるアルバム。今回も前作に続いて傑作に仕上がっていました。

評価:★★★★★

Father John Misty 過去の作品
Pure Comedy

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