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2018年7月 8日 (日)

J-POPリスナー層にも訴求しそうなポップス

Title:Love Is Dead
Musician:CHVRCHES

かわいらしい女性ボーカルと軽快なポップソングが魅力的で本国イギリスやスコットランドでも高い人気を誇る女性ボーカル+男性2名という3ピースバンドCHVRCHES(チャーチズ)。前作から約2年8ヶ月。待望の3rdアルバムがリリースされました。

彼女たちの音楽の大きな特徴はメロディーが非常にわかりやすく軽快な、どこか80年代も彷彿とさせるシンセポップと、かわいらしい女性ボーカル。基本的に1枚目も2枚目も、そんな彼女たちの特徴をそのまま生かした素直なポップソングが並んでいましたが、3作目となる本作もそんな彼女たちの基本路線をきちんと踏襲した、実に彼女たちらしいポップソングが並んでいました。

また彼女たちの楽曲は、洋楽としては珍しくわかりやすいサビを持ったJ-POP的な構造の曲が多く見受けられるのも特徴的。本作でいえば1曲目「Graffiti」もわかりやすくインパクトあるサビを持っていますし、「Graves」などはまさしくテンポよいリズムとサビにむかって盛り上がっていき、わかりやすいサビが展開する楽曲構造などはまさしくJ-POP的。ここらへん、かわいらしい女性ボーカルとあわさって、普段、洋楽を聴かないようなリスナー層にも訴求しやすいポップスだと思っています。そういう意味ではもっと日本でも売れてもいいタイプのミュージシャンだと思っているのですが・・・。

また「Heaven/Hell」やある種のスケール感を感じるラストソングの「Wonderland」のシンセサウンドなど、80年代の匂いを感じるシンセの使い方にどこかノスタルジックな雰囲気も感じます。ここらへんも彼女たちの音楽がいい意味で聴きやすさを感じさせる大きな要因でしょう。

今回のアルバムでちょっと異色的だったのが「My Enemy」でThe Nationalのマット・バーニンガーが参加していること。マットのボーカルが渋さを感じさせるナンバーになっており、アルバムの中でもひとつのインパクトとなっています。また「God's Plan」でもいつものように男性ボーカル曲を入れてきて、アルバムの中でのバリエーションを持たせています。この曲はよりエレクトロ色が強く、ダンサナブルなテクノ風のナンバーに仕上げており、ここらへんのバリエーションの持たせ方もいつも通りといった感じでした。

そんな訳でアルバムの内容としては1枚目、2枚目と大きな変化はありません。ただ、彼女たちみたいな軽快なポップソングが魅力的なミュージシャンは変にスタイルを変えてくるよりも、本作のようにあくまでもポップであることを追及したアルバムの方が良いのかもしれません。実際、3作目となる本作でもメロディーのポップスさもあり、マンネリな雰囲気を全く感じることなく魅力的なポップアルバムに仕上がっていました。上にも書いた通り、J-POPリスナー層でも違和感なく楽しめるポップスだと思うだけに、普段洋楽を聴かないような方も、是非ともチェックしてみてほしいのですが・・・。日本でももっともっと人気が高まってほしいなぁ。

評価:★★★★★

Chvrches 過去の作品
The Bones Of What You Believe
Every Open Eye

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