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2018年6月18日 (月)

基本路線は変わらず、エレクトロ色が強めに

Title:わがまマニア
Musician:CHAI

昨年、アルバム「PINK」が大きな評判を呼んだ4人組ガールズロックバンドCHAI。チャットモンチーのブレイク以降、数多くのガールズバンドがデビューを果たしました。そんなガールズバンドの中ではかわいいルックスでアイドル的な人気を博するグループも少なくない中、彼女たちのルックスは失礼ながらお世辞にも「美人」とは言えません。しかし彼女たちはそんなルックス的な特徴を逆手に生かし、「コンプレックスこそアートなり」「ネオかわいい」をバンドのテーマにかかげ、ありのままの自分を賞賛する楽曲を発表し、それが大きな話題となりました。

個人的にもアルバム「PINK」にはすっかりはまってしまい、昨年の個人的ベストアルバムでは1位に選出。すっかりCHAIのファンになってしまいました。そして早くもリリースされた彼女たちの新作は5曲入りのミニアルバム。そしてその路線は基本的に前作「PINK」を踏襲したものでした。

彼女たちのもうひとつ大きな魅力といえばその非常に足腰の強いバンドサウンド。力強く迫力ある演奏に、キュートともいえるポップなメロディーライン。そしてハイトーンでそのルックスとは異なり(失礼!)とてもキュートなボーカルが強く印象に残ります。前作「PINK」のレビューの時にも書いたのですが、サウンド的にはメスカリン・ドライブや少年ナイフからの流れを感じる部分もあり、日本のガールズパンクの歴史の流れに名を連ねるバンドのひとつといって間違いないでしょう。

本作でいえば、2曲目「アイム・ミー」がまさにそんなCHAIらしさをあらわした楽曲と言えます。へヴィーなバンドサウンドと、それと対照的ともいえるポップなメロディーライン。「わたしがわたしをかわいくするの」と歌い本作は、まさに「ありのままの自分」を標榜する歌詞。実にCHAIらしい楽曲にまとまっています。

「FAT-MOTTO」なんかも彼女たちらしいポップソング。太っていることの全肯定なユニークな歌詞。リズム隊のファンキーな分厚いグルーヴ感もカッコよく、こちらもCHAIの魅力がサウンドの面でも歌詞の面でも全開となっています。

ただ今回のアルバムは「PINK」に比べるとシンセのサウンドを前に押し出して、ちょっと軽くなったような印象を受けます。特に「フューチャー」「Center of the FACE!」などは特にエレクトロな側面が強くなっている楽曲。シンセを取り入れたサウンドは「PINK」でも見受けられましたが、今回のアルバムではそれがより目立ったように思います。

個人的にはバンドとしての体力のあるグループなだけにエレクトロサウンドに走るよりも、もっとバンド色を前に押し出した方がよいとは思ったのですが、ただ、もちろんエレクトロサウンドを前に押し出した2曲に関しても十分魅力的。5曲入りのミニアルバムなだけにもっと聴きたいなぁ、という印象も残るのですが、「PINK」に引き続き大満足の傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

CHAI 過去の作品
PINK


ほかに聴いたアルバム

666 (TRIPLE SICK'S)/ ヒステリックパニック

名古屋で結成された5人組バンドによるミニアルバム。彼らのアルバムを聴くのは前作「LIVE A LIVE」に続いて2作目なのですが、基本的な感想は同じ。メタルテイストのハードコアサウンドに、そんなサウンドと対照的なポップなメロが特徴的なのですが、全体的なごちゃごちゃ感が否めず、音的に整理されていない印象が。一皮むければグッとおもしろくなると思うのですが・・・。

評価:★★★

ヒステリックパニック 過去の作品
LIVE A LIVE

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コメント

CHAIはとても素晴らしいですよね,TVへの露出も増えてブレイクした感もあります。
今回のミニアルバムは確かに軽い感じはしますね(もちろん良い曲が並んでいますが)。前作にあるような,もっとゴリゴリの曲が聞きたいなとも思いました。

あと最近の女性ミュージシャンとして,カネコアヤノが素晴らしくて個人的にハマっています。CHAIが司会をする音楽番組にもゲストで出てました。

投稿: kozy | 2018年6月22日 (金) 20時47分

>kozyさん
CHAIは本当に素晴らしいバンドです。ミニアルバムはちょっと物足りなさを感じる部分もありましたが、いいアルバムでした。
カネコアヤノははじめて名前を聴きました。なかなかよさそうですね。機会があれば聴いてみたいです!

投稿: ゆういち | 2018年7月23日 (月) 23時10分

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