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2018年6月26日 (火)

奇抜なファッションが話題の実力派サックスプレイヤー

Title:SAXONIC
Musician:ユッコ・ミラー

今回紹介するのは、今、一部で話題となっている女性サックスプレイヤー、ユッコ・ミラー(日本人です、念のため)。このジャケット写真に写っている彼女もジャズ・サックスプレイヤーとしては異質とも思える派手なルックスですが、ギャル的なルックスに「萌え系」なキャラ設定と奇抜なファッションという飛び道具系のキャラクターでありながらもサックスプレイヤーとしての腕前は一流。キャンディー・ダルファーやグレン・ミラーのツアーにゲストとして参加するなどの実績も兼ね備えています。

もともと彼女について知ったのは昨年11月に足を運んだ岡崎でのジャズフェス、「岡崎ジャズストリート」でのこと。彼女のステージの時間帯に、ほかに見たいミュージシャンがいなかったこともあり、その奇抜なキャラに興味半分にステージに足を運んだのですが、予想以上にカッコいいサックスプレイにすっかりと惹きつけられてしまいました。

そんな訳で今回リリースされた彼女のメジャー2枚目のアルバムを、音源としてははじめて聴いてみました。今回のアルバムで話題になったのはあのピコ太郎が参加している点。彼とのコラボ曲「ボンノバンニベンガボーン」はピコ太郎のネタ曲に彼女が参加しているスタイル。ジャズという枠組みを飛び越えたユニークなナンバーながらも、正直言って、いまさらピコ太郎??という印象を受けるほか、こちら完全に下ネタ(^^;;そういう意味ではマスを狙ったのかもしれませんが、正直言って好き嫌いはわかれそう。ただ、この曲の中に入ってくる彼女のサックスプレイは文句なしにカッコいいです。

ただ、このピコ太郎とのコラボもそうなのですが、今回のアルバムに関しては完全に「売れること」を狙ったような作品に感じてしまいました。今回、カバー曲が4曲含まれているのですが、うち3曲はアデルの「Hello」にダーティ・ループスの「Hit Me」、さらにジャミロクワイの「Virtual Insanity」とジャズというよりも完全にポップスの範疇の曲。それも日本でもおなじみなナンバーであり、正直言って、かなりベタベタな選曲に感じます。

そして肝心の内容についても・・・こちらは完全にあまり良くない意味でイージーリスニングといった感じ。ジャズというよりもポップステイストが強く、ジャズリスナーではない層にも聴きやすいといえば聴きやすいのですが、サックスプレイに関してもこれといったオリジナルティーもカッコよさも感じられず、平凡という印象を受けてしまいました。

特にこれらの曲がそう思うのは、ラストに聴かせてくれるカバー「Some Skunk Funk」がカッコよかったから。こちらはアメリカのジャズミュージシャン、ザ・ブレッカー・ブラザーズのカバーなのですが、ファンキーなサウンドがカッコいいナンバーで、おそらく「売り」抜きにしたらこちらの方向性をやりたかったのかな、と感じてしまいます。

ピコ太郎とのコラボ曲「ボンノバンニベンガボーン」の中のサックスプレイもカッコよかったですし、アルバムの随所にユッコ・ミラーのサックスプレイヤーとしての実力と魅力を感じさせるプレイも見受けられたのですが、全体的には正直言って平凡さを感じてしまうアルバムになっていました。確かに、ギャル系の奇抜なファッションが特徴的な彼女は、そのキャラクター的にジャズというカテゴリーを超えてブレイクする要素を持ったミュージシャンだと思いますが、そのブレイクを急ぎすぎていないかなぁ、という印象も受けました。

そういう意味では非常に残念に感じたアルバム。それでも彼女が実力あるミュージシャンということは先日見たライブとあわせて十分にわかっただけに、無理に「売り」に走らなくても、彼女のやりたいことを続ければ徐々に売上はついてくるんじゃないかなぁ。次のアルバムに期待です。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

YOU/阿部真央

前作「Babe.」では母となった彼女が、母親としての視点で歌った歌を主軸に置いたアルバムになっていましたが、今回のアルバムは再び、女性の感情をそのまま吐露したインパクトあるラブソングがメインに。ただ「27歳の私と出がらし男」のように彼女らしいユーモラスたっぷりにダメ男を皮肉った歌詞もあるのですが、全体的な大人の雰囲気を感じる、ちょっとエロさすら感じる歌詞が魅力的に。楽曲的にもいつものギターロック路線をメインに、ちょっと大人なAOR路線を混ぜてきている感じがします。大人な雰囲気のアルバムとなった本作。また彼女が新たな一歩を踏み出したような感もある新作でした。

評価:★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24
おっぱじめ
Babe.

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