ソロデビュー25周年
Title:mile stone
Musician:宇都宮隆
ソロデビュー25周年を迎える宇都宮隆の、約5年半ぶりとなるニューアルバム。
またTMNが活動をしていた1992年から数えて25年目ということになるのですが、ソロ活動開始をリアルタイムで知っているだけに、もう25年になるのか・・・と遠い目をして思ってしまいます。
久々となる今回のアルバムは25年目の節目となるアルバムということでかなり力を入れているみたいで、つんく♂や尾崎亜美を作家陣に迎えた豪華なラインナップが魅力のアルバムとなっていました。
ただ・・・そんな力を入れたアルバムなのですが、アルバム全体としては非常にムード歌謡風のアルバムに仕上がっていました。つんく♂の「未来へ」はハードロック調のアレンジながらも、つんく♂らしい歌謡ロック的な作品。尾崎亜美が提供した「境界線を引いたのは僕だ」もギターのアルペジオとピアノが美しい楽曲なのですが、哀愁感たっぷりのメロディーの歌謡曲な楽曲になっています。
ほかにもカバー曲が収録されているのですが岩崎宏美の「思秋期」と山本リンダの「どうにもとまらない」というバリバリの歌謡曲。2015年から歌謡曲のカバーライブを実施しているようですが、その流れということなのでしょう。アルバム全体としてはまさに歌謡曲なアルバムになっていました。
歌謡曲という路線ももちろん悪くはないのですが、あの未来感あふれるデジタルロックのボーカリストだった宇都宮隆が歌謡曲かぁ・・・そりゃあ、彼ももう還暦(!)だから、そうやっておとなしくまとまっちゃうよね・・・と時代の流れを感じてしまいます。
そんな「歌謡曲」な楽曲は出来は悪くないのですが、ありふれた感は否めず、宇都宮隆の新機軸としてはいささか物足りなさを感じてしまいます。今回、またも「GET WILD」のセルフカバー「GET WILD PANDEMIC」が収録されているのですが、彼のボーカルはどうしてもこういう疾走感あるロックチューンのほうが似合うように思ってしまいます。
ちなみに今回、彼の代表曲を集めたベスト盤がついたCD2枚組のセットと、アルバム+DVDの2枚組セット、さらにはすべてがセットされた限定版がリリースされましたが、今回聴いたのはベスト盤とのセットの方。ただこちらのベスト盤、なぜか大ヒットした「少年」や「discovery」が収録されておらず、ちょっと物足りない選曲に感じてしまいます。
25周年の記念アルバムとしては収録曲はたった6曲入りのミニアルバムだったし、いろいろな意味で残念さを感じるアルバムになっていました。前作「TRILOGY」が予想以上にいいアルバムだったので残念。正直なところ、次はもっとロックなアルバムを期待したいところなのですが・・・。
評価:★★★
宇都宮隆 過去の作品
TRILOGY
ほかに聴いたアルバム
a flood of circle/a flood of circle
ギターに新メンバー、アオキテツを加えて4人組となったa flood of circle。今回の作品はセルフタイトルになりましたが、セルフタイトルは2007年にリリースしたデビュー作以来2作目。新メンバーが加入して、新たなバンドに生まれ変わったという彼らの意気込みを感じます。
もっともスタイルとしては以前から変わらず、アップテンポなリズムにヘヴィーなガレージロック。シャウト気味のボーカルががなり立てるスタイル。一方で歌は意外とメロディアスでポップにまとめており、同じく端正で聴きやすさもあるボーカルとあわさって、基本的には聴きやすさを感じます。ミクスチャーロック風にスタートする「Where Is My Freedom」やサイケ感ある「Rising」、ラップを取り入れた「One Way Blues」などバラエティーある作風も目立つ反面、アルバム全体としてはちょっとインパクトは薄れてしまった感も。
評価:★★★★
a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-
NEW TRIBE
一大事/ポルカドットスティングレイ
人気上昇中の女性ボーカル+男性3名による4人組ロックバンド。ボーカルの雰囲気と歌い方に椎名林檎からの強い影響を受けるため、楽曲的な個性がちょっと薄くなってしまっているのは残念ですが、ファンキーな「パンドラボックス」やブルージーなギターを聴かせる「リスミー」などバンドサウンドには大きな魅力が。ただ全体的にはもうちょっと楽曲のバリエーションも欲しいし、椎名林檎の影が見えてしまう作風も改善してほしい感じも。いいアルバムでありながらも、あと少しで「傑作」になり損ねている作品が続いている感があり、残念ですが・・・。
評価:★★★★
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