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2018年6月25日 (月)

ポップなメロディーがより印象的に

Title:Tell Me How You Really Feel
Musician:Courtney Barnett

デビューアルバムである前作「Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit」が話題となり、グラミー賞の最優秀新人賞にもノミネートされたオーストラリアの女性シンガーソングライター、コートニー・バーネット。昨年はKurt Vileとのコラボアルバムをリリースしましたが、純然たるソロ名義のアルバムとしては話題となったデビューアルバム以降、約3年2ヶ月ぶりとなる待望のニューアルバムがリリースされました。

彼女の特徴はSONIC YOUTHやPIXIESあたりを彷彿とさせる80年代のローファイ気味なインディーギターロック。ノイジーなギターが淡々と鳴り響くダウナーなサウンドが癖になるのですが、メロディーラインがポップなのも魅力的(まあ、これは80年代のインディーギターロックにも共通する部分ですが)。こういってしまうと若干「偏見」が入っているかもしれませんが、ポップなメロディーラインにはどこかキュートさも加わっており、女性らしい可愛らしさも感じます。

今回のアルバムに関しても基本的にそんな前作の特徴を踏襲したアルバム。全10曲、ノイジーなギターサウンドが鳴り響き、基本的には前作からの大きな違いはありません。アルバムは最初「Hopefulessness」で非常に静かな雰囲気の中からスタート。そして続く「City Looks Pretty」はポップなメロディーラインがとても心地よいナンバー。ポップなメロの中に加わる歪んだギターサウンドがいかにもな感じですが、これがとても心地よく感じます。

「Charity」はギターのイントロがいかにもインディーギターロックらしくてちょっとうれしくなってきますし、「Need a Little Time」は一転、しんみりしたメロディーラインが魅力的な曲に仕上がっています。

その後も比較的ポップな曲調が目立つ楽曲が多いのも特徴的で、軽快なメロディーラインの「Nameless, Faceless」「Crippling Self-Doubt and a General Lack of Confidence」や、ミディアムテンポのナンバーで歌をしっかりと聴かせる「Walkin' on Eggshells」やラストを締める「Sunday Roast」など、ローファイ気味なサウンドは変わらずながらも、前作よりも歌やメロディーの輪郭がはっきりしたポップチューンが多かったように思いました。

一方、ロック的な観点からかっこよかったのが「I'm Not Your Mother, I'm Not Your Bitch」。なんかタイトルからしてなにを歌いたいのかすぐわかるような内容なのですが(^^;;ダイナミックでヘヴィーなバンドサウンドにシャウト気味なボーカルでいかにもロッキンな楽曲。ロックミュージシャンとしてのかっこよさを強く感じるナンバーになっています。

全10曲入り37分という短さも大きな魅力で、似たようなタイプの曲が多いものの、そんなことを気にせずに最後まで一気に聴けてしまう勢いのあるアルバムでした。前作同様の傑作アルバムにすっかりはまってしまった1枚。ちなみにクレジットを見て気がついたんですが、ギターとバックボーカルに元PIXIESのキム・ディール姉御が参加されているんですね。確かに、キム・ディールに通じるところが大きそうですからねぇ。うれしい驚きです。

2枚目にして彼女が話題となったデビュー作の一発屋ではなく、実力あるミュージシャンだということを確信できた傑作アルバム。イギリスのアルバムチャートでは見事ベスト10入りを記録しており、人気上昇中であることが実感できます。これからの活躍も楽しみ。ギターロック好きはマストな1枚です。

評価:★★★★★

Courtney Barnett 過去の作品
Sometimes I Sit & Think & Sometimes I Just Sit
Lotta Sea Lice(Courtney Barnett&Kurt Vile)

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