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2018年6月22日 (金)

作家陣を入れ替えて新たな一歩を

Title:TIME
Musician:家入レオ

昨年はデビュー5周年を迎え、ベスト盤やアルバム「WE」をリリースするなど積極的な活動が目立った彼女。そんな前作「WE」から約1年8か月。早くもニューアルバムがリリースとなりました。

前作「WE」ではデビュー以来、彼女の楽曲を手掛けてきた西尾芳彦の手から離れ、メインライターとしてSuperflyの活躍でもおなじみの多保孝一を起用し、新たな一歩を踏み出しました。さらに今回のアルバムでは西尾芳彦の手から完全に離れ、ポルノグラフィティやいきものがかりのプロデュースで知られる本間昭光や、元Galileo Galileiの尾崎雄貴を作家陣して起用。さらなる新たな展開を見せています。

さらに前作まで、基本的には西尾芳彦や多保孝一との共作だった家入レオ作曲作品ですが、今回は他の作家との共作ではなく、自ら作詞作曲を手掛けた曲が3曲収録。特に「だってネコだから」は猫の視点から歌った切なくも可愛らしいラブソングになっており印象的。そういえば彼女って完全に猫目ですよね・・・(^^;;

ただ、作家陣を入れ替えても家入レオとしての方向性にあまりブレは感じません。よくも悪くもJ-POP的。例えば「Relax」のようなシンセにより音を分厚くしてダイナミックに聴かせる手法などはいかにもJ-POP。「ファンタジー」なども疾走感あるギターロックなのですが、哀愁感あるメロディーラインにハードロックライクなバンドサウンドは、80年代的なものを彷彿とさせます。

また「TOKYO」ではスカ風のリズムを取り入れてきたり、「ありきたりですが」ではフォーキーなサウンドに仕上げてきたりと、良く言えばバラエティー豊富な、悪く言えば少々散漫さも感じる方向性も実にJ-POP的なものを感じます。

以前の彼女の楽曲も90年代のJ-POPに慣れ親しんだアラフォー世代にとっては懐かしさを感じる曲調で安心して聴けるのも彼女の大きな特徴。そんな方向性は本作でもほとんど変わっていません。また初期の彼女は「中2病」的な要素はほとんどなくなりました(あえていえば「ファンタジー」あたりにはその要素が残っているかな?)。そういう意味では自然体の彼女がより表に出てきた作品になっていたと思います。

デビュー当初の楽曲が持っていた、一度聴くと忘れられないようなワンフレーズのようなものは残念ながら本作でも見受けられませんでしたが、作家陣を入れ替えても十分な満足いく作品をリリースできたという意味では大きな意義のある作品だったと思います。今後、さらに彼女が作詞作曲を手掛ける作品が増え、シンガーソングライターとして独り立ちできれば、さらにその可能性は広がりそう。5周年の年を超えて、今後の可能性も感じる1枚でした。

評価:★★★★

家入レオ 過去の作品
LEO
a boy
20
WE
5th Anniversary Best

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