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2018年6月 8日 (金)

クリアボイスと独特の世界観で20年

Title:EVOLVE to LOVE-20 years Anniversary BEST-
Musician:KOKIA

その澄み切ったクリアボイスとストリングスやピアノをふんだんに取り入れたファンタジックなアレンジで独特の世界観をつくりあげているKOKIA。そんな彼女も1998年のデビュー以来、早くも20年。その節目となる年に、初となるオールタイムベストをリリースしました。

20年間、出産の時期以外はほぼ休むことなく活動を続けてきた彼女。ただ、ぶっちゃけた話、20年間、大きなヒットにはあまり恵まれませんでした。一時期、ポップ寄りにシフトし「ミュージックステーション」にも出演したりして、2003年にリリースされた「The Power of Smile」はオリコン最高位15位を記録。直後にリリースされたアルバム「Remember me」も最高位15位を記録しましたがオリコンの順位的にはここがピーク。その後の作品はランキング上位にあがってくることはありません。

ただ、そんな状況にも関わらず楽曲のタイアップは途切れることはなく、さらには海外にも進出し、一定の人気を博しました。それが楽曲のヒット状況にも関わらずまた20年間、ほぼ休むことなく活動を続けられた大きな理由でしょうし、また彼女にこれだけのタイアップオファーが相次いだのも、彼女の人を惹きつける澄んだボーカルと、ファンタジックな独自の世界観が大きな魅力だったのでしょう。

今回、全4枚組というボリューミーな内容となったオールタイムベスト。20年という彼女の活動歴の長さを物語っているようです。そのうちDisc1、2は「SINGLE COLLECTION」として彼女の過去のシングル曲が発売順に並んでいます。一方Disc3、4は「KOKIA SELECTION」として彼女が選んだ曲がこちらも発売順に並んでおり、KOKIAの代表曲が網羅された内容となっています。

まず彼女の活動の歩みという観点から興味深いのは「SINGLE COLLECTION」。彼女の20年の歩みがそのまま反映されているのですが、ファンタジックな世界観や澄んだ彼女の声を生かした曲という点では共通しているものの、時期によっていろいろなタイプの曲が混ざっています。上にも書いた通り、20年間、大きなブレイクがなかった彼女でしたが、それだけに音楽的な方向性を模索した後が強く見受けられました。

デビューシングル「愛しているから」「Tears in Love」はAOR的なアレンジで90年代初頭のアイドルポップ的な雰囲気を彷彿とさせる楽曲にデビュー直後の彼女がアイドル的な方向性も模索していたことを感じさせます。ただ、私の記憶によれば、なのですがこれらの曲がリリースされた1998年当時でも、このサウンドは少々時代遅れだったような気が・・・。

その後、ファンタジックな世界観へとシフトしていくのですが、また雰囲気が変わるのが2002年リリースの「人間ってそんなものね」あたりから。バンドサウンドを積極的に取り入れて、良くも悪くもサウンド的に聴きやすい方向性にシフトします。さらに決定的だったのが上にも書いた彼女の最大のヒット曲「The Power of Smile」。インパクトあるメロディーラインに明らかに「売れる」ことへの強い意識を感じさせます。さらにアテネオリンピック日本選手団公式応援歌にもなった2004年の「夢がチカラ」になると前向きな歌詞も含めて、完全に「J-POP王道系」的な作品に。さすがにここらへんになるとKOKIAらしさが薄くなってしまい、当時でも違和感を覚えた印象があります。

残念ながら大ブレイクには結びつかなかったためか、その後はまたファンタジックな路線に回帰していきます。ただ「KARMA」のようにアジアンテイストでエキゾチックさを醸し出したサウンドを入れてきたり、「Fate」のようにオーケストラアレンジで大胆なアレンジを加えてきたり、彼女のボーカルを生かした独自性を感じつつも、全体的には少々仰々しい感じも。一方では「光の方へ」のようにピアノでしんみりと聴かせるバラードナンバーなどもあったりして、かなりその方向性に苦心した跡が見受けられます。

ただ直近の「Battle of destiny」「記憶の光」ではファンタジックな作風の中でポピュラリティーも入っており、良くも悪くも落ち着いた感じの楽曲に仕上がっています。そういう意味ではとりあえずはひとつの方向性は見つけ出しつつあるのでしょうか。とはいえ、これらのシングルもすでに5年前の曲なのですが・・・。

一方で「KOKIA SELECTION」の方は大胆なアレンジのファンタジックな曲からピアノやアコギ、ストリングスでしんみりと聴かせる曲まで、全体的に幻想的な世界観が統一されており、アレンジの雰囲気こそ異なるものの、「SINGLE COLLECTION」に比べると統一感がある内容になっていました。そういう意味ではシングルで方向性を模索している反面、アルバム曲などで見せた彼女のコアな部分はデビュー以来、一貫していた、といえるのかもしれません。

全4枚組、さらにはかなり仰々しいアレンジの曲も少なくないことから、正直言うと、少々おなか一杯になったベスト盤でしたが、KOKIAの歩みをしっかりと知ることができ、かつ彼女の魅力もしっかりと感じられることが出来るアルバムになっていました。彼女の魅力的なボーカルと独特の世界観がある限り、まだまだ彼女の活躍は続きそうですね。そろそろ大きなシングルヒットが欲しいころではあるのですが・・・。

評価:★★★★★

KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~
REAL WORLD
Musique a la Carte
moment
pieces
心ばかり
Where to go my love?
I Found You

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