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2018年6月 4日 (月)

Eテレの子供向き番組のサントラだが

Title:デザインあ 2
Musician:Cornelius

Eテレで毎週土曜日に放送されているデザインをテーマとした子供向き番組「デザインあ」。放送自体も非常に高い評価を得ている番組のようですが、そんな中でも音楽をあのCorneliusが手掛けているという点でも大きな話題となっています。以前、この「デザインあ」で使用された曲をあつめたサントラ盤がリリースされましたが、前作から約5年2ヶ月。サントラ盤の第2弾がリリースされました。

全31曲。トラックは1曲あたり長くて2分、短いジングルだと10秒に満たない曲も収録されています。そんないかにも「サントラ盤」的な内容の本作ですが、そんな楽曲がいずれも、実にCorneliusらしさがはっきりと出た、彼の魅力がしっかりつまった作品に仕上がっていました。

「あ」という言葉をモチーフに、シンプルで最小限の音数のみで表現された美しいエレクトロサウンドやピアノの音色が耳を惹く作品。1曲1曲が非常に作り込まれたソリッドな音色に仕上がっており、例えば時計のリズムを入れてきたり、木琴の音色を入れてきたり、1曲1曲にしっかりと彼なりのアイディアを詰め込んできており、聴かせる作品にまとめてきています。

そんな中でも今回のサントラで光ったのが数多くのゲストが参加した歌モノの曲たち。青葉市子や原田郁子、ハナレグミ、坂本真綾など、比較的Cornelius近辺ではおなじみのミュージシャンたちなのですが、それだけに個々のミュージシャンの個性をしっかりと生かしたポップソングが並んでいました。

例えば青葉市子の「てざわりうた」は彼のウィスパー気味のボーカルを生かしたアコースティックなサウンドが耳に残りますし、「せん」も原田郁子の個性的なボーカルを生かしたちょっと幻想的な作風が特徴的。ハナレグミがボーカルを取る「つなげる」もアコースティックなサウンドで彼のボーカルの優しさをしっかりと生かした作品になっています。

さらにカッコよかったのがKAKATOと環ROY×鎮座DOPENESSが参加した「めでたい-だるま」。だるまの由来を綴ったユニークなラップチューンなのですが、エッジの利いたトラックにカッコよさを感じさせる楽曲でした。そして坂本真綾の「ともるひかる」もピアノでゆっくりと聴かせるとても暖かみを感じる楽曲。こちらも坂本真綾のボーカルをしっかりと生かした楽曲に仕上げています。

子供向け番組のサントラということで侮ることなかれ。番組がなくても曲単体で成り立つような楽曲ばかりですし、Corneliusの新作と言ってしまっても全く遜色ない傑作アルバムだったと思います。サントラということでチェックしないのはあまりにも残念な1枚です。

評価:★★★★★

cornelius 過去の作品
CM3
FANTASMA
「NHKデザインあ」
CM4
攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T.music by Cornelius
Mellow Waves


ほかに聴いたアルバム

No.0/BUCK-TICK

デビュー30周年を迎えたベテランバンドBUCK-TICKの21枚目となるアルバム。今回のアルバムは全体的に打ち込みのサウンドが主軸となっているアルバム。そういう意味では基本的に前作「アトム 未来派 No.9」の延長線上にあるようなアルバムですが、その前作と同様に、ベテランらしい安定感がありつつも一方ではまさかの勢いすら感じさせるアルバムになっており、デビュー30年を迎え、いまだに進化を続ける彼らの姿を感じさせます。前作までの出来ではなかったものの、今回も文句なしの傑作アルバム。この進化はある意味驚きです。

評価:★★★★★

BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
RAZZLE DAZZLE
夢見る宇宙
或るいはアナーキー
アトム 未来派 No.9
CATALOGUE 1987-2016

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