踊れるロックがテーマ
Title:BEAT&ROSES
Musician:及川光博
いまだにほぼ毎年、アルバムをリリースし、さらにライブツアーを行うミッチーこと及川光博。さらには俳優としての活動も目立ち、御年48歳、デビューから20年以上という「ベテランミュージシャン」の域に入る彼ですが、まるで若手ミュージシャンのような積極的な活動が続いています。
そんな前作からわずか1年というインターバルでリリースされたのがこの新作。全7曲入りのミニアルバムとなっています。ここ最近、ミニアルバムのリリースが続いています。ちょっと寂しい感じもするのですが、ただアルバムリリースの間隔をあけてでもフルアルバムをリリースするよりも、少しでも早く多くの曲をファンに届けたいという彼の意気込みが感じられます。今回もまさにミッチー節といえる彼らしい曲が並んでいました。
今回のアルバムコンセプトは「踊れるロック」。そしてアルバムの中にそのテーマに沿ったJ-POPのカバーが収録されている点は前作「FUNK A LA MODE」と同じような構成になっています。そして今回カバーに選ばれたのは布袋寅泰の「スリル」。原曲に比べてギターの音は後ろに下がり、シンセの音を入れて軽快なビートを強調したようなカバー。ちょっと意外な選曲のようにも思いましたが、今回のアルバムの中でしっくりおさまっており、しっかりとミッチーの曲になっています。
そんな「スリル」以外にも今回はテーマに沿った「ロック」の曲が多く収録されています。1曲目「インフィニティ∞ラブ」から軽快なギターロックのナンバーからスタート。「セックスフレンド」のセルフカバー「セックスフレンド<2018>」もハードロック風なカバーに仕上がっていますし、ラストのタイトル曲「BEAT&ROSES」も軽快なビートロックのナンバーに仕上げています。
ほかのナンバーも、「恋にうつつをぬかしたい」もキラキラしたシンセが目立つ楽しいポップチューンながらもヘヴィーなギターとベースラインというロック風のアレンジが加わっていますし、「Birthday~バラのブレス~」もメロディアスなポップチューンながらも分厚いギターサウンドが加わっているなど、ロック風のアレンジが目立ちます。
そんな訳で、全体的にロックなアレンジを主軸とした楽曲が目立つ今回のアルバム。ただし、基本的にはいつものミッチーらしさは変わらず、良い意味でファンにとっては安心して聴ける作品ですし、安定感ある作品に仕上がっていたと思います。ロックなアレンジなだけにライブ映えしそうですし、ライブは盛り上がりそう・・・。聴いていて素直に楽しめる1枚でした。
評価:★★★★
及川光博 過去の作品
RAINBOW-MAN
美しき僕らの世界
喝采
銀河伝説
ファンタスティック城の怪人
さらば!!青春のファンタスティックス
男心DANCIN'
20 -TWENTY-
パンチドランク・ラヴ
FUNK A LA MODE
ほかに聴いたアルバム
doorAdore/Plastic Tree
昨年、メジャーデビュー20周年を迎えたPlastic Tree。ただライブ公演は行ったものの音源としてはベスト盤もオリジナルアルバムもリリースせずリリースされたのはトリビュートアルバムのみ。ある意味、マイペースな感じが彼ららしいのですが、約2年4ヶ月ぶりにリリースされたオリジナルアルバムが本作。基本的にはいつもの彼ららしい耽美的で哀愁感あふれるメロディーにノイジーなギターロックというスタイルなのですが、シューゲイザー路線はちょっと後ろに下がり、ダイナミックなバンドサウンドが目立つような印象が。前作「剥離」でもバンドサウンドのへヴィネスさが増していた印象がありましたが、その路線を引き継いだような新作になっていました。
評価:★★★★
Plastic Tree 過去の作品
B面画報
ウツセミ
ゲシュタルト崩壊
ドナドナ
ALL TIME THE BEST
アンモナイト
インク
echo
剥離
スポットライト/FLOWER FLOWER
ソロミュージシャンとして活動していたyuiが結成したバンドFLOWER FLOWER。yuiの結婚・出産により一時期活動を休止していたものの、徐々に活動を再開。そして3年ぶりとなるアルバムがリリースされました。
楽曲的には比較的シンプルなギターロック。前作「色」では実験的な作品も目立ったのですが、本作は一部幻想的な曲はあるものの、基本的にはポップな楽曲がメイン。ただ、バンド色、ロック色はより強くなり、ロックバンドとしての明確な方向性が感じられます。インパクトとしてはちょっと弱く、核となるような1曲がないのはちょっと残念ですが、YUI時代に感じられた外連味なく楽しめるアルバムになっていたと思います。
評価:★★★★
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