サムライジャケットが大きなインパクト
Title:Resistance Is Futile
Musician:MANIC STREET PREACHERS
マニックスの新作は、我々日本人にとって、まずジャケット写真が非常に気になる作品になっています。このジャケット写真、アルバムのテーマとも結びついているそうで、それは今回のアルバムタイトル「Resistance Is Futile=抵抗無用」とつながるもの。雑誌のインタビューによると今回のアルバムのテーマは、様々に変化する現状に対して、それに抗うのか、理解しようと努力するのか、身を任せるのかという難しい決定を行う複雑な心境をテーマにしたそうで、このサムライの顔つきにその複雑な心境が反映されていることを感じたそうです。
ただ、そんな複雑なテーマ設定とは裏腹に、楽曲自体は彼らの美しいメロディーラインが際立つ傑作アルバムに仕上がっていました。アルバムはまずストリングスを入れてスケール感を出した「People Give In」からスタート。さらに続く「International Blue」は爽快なギターロックナンバー。シンプルなギターポップのアルバムなのですが、それだけに彼らのメロディーラインの良さがキラリと光るインパクトある楽曲に仕上がっています。
中盤もまず「Dylan&Caitlin」が耳に残ります。彼らと同郷のウェールズ出身の女性シンガーソングライター、ザ・アンコレスとのデゥオによるナンバーで、女性ボーカルを入れることによりアルバムの中で大きなインパクトになっています。さらに後半、ノイジーなギターサウンドを前に出してきてロックテイストの強い「Sequels of Forgotten Wars」や「Broken Algorithms」もまた、ダイナミックでパンキッシュなサウンドがロックリスナーにとっては心地よさを感じさせます。
終盤も「A Song for the Sadness」の切なさを感じるメロディーラインに耳を惹かれつつ、ラストの「The Left Behind」もアコギを入れて聴かせるナンバーで締めくくり。最初から最後まで魅力的なポップチューンが並ぶアルバムになっています。
マニックスといえばもともといい意味でわかりやすい、インパクトあるポップなメロディーが大きな特徴でしたが、今回のアルバムに関してはその方向性をさらに突き進んだ、爽快感あふれる気持ちよいメロディーの曲が並ぶアルバムになっていました。全体的にはストリングスをふんだんに取り入れるなど、バンドサウンドよりもポップであることに重点を置いたような作品になっているのですが、前述の「Sequels of Forgotten Wars」や「Broken Algorithms」のようなロック色を前に押し出したダイナミックなナンバーも入っており、そこはきちんとロックリスナーの壺をついてくる構成になっています。
前々作「Rewind The Film」もメロディーの良さが際立っていた傑作アルバムだったのですが、今回のアルバムはそれを上回る傑作アルバムだったと思います。個人的には年間ベスト盤候補ともいえる1枚。マニックスの魅力を存分に感じることが出来る作品でした。
評価:★★★★★
MANIC STREET PREACHERS 過去の作品
Journal For Plague Lovers
POSTCARDS FROM A YOUNG MAN
NATIONAL TREASURES-THE COMPLETE SINGLES
Rewind The Film
FUTUROLOGY
ほかに聴いたアルバム
Triplicate/Bob Dylan
ノーベル文学賞の受賞で大きな話題となったボブ・ディランが、同受賞後はじめてリリースしたアルバムはなんと3枚組のアルバム。さらにオリジナルではなくすべてアメリカのオールドポップスのカバーと、ノーベル賞受賞後で話題の時期にこういうアルバムを出すとは・・・ある意味、彼らしいのかもしれません。3枚組とはいえ全95分程度という長さ。どの曲もジャジーな雰囲気でムーディーに聴かせる「大人のポップス」。味わい深いアルバムに仕上がっていました。
評価:★★★★
BOB DYLAN 過去の作品
Together Through Life
Tempest
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