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2018年5月15日 (火)

ソロ活動10年目のベスト盤

Title:(re:Rec)
Musician:AA=

ご存じ90年代後半から2000年代初頭にかけて絶大な人気を誇り、日本のみならず海外でも多くのファンを獲得していたパンクロックバンドTHE MAD CAPSULE MARKETS。そのバンドの全曲のプロデュースを手掛け、ほとんどの曲の作曲を手掛けていた上田剛士。2006年から残念ながらTHE MAD CAPSULE MARKETSは活動休止状態に入っていますが、2008年から自身のソロプロジェクト、AA=を立ち上げ、その後、アルバム6枚をリリースし、現在まで積極的な活動を続けています。

本作はそんな彼の活動10周年を迎えてリリースされた初のベストアルバム。タイトル「(re:Rec)」(リレックと読むようです)の名前の通り、全曲再録した内容となっており、単なる過去の曲の羅列ではなく、今のスタイルにリメイクしている点、彼のこだわりも感じさせます。

楽曲的にはTHE MAD CAPSULE MARKETSの司令塔だった上田剛士のソロプロジェクトだけあって、基本的にはマドカプの延長線上のような楽曲がメイン。エレクトロサウンドにへヴィーなバンドサウンドを重ねたハードコア路線が主軸となっており、「2010 DIGItoTALism」「sTEP Code」のようなシャウト気味のボーカルに分厚いサウンドというスタイルが耳を惹きます。ただ、一番印象的なのはただハードな楽曲スタイルだけではなく、「KILROY WAS HERE」「The Klock」のように、へヴィーなサウンドが続いたかと思えば、途中、いきなりサウンドが爽やかに抜けてポップになるスタイルの曲。こういう曲のスタイルはTHE MAD CAPSULE MARKETSでもよく見受けられ、彼らの曲の大きな魅力となっていましたがAA=でもそのスタイルは受け継がれていました。

また、ただへヴィネスさ1本ではなく、例えば「ROOTS」はレゲエ的な裏打ちのリズムで軽快なポップチューンになっていますし、「DREAMER」のようにノイジーなエレクトロビートは流れていつつも、ハードコアなサウンドではなくポップなメロディーが主軸となっているような曲もチラホラ。ハードなデジタルサウンドを聴かせるだけではなく、メロディーメイカーとしての魅力も持っていることを感じさせます。

そして今回のベスト盤の中でも一番インパクトがあったのが、自らのミュージシャン名「AA=」の元ともなっている「ALL ANIMALS ARE EQUAL」。もともとはジョージ・オーウェルというイギリスの作家の作品「動物農場」に登場する言葉。基本的にエレクトロ路線を前に押し出したへヴィーなバンドサウンドよりもエレクトロ色の強いナンバーなのですが、「すべての創造は平等である」という繰り返させるサビの歌詞に彼の強い主張を感じるナンバーになっています。

そんな訳でへヴィーなエレクトロサウンドは文句なしにカッコよく、ロック好きには文句なしにお勧めできるAA=。今回のベスト盤もそんな彼の魅力が文句なしに発揮されており、入門盤的にも文句なしにお勧めできるアルバムにあんっています。ただ・・・THE MAD CAPSULE MARKETS時代の曲と比べると、確かに方向性的には完全に一致するのですが・・・「でも、何かが違う・・・」(by「2010 DIGItoTALism」)と印象を受けてしまいます。一番わかりやすいのがドラムスのサウンドが軽くなってしまっているという点なのでしょうが、それ以外にも全体的にTHE MAD CAPSULE MARKETSの3人が奏でていたグルーヴ感に比べると、どこか物足りなさを感じてしまいます。

最近はBABYMETALなどへの楽曲提供でも大きな話題をさらった上田剛士。ただ、正直なことを言ってしまうと、それよりも是非、THE MAD CAPSULE MARKETSの活動再開を!!とも思ってしまいます。まあ、上田剛士一人の問題ではないだけに活動再開は難しいのかもしれないのですが・・・。AA=の楽曲ももちろん素晴らしい名曲ばかりなのですが、THE MAD CAPSULE MARKETS不在の物足りなさを、10年以上たった今でも正直感じてしまったベスト盤でした。

評価:★★★★★

AA= 過去の作品
#1
#2
#
4

#5

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