ユニークな切り口で曲をわけた2枚組
1998年のデビュー以来、「半径5メートル以内の日常生活」をテーマに、日常のふとした出来事をユニークな視点で切り取った曲が話題のブリーフ&トランクス。2000年に活動を休止するものの2012年に再結成。そして今年ついに、デビュー20年を迎えました。そのデビュー20年を記念して2枚同時リリースとなったのが今回のベスト盤。
Title:ブリトラBESTバイブルⅠ~家族で聴いても恥ずかしくない曲集~
Musician:ブリーフ&トランクス
この2枚同時リリースの楽曲の分け方が彼ららしくてユニーク。まずこちらは「家族で聴いても恥ずかしくない曲集」として「下ネタ」や「エロ」の要素が薄めの曲がメイン。ブリトラの代表曲といっても過言ではない「青のり」や「コンビニ」、また「らせん状の涙」や「風のとらえかた」のような笑いの要素のない真面目な楽曲も収録されています。
Title:ブリトラBESTバイブルⅡ~ひとりでこっそり聴いた方がいい曲集~
Musician:ブリーフ&トランクス
で、こちらはタイトル通り、「ひとりでこっそり聴いた方がいい曲集」として「下ネタ」や「エロ」の要素がさく裂した曲が並びます。こちらも「さなだ虫」「ひとりのうた」「ペチャパイ」のような、再結成以前の代表曲が並ぶほか、特に「下ネタ」「エロ」がさく裂しているのは再結成後の楽曲が目立つ印象が。特に「まんげつ」「パチンコ」のように歌詞自体は真面目っぽく見えるにも関わらず、歌い方で一気にエロ歌詞に変わるという曲も非常にユニークです(ただこの手法は少々つボイノリオっぽいのですが)。
そんな訳で今回の2枚のベスト盤、再結成前の曲はもちろんのこと、ここ最近の再結成後の曲も多く収録されています。再結成前の曲と再結成後の曲を並べても楽曲のユニークさに差異はなく、むしろ上に書いた「まんげつ」や「パチンコ」のような新たな手法を取り入れるなどミュージシャンとしてさらなる進化を感じさせます。
またここ最近の曲を聴いても、いい意味で若手バンドのような初々しさを感じます。彼らの曲にはどこか学生ノリ的な部分が感じられ、メンバー2人の仲の良さも感じられるのですが、この学生ノリ的な仲の良さが、ある種のセオリーに捕らわれない、自由な視点からのユニークな曲を作り続ける原動力なのはないでしょうか。
最近の曲を含めてテーマとなっている「半径5メートル以内の日常生活」の主人公は、学生であることも多く、正直言ってここ最近の曲に関しては、既に40歳を超えた彼らが歌うには「いつまで学生ネタを続けるんだろう」という印象を受けないではありません。ただ経歴を見る限り、一般企業にサラリーマンとして就職した経験のない彼らが、無理にサラリーマンネタに走るよりは、誰もが一度は経験する「学生時代」のネタを続けた方が、より共感が得られるのかもしれませんが・・・。
またこの手のユニークなネタを歌うと、ここ昨今ではよく「あるある」ネタに走りがちなのですが、彼らの場合は「あるある」ネタというよりも「あるのか?」と思うような、ちょっと暴走しているような主人公やネタが登場することが少なくありません。ただそれだけに彼らの発想のユニークさが際立ち、独特のブリトラワールドが展開されている点も大きな魅力。「そんなことあるわけないだろ」と思いつつも「でも、あるかも・・・」と思ってしまう曲もまた彼らの魅力に感じます。
そんな訳で、2枚のアルバムでブリトラの魅力を存分に感じられるベスト盤。個人的には「Ⅱ」の方がよりブリトラの本質的な部分が出ているように思うのですが、「Ⅰ」もまた彼らの魅力がしっかりと伝わる選曲になっていました。デビュー20年ながらもまだまだ勢いが止まらない彼ら。ここ最近のアルバムリリースペースもかなりハイペースですし、これからもユニークな曲をたくさん聴くことが出来そう。これからの彼らの活躍も楽しみです。
評価:どちらも★★★★★
ブリーフ&トランクス 過去の作品
グッジョブベイベー
ブリトラ道中膝栗毛
ブリトラ依存症
手のひらを満月に
ほかに聴いたアルバム
#5/凛として時雨
約2年7ヶ月ぶり、フルアルバムとしては実に約4年10ヶ月ぶりとなる凛として時雨のニューアルバム。久々のアルバムでした、凛として時雨としての楽曲の方向性にはほとんどブレがなく、焦燥感もあるハイテンポなリズムに哀愁感たっぷりのマイナーコードのメロディーラインにハイトーンのボーカル。以前に比べるとサウンドは若干軽めになったかな、という印象もあるのですが、全体的には以前から変化はなく、良くも悪くも安心して聴けるアルバムでした。
評価:★★★★
凛として時雨 過去の作品
just A moment
still a Sigure virgin?
i'mperfect
Best of Tornado
es or s
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