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2018年5月18日 (金)

初音ミク10周年!

Title:HATSUNE MIKU 10th Anniversary Album 「Re:Start」

昨年、最初のリリースから10周年を迎えたボーカロイドソフト初音ミク。このソフトが音楽シーンに与えた影響はご存じの通り。動画サイトを中心に、いわゆる「ボカロP」と呼ばれる初音ミクを使用して数多くの楽曲を生み出すミュージシャンたちが登場。そしてその中でその「ボカロP」出身の米津玄師が昨今ではお茶の間レベルでのヒットを飛ばしているのはご承知の通りです。

本作はタイトル通り初音ミクリリース10周年を記念してリリースされたアルバム。2枚組となっており、Disc1は人気ボカロPが10周年を記念して書き下ろした曲が収録されており、Disc2は、過去のボカロ曲の代表曲が収録された内容となっています。残念ながらハチこと米津玄師は参加していないようですが・・・。

さて、ちょうど先日、同じく初音ミク10周年にあわせるかのようにリリースされたオムニバスアルバム「合成音声ONGAKUの世界」を紹介しました。こちらは「初音ミク」という名前を一切出さないタイトルやジャケット写真からもわかるようにストイックの音楽のみの側面にスポットをあてたアルバム。ボカロ曲として決して大ヒットは記録していなくても音楽的に「聴くべき」と思われる曲を収録しています。

この「Re:Start」はある意味、「合成音声ONGAKUの世界」とは裏表の関係にあるアルバムと言えるかもしれません。「合成音声ONGAKUの世界」がボカロシーンにおける「サブカルチャー」的な存在だとすると、「Re:Start」におさめられている曲はボカロシーンにおけるメインカルチャー。ヒットシーンの中心を行くような曲が収録されています。

そんな「メインカルチャー」の曲を集めた本作を聴くとまず感じるのが、収録曲が良くも悪くもJ-POPだな、ということでした。「合成音声ONGAKUの世界」のアルバム評でも書いたのですが、全体的に昨今のJ-POPシーンと共通するような情報を詰め込んだようなポップスがメイン。サウンド的にはオルタナ系のギターロック、あるいはエレクトロポップがメインとなっており、目新しいものはありません。当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、オリコンのヒットチャートに入ってくる曲とボカロのヒット曲に大きな差異はありません。

個人的にはボカロシーンはもっと自由度が高いはずなので、もっといろいろなタイプの曲がヒットすればおもしろいのに・・・とは思っているのでちょっと残念に感じるのですが・・・。ただ、そうとはいってこのオムニバスアルバム、さすがにそんな中でも人気のボカロPの曲やボカロ曲が収録されているだけあって、しっかりと聴かせる魅力的なポップソングが並んでいます。

特に印象に残ったのがまず和田たけあき(くらげP) feat.初音ミク「ひとごろしのバケモノ」。童謡のような世界観のファンタジックな歌詞とカントリーテイストの軽快なポップチューンが耳を惹く作品。また、れるりり feat.初音ミク「神様からのアンケート」も歌詞がユニークで耳を惹く作品。ともすれば早口すぎて聴き取りにくい曲が多いボカロ曲の中で、しっかりと歌詞が耳に残る作品になっていました。

ボーカロイド音楽のシーンの「中心」を総括的に知るにはもってこいのオムニバスアルバム。有名曲も手っ取り早くおさえられます。ただ、純粋に音楽的な側面について言えばやはり「合成音声ONGAKUの世界」の方が断然よかったかなぁ。初音ミクの「合成音声」という側面を上手くいかしていたのもあちらに収録されていた曲が多く、こちらは「初音ミクの消失」みたいな曲はあるものの、基本的には「人間のボーカルの代わり」みたいな位置づけにすぎない曲がほとんどだったし・・・。

もっとも、「合成音声ONGAKUの世界」に収録されているような曲だけではなく、こういう万人が楽しめる「売れ筋の曲」があるからこそ、ボカロのシーンとしての分厚さが増しているのは間違いありません。一時期に比べるとちょっと落ち着いた感じもするボカロシーンですが、まだまだ魅力的なミュージシャンたちが登場してきそう。これからのボカロシーンもまだまだ要注目です。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Year Book 1985-1989/坂本龍一

坂本龍一のレア音源を集めた「Year Book」シリーズの第4弾。今回はタイトル通り、1985年から1989年の音源を収録したアルバムで、なんと全5枚組の大ボリューム。まずDisc1は1985年の「国際科学技術博覧会」いわゆるつくば万博で行ったライブパフォーマンスの模様をおさめたライブ盤。Disc2はビル・ラズウェルや近藤等則と1985年に六本木インクスティックで行った即興演奏の模様をおさめたライブ盤。Disc3,4は1985年にバッハ生誕300年を記念して製作された音楽パフォーマンス「マタイ1985 ~その人は何もしなかった~」の模様を収録した音源。さらにDisc5ではNHK「科学万博ハイライト」エンディング・テーマ曲やフジテレビCM「しなやか思想」テーマ曲などのレア音源が収録されています。

全体的にはいかにも現代音楽的な曲が多く、ポップスさは全くなく、聴く人を選びそう。また楽曲的にも「いかにも80年代」といった感じの曲が多く、昨今、80年代の音楽は見直されつつあるものの、それを差し引いても、今聴くとちょっと厳しいかも、といった感じの曲の見受けられます。どちらかというと「記録」という側面の強いアルバム。興味深い貴重な音源なのですが、5枚組というボリュームもあり、熱心なファン以外にはちょっとお勧めできにくいかも。

評価:★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS

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