プロの2人によるセッション
Title:SESSIONS
Musician:田島貴男&長岡亮介
オリジナル・ラヴとしても活躍している田島貴男が、ひとりだけでステージに立つ恒例のライブツアー「ひとりソウルツアー」。昨年10月から11月にかけ、その番外編としてペトローズの長岡亮介と2人のみでライブをめぐる「ふたりソウルショウ」が開催されました。本作は、その「ふたりソウルショウ」の全6公演から音源をセレクトして収録したライブアルバム。2人のみで行われた貴重なライブ音源が収録されています。
収録曲は全14曲ですが、うちオリジナル・ラヴの曲が6曲、ペトロールズの曲が5曲、カバーが2曲に「ふたりソウルショウ」のために作られた「ふたりソウルショウのテーマ」の全14曲からなる構成になっています。ペトロールズの曲に関しては、実は一度も聴いたことがなかったのですが、並べて聴いてもほとんど違和感はありません。基本的に、特に前半に関してはファンキーなリズムでアコースティックギターをかき鳴らすようなナンバーが並びます。2人がかき鳴らすアコギが勢いよく鳴り響く楽曲が目立つ中、「Million Secrets of Jazz」ではボイスパーカッションも披露。2人だけのステージなのですが、決して「アコギの弾き語り」だけに留まらない演奏スタイルを聴かせてくれます。
中盤「湖畔」ではアコギをつまびきながらゆっくりと聴かせてくれたかと思えば、続く「Crazy」はアメリカのカントリーシンガー、パッツィー・クラインのカバー。ソウル、ファンクの色合いが強かったこれまでの曲とはまた異なる、カントリーテイストのナンバーをしんみりと聴かせてくれます。
基本的に今回のアルバムは、「ふたりソウルショウ」6公演の中からのベスト音源を収録したアルバムのためMCは収録されていませんし、ライブの雰囲気を伝えるというよりは2人のセッションを録音した、記録的要素の強いアルバムになっています。ただ、それでもオリジナル・ラヴ最大のヒット曲「接吻」がはじまった時は観客席が大きくざわつきます。それだけファンからの期待度も強いナンバーをアコギ1本でしんみり歌い上げており、オリジナルとはまた異なる「接吻」の魅力を感じるステージングを披露してくれました。
全体的にはメンバー2人が火花を切らしてセッションを行うという感じでもなく、仲良しの2人が和気藹々といった感じでもありません。ただ、プロの2人が淡々と素晴らしい音楽を作り上げるような演奏といったイメージでしょうか。それだけにライブの迫力というよりは楽曲として完成度の高い14曲が収録されていました。
最後は50年代から60年代にかけて活躍したギターデゥオ、エヴァリー・ブラザーズの「Love Hurts」で締めくくり。こちらでは息の合った2人のハーモニーを聴かせてくれます。全体的にはわかりやすい派手なパフォーマンスというよりも、しっかりとしたプロの演奏を聴くことが出来た傑作アルバム。今後もこの2人でまたセッションを行うのでしょうか?是非次は、ライブで見てみたいです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ネオンと虎/パスピエ
前作「OTONARIさん」に続いて2作連続となるミニアルバム。前作から引き続き、良くも悪くも素直なポップスのアルバムになっていたという印象。「トビウオ」のようなピコピコ音が楽しいポップや「オレンジ」のようなエレクトロディスコチューンで、エレクトロ色が強く感じたかと思えばラストの「恐るべき真実」ではスケール感を持った曲調で締めくくるというバラエティーある展開も。ただやはり突き抜けたようなインパクトには不足しているのは気になります。
評価:★★★★
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コメント
ゆういちさん、こんばんは。
パスピエはなかなかブレークしきれないですよね・・・個人的には大好きなので頑張ってほしいんですが。
あと長岡亮介のバンドは、“ペトロールズ”ですよ。(ずっと“ペトローズ”ってなってたんで書かせていただきました)
投稿: 通りすがりの読者 | 2018年5月12日 (土) 23時56分
>通りすがりの読者さん
パスピエはなかなかブレイクできないですよね。どうもなかなか彼女たちらしい曲が出来ていないように感じます。
ペトロールズの件はどうもありがとうございました。修正しました。
投稿: ゆういち | 2018年6月 3日 (日) 23時10分