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2018年5月 4日 (金)

ズシリと重い

Title:梵唄-bonbai-
Musician:BRAHMAN

途中、ベスト盤のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては5年ぶりとなるBRAHMANのニューアルバム。本作がリリースされた2日後には自身初となる武道館公演も成功させ、バンドとしての高い人気と変わらぬ挑戦心を見せつけました。

さてそんな彼らの最新作を聴いてまず第一に感じたのはロックバンドとしての圧倒的なカッコよさでした。へヴィーなサウンドという表現はロックバンドに対してよく使われますし、彼らのサウンドに関してもその表現はピッタリ来ます。ただ彼らのバンドサウンドは単なるヘヴィーでもほかのバンドとは大きく異なるように感じます。まずその重みが違います。重低音だの激しい音などで、無理やり音に重みを出しているというよりも、エッジの利いたサウンドで、ギター、ベース、ドラムスそれぞれの音がズシリと耳に響いてくる感じ。抽象的な表現かもしれませんが・・・音の密度が全く異なります。

ズシリと重く響くのは音だけではありません。歌詞もズシリと重く心に響いてきます。例えば「真善美」では

「さあ 幕が開くとは
終わりが来ることだ
一度きりの意味を
お前が問う番だ」

(「真善美」より 作詞 TOSHI-LOW)

という歌詞は、日々の出来事ひとつひとつに重みを感じさせる深いメッセージ性を感じますし、続く「雷同」でも

「惰性の同調を
無知蒙昧のその他大勢が
いつまで紛れていんだ
飛び出すんだよ サンハイ」

(「雷同」より 作詞 TOSHI-LOW)

は、ある種リスナーの背中を押す応援歌的ともとれるのですが、一般的なJ-POPとはそのメッセージの重さが全く異なります。

その後も続く楽曲は基本的にはメロコア路線。ただどこか感じるエスニックな雰囲気にBRAHMAN独特の要素を感じますし、またメロディーは意外とポップでメロディアス。どこか「和」な要素を感じる哀愁感も大きな魅力となっています。

本作、前半は「AFTER-SENSATION」など複雑なリズム要素の入った楽曲などもあるものの、基本的には王道路線とも言えるメロコア路線の曲が続きます。ただ、その雰囲気が変わってくるのが後半戦。まず「怒涛の彼方」ではゲストとして東京スカパラダイスオーケストラが参加。へヴィーなサウンドの中に軽快なホーンセッションが大きなインパクトを与えています。

そしてアルバムの中で大きなインパクトとなっているのがラストの2曲「ナミダノウタゲ」「満月の夕」でしょう。BRAHMANといえば2011年の東日本大震災の後、積極的に被災者の支援を行ったことでも知られています。「ナミダノウタゲ」は東日本大震災の津波で子供を奪われた宮城県石巻市の知人のエピソードを基につくったナンバー。あくまでも歌とメロディーを前面に出して聴かせるナンバーになっていますが、歌詞も非常に心に来る曲になっています。

さらに「満月の夕」はご存じ、ソウルフラワーユニオンとヒートウェイヴが1995年の阪神・淡路大震災の被災者支援を行う中で誕生したナンバー。数多くのミュージシャンがカバーしたいわばスタンダードナンバーですが、東日本大震災の支援活動の中でTOSHI-LOWの頭の中で流れてきたのがこの楽曲だったそうで、今回のアルバムでカバーを収録。ソウルフラワーユニオンの中川敬、元メンバーのうつみようこ、ヒートウェイヴの山口洋もゲストとして参加しています。

そういう曲をラストに持ってきているだけに前半の印象と聴き終わった後の印象が変化するのもこのアルバムの大きな特徴であり魅力。かつBRAHMANの音楽性の広さも感じることが出来ると同時に、いまなお大きな傷跡を残す東日本大震災の被災者に対する想いも強く感じることが出来るアルバムになっていました。

今回のアルバムも文句なしの傑作アルバム。音楽的な側面でも歌詞の側面でも、さらに最後2曲に感じた東日本大震災の被災者に対する想いという側面でもズシリと重さを感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

BRAHMAN 過去の作品
ANTINOMY
ETERNAL RECURRENCE~永劫回帰~
超克
尽未来際

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