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2018年5月 7日 (月)

キャッチーな4枚目

Title:COMBAT SPORTS
Musician:THE VACCINES

イギリスのロックバンド、THE VACCINESの4枚目となるオリジナルアルバム。 以前のアルバムでも書いたのですが、日本ではデビュー作こそそれなりに話題になったものの、それ以降、さほど大きく取り上げられない一方で、イギリスでは一定以上の人気を確保。本作もイギリスのアルバムチャートでは4位とヒットを記録しています。

さてそんら彼ら。彼らの大きな特徴はシンプルなギターロック路線を貫ているという点。ある意味、さほどひねりもなければ、例えばベルセバやらTEENAGE FANCLUBのような圧倒的な美メロといった感じもなく、ある意味非常にシンプルなギターロックバンドという印象を受けます。彼らの日本のメディアでの取り上げ方がさほど大きくないのはそのためかもしれません。

そんな中、前作「English Graffiti」では比較的幅広い作風に挑戦していました。ピアノバラードがあったりサイケな作風があったり、いままでの彼らのイメージからすると挑戦的なアルバムとも言える作品になっていました。

もちろん前作でもアルバム全体を貫くのはシンプルでポップなギターロック路線でした。そして今回の作品はそんなシンプルでポップなギターロック路線をさらに突き進めるようなアルバムになっていたと思います。疾走感あって爽快なギターサウンドが楽しい「I Can't Quit」「Surfing in the Sky」、軽快でリズミカルなロックンロールチューン「Nightclub」、ロックというよりもポップ色が強く、明るく爽快なメロディーを聴かせる「Maybe(Luck of the Draw)」「Take It Easy」、個人的には特に終盤の「Someone to Love」の爽快なサマーポップのような明るさを感じさせるギターポップチューンが気に入りました。

今回のアルバム、いままでの作品の中でも特にポップ。さらに言えばキャッチーという表現がピッタリくるようなアルバムだったと思います。「Young American」のような聴かせるミディアムチューンもありましたが、全体的にはポップ路線でまとめあげられていた作品。前作でも書いたとおり、良くも悪くも無難なイギリスにおけるJ-POP的な位置にいる印象は否めませんが、それでも爽快でほどよくノイジーなギターサウンドはUKのギターロック好きにはツボにはまりそう。難しいこと抜きにして、素直に楽しめる1枚でした。

評価:★★★★

THE VACCINES 過去の作品
WHAT DID YOU EXPECT FROM THE VACCINES?
Come of Age
Please Please Do Not Disturb EP

English Graffiti


ほかに聴いたアルバム

The Final Tour: The Bootleg Series, Vol. 6/Miles Davis&John Coltrane

ジャズ界の巨匠、マイルス・デイヴィスのブートレグシリーズの第6弾。本作は同じくジャズ界のレジェンドのサックスプレイヤー、John Coltraneがマイルスのバンドに参加していたラストのツアーの模様を収めたアルバム。1960年のヨーロッパツアーからの音源だそうです。60年近く前のブートレグの音源とはいえ、音的には聴いていてほとんど違和感なく、2人の才気あふれる演奏が楽しめるアルバムになっています。

ジャズ界のレジェンド、それも最後のツアーでの共演・・・ということで緊迫感あふれるセッションが、といったイメージがあったのですが、どちらかというと2人ともそれぞれセッションでからみあって喧嘩のような、というよりも別々にプレイしているような印象を強く受けました。逆にだからこそコルトレーンはこのツアーを最後にマイルスのバンドを離れたのかもしれませんが・・・。ただ、演奏に関しては文句なしに聴かせる内容。音もかなりよく取れていますし、ブートレグという言い方をしていますが、ジャズに興味があるならば間違いなく「聴くべき」アルバムだと思います。

評価:★★★★★

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