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2018年4月 3日 (火)

邦楽離れした音楽性

Title:Human
Musician:yahyel

以前から名前を聴いたことはあったのですが、今、最も注目を集めている新人バンドの一組、yahyelの2ndアルバム。2015年に結成されたバンドで、メンバーの中に映像作家として活躍している山田健人も参加しているという点も話題になっているようです。今回、はじめて彼らのアルバムを聴いてみました。

彼らの音楽の特徴として、いわゆるビートミュージックからの強い影響を感じます。彼らの楽曲についてはジェイムス・ブレイクからの影響を指摘され、実際、彼らもその影響を公言しているのですが、静かなエレクトロサウンドが流れる中、ビートの部分が強調されたサウンドスタイル。そこにメロディアスで静かな歌が流れるというスタイルは基本的にジェイムス・ブレイクと共通しています。

そんな彼らのサウンドは非常に洋楽テイストが強い点も大きな特徴。楽曲が基本的に英語詞であることや、海外のビートミュージックの影響をダイレクトに受けた、その垢抜けたサウンドが、彼らの楽曲が洋楽的である大きな要因なのですが、おそらく何の情報もなく楽曲を聴くと日本のバンドであると気が付かない方も出てきそうなほどだと思います。

ただ、彼らの楽曲に関してはジェイムス・ブレイクよりもよりサウンド的には硬質になっているような印象。池貝峻のボーカルがハイトーンであるという点が大きな要因になっていると思うのですが、サウンドの面も含めてよりメタリックさを感じる点も彼らの特徴のひとつだと思います。彼らの書くメロディーラインはどこか物悲しく、哀愁感があるという、ともすれば「歌謡曲的」になる要素を持っているのにかかわらず、邦楽臭が皆無なのは、このある種のJ-POPにはあまり見られないメタリックで冷たい雰囲気が大きな要素になっているように感じました。

またメロディーラインはジェイムス・ブレイクに比べるとソウル色は薄い感じ。「Body」など、そんな中でもソウルフィーリングの強いナンバーもあるものの、明確にブルーアイドソウルの方向性を感じるジェイムス・ブレイクと比べると、ソウルやブラックミュージックからは一歩距離を置く方向性を感じ取れました。

個人的にはその日本人離れした音楽性にクールなエレクトロサウンドが非常にカッコよさを感じ、かなりはまりました。ただ、一方で洋楽からの影響があまりにストレートなため批判を受けるケースも多く、賛否両論のバンドのようです。私自身は彼らが批判的なバッシングを受けるというのは若干の疑問が。確かに日本の音楽シーンの実力もあがってきたとはいえ、まだまだ新しい音楽の流れとしては海外が圧倒的に主流。そんな中で当然邦楽勢としては海外の音楽をそのまま取り入れるというのは当然の方向性なわけで、それを批判的に叩いていては、日本の音楽シーンの進歩はありません。

確かにそんな中で彼らの音楽性が、彼らなりの独自の解釈がない、と言われれば、海外の音楽をそのまま取り込んでいる点は否めないのですが、その点を差し引いても十分すぎるほど彼らの奏でる音楽はカッコいいと感じさせてくれます。これからの活躍が非常に楽しみな新人バンド。まだまだこれから注目度はあがっていくでしょう。要注目です。

評価:★★★★★

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