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2018年4月15日 (日)

「意識高い系」?

Title:Reason of Black Color
Musician:雨のパレード

最近、徐々に注目を集めつつある4人組ロックバンド、雨のパレード。かつては自らを総合芸術の「創造集団」と名乗ったり、音楽以外のデザイナー集団もメンバーとして擁していたりしたようですが、公式サイトを見る限りは今はそういう方向性はやめて、基本的にメンバーはバンドメンバーの4人のみとなったようです。

ただ、音楽的な方向性は以前から変わらず、アートロック的な要素が強いのが彼らの特徴。アルバムはタイトルチューンの「Reason of Black Color」からスタートするのですが、うねるようなシンセのノイズとその中にリズムを刻むドラムの音が非常にドリーミーなナンバーからスタートしますし、そのほかにも最近のR&Bからの影響を強く感じる「(soda)」、ダブステップ的なビートミュージック「Hwyl」、またSOIL&”PIMP”SESSIONSのTabuzombieが参加し哀愁たっぷりのトランペットを聴かせる「Hometown」などソウル、R&B、ジャズなどの最近の音楽的潮流をうまくすくいあげて自らの音楽に取り入れている傾向を強く感じます。

ほかにも80年代的なエレクトロポップチューンの「Shoes」やファンキーなリズムが心地よい「ice」など様々な音楽的要素を意欲的に取り入れたバラエティー富んだ音楽性が特徴的。彼らの音楽的な素養を感じれます。

一方では「Horizon」はファンキーなリズムを聴かせつつ、基本的にはノイジーなギターロック。ラストの「March」もバンドサウンドをメインにストリングスなどを入れて聴かせる、比較的「よくありがちな」音楽構成のポップチューン。ここらへん、「普通のJ-POPバンド」らしい曲調もチラホラ垣間見れます。そんな楽曲によってアルバムの中でのポピュラリティーが増している影響もある一方、ほかの曲と比べると若干のチグハグさも感じてしまいます。

また、前作「Change your pops」のレビューの際、彼らのことを「意識高い系」と表現しました。この「意識高い系」とは彼らのアートな方向性を指して、半分揶揄を含めての表現でした。この言い方は彼らのいかにもアート志向な方向性を揶揄した表現でしたが、今回のアルバムに関しても正直なところ「意識高い系」という言葉が頭をよぎりしました。

その大きな理由が、最近のサウンドを意識的に取り入れているのですが、全体的に「とりあえず取り入れました」的な中途半端さを感じてしまう点。あくまでもJ-POP的なポップなメロディーラインがしっかり流れていますし、上にも書いた通り、よくありがちなJ-POPらしい曲も流れてきます。この振り切れのなさが良い意味では彼らの個性になっている部分もあるのですが、悪い意味ではおいしいところどりの中途半端さも感じてしまいました。

じゃあ振り切れればいいのか、といわれるとそうすると単なるyahyelになっちゃいそうですし、難しいところ。新人バンドとしては非常におもしろい音を出している点は間違いないと思うのですが、大絶賛するにはちょっと躊躇する部分も少なくないバンド。とりあえずまだまだこれからの可能性を感じるバンドだと思います。これからの活躍に期待です。

評価:★★★★

雨のパレード 過去の作品
Change your pops

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