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2018年4月 1日 (日)

30歳ながらキャリア20年

Title:BEST
Musician:三浦大知

三浦大知がようやく大きくブレイクしようとしています。現在30歳になる彼はその若さながらも芸歴20年というベテランシンガー。もともとはFolderというアイドルグループに所属し、わずか9歳という年齢でデビュー。その当時から「和製マイケル・ジャクソン」としてその歌の上手さには定評がありました。

その後、変声期を迎えたところで1年間、活動を休止。その後はソロとして活動をはじめました。ただ正直なところFolder時代は大ブレイクという訳にはいきませんでしたし、ソロデビュー後も売上的には伸び悩んでいた時期が続きました。

しかし、2010年代に入ってからは徐々にその人気を伸ばしていきます。2011年にリリースしたアルバム「D.M.」が初のベスト10ヒットを記録。その後はシングルでもヒットを飛ばしていき、昨年はシングル「EXCITE」で初となるチャート1位を獲得したほか、年末には「紅白歌合戦」に初出場。その知名度をお茶の間レベルにまで広げました。

そんな中リリースされた彼の初となるベストアルバムが本作。基本的には2005年にリリースしたソロデビュー作「Keep It Goin' On」から配信限定となった最新シングル「普通の今夜のことを-let tonight be forever remembered-」までをリリース順に並べたシンプルな構成。さらに新曲1曲が追加で収録されています。

まず彼のボーカリストとしての実力は言うまでもありません。Folderでデビューした頃から非常に伸びるハイトーンボイスが魅力的でしたが、その魅力は年齢を経ても全く衰えがありません。基本的にダンスポップチューンが多いのですが、もちろんリズム感も抜群。また年齢を経るごとにその表現力も増してきています。

ただ彼のソロデビュー以来の楽曲を聴くと、そんな彼の実力に反して肝心の楽曲の中身がついてきていないようなそんな印象を受けてしまいました。リズミカルなエレクトロダンスチューンがメインで良くも悪くも平凡なJ-POP。RHYMESTERの宇多丸をフューチャーした「No Limit」みたいなロッキンなHIP HOPチューンなど耳を惹く曲もあるのですが、初期の作品、このアルバムでいえばDisc1の曲に関しては平凡なEDMチューンがメインとなっており、楽曲自体の面白味はあまりありません。

Disc2になると楽曲のバリエーションも増え、エレクトロアレンジの曲にも凝ったサウンドが増えてきます。またバラードナンバーのような彼の歌声をきちんと聴かせようとする楽曲も増え、ようやく彼の歌の上手さを生かそうとするような楽曲も増えてきます。ちょっといやらしい言い方かもしれませんが、彼が売れることによってようやく楽曲制作にも力を入れてもらえるようになったようにも感じてしまいます。

そういうこともあって今回、オールタイムベストということですが正直言って楽曲の出来栄えという意味では直近のオリジナルアルバムのほうがよかったかもしれません。ただ、昔の楽曲を含めて彼のボーカルとしての実力は折り紙付き。その歌声を聴くだけでも一聴の価値ありのベスト盤です。これからのますますの活躍が期待できる彼。それに伴い楽曲ももっともっと良くなっていく、はず。

評価:★★★★

三浦大知 過去の作品
D.M.
The Entertainer
FEVER
HIT


ほかに聴いたアルバム

充分未来/集団行動

相対性理論を脱退した真部脩一と西浦謙助がアイドルオーディションのファイナリストだった齋藤里菜をボーカルに迎えて結成した新バンドの、これが2枚目となるアルバム。真部脩一は相対性理論の初期のナンバーで作詞作曲として名前を記載していたものの、彼の脱退後、バンドから「メンバー全員で作詞作曲を行っている」とアナウンスされたことがありました。正直言って、彼が脱退した後の相対性理論の音楽的変化からこのアナウンスの真偽はかなり疑わしいな、と思っていたのですが、この新バンドの曲を聴いて、初期相対性理論の特徴である独特な言葉の言い回しやシンプルながらも妙に耳に残るメロディーラインはやはり真部脩一の手によるものだったんだな、ということを再認識しました。まさに初期相対性理論そのままの歌詞とメロディーラインが耳の残るアルバム。ただその一方、それでも初期の相対性理論に比べるとインパクトが薄く感じてしまうのは、やはりやくしまるえつこのボーカルに寄る部分が大きかったんだな、とあらためて感じてしまいます。またメロディーのインパクトの薄さも感じてしまい、この点、初期相対性理論のメロディーラインに関しては、ほかのメンバーの手も加わっていたのかもしれません。ただ、個人的には今の相対性理論よりも楽曲は断然よかったように思います。そういう意味で真部脩一の実力を感じられたアルバムでした。

評価:★★★★

MODERN TIMES-Commentary-/PUNPEE

Punpee

これはなかなかおもしろいアルバムがリリースされました。昨年リリースされ、大絶賛を受けたPUNPEEのアルバム「MODERN TIMES」。本作はその「MODERN TIMES」についての制作秘話や楽曲にまつわる話をラジオ番組形式でPUNPEE自ら解説するコメンタリーアルバム。ストリーミング限定でリリースされました。ちゃんと楽曲を流しつつ、曲をバックに解説するスタイルなので、曲に関する説明も非常にわかりやすく、非常に楽しめる内容でした。「MODERN TIMES」が気に入った方なら是非とも聴いておきたいアルバムです。

評価:★★★★★

PUNPEE 過去の作品
MODERN TIMES

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