ラテン色がより強く
Title:GLORIOUS
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ
スカパラ約1年ぶりとなるニューアルバム。ここ最近は数多くのゲストを招いてポップな楽曲を多くリリースしている彼ら。そのスタンスは良くも悪くも賛否両論といった感じなのですが、ただインパクトある楽曲は一定以上の支持を得ているのは間違いありません。今回のアルバムに関しても基本的にその方向性に沿ったアルバムになっていました。
今回のアルバムに関しても豪華なゲストが多数参加しています。BRAHMANのTOSHI-LOWやUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介がゲストボーカルとして参加しているほか、FPMやMONDO GROSSOによるリミックス曲も収録。異色なところではブラジルNo.1ラッパーのエミシーダとのコラボ曲も収録されています。
基本的にコラボはポップという方向性で一貫しているものの、そんな中でも意欲的な試みを感じたのが今回のアルバムの特徴でしょう。例えばUNISON SQUARE GRADENの斎藤宏介は中性的なハイトーンボイスという特徴を持つボーカリスト。よくも悪くも昨今のJ-POPの流行りといった声質で、ともすれば「ポップすぎる」という印象すら受けます。正直なところ、彼とのコラボ曲「白と黒のモントゥーノ」は必ずしも大成功といった印象はないものの、いままでの彼らのスタンスにこだわらない彼らの意欲を感じることが出来ます。
今回のアルバム、そんな彼らの挑戦心を感じることが出来たアルバムなのですが・・・コラボの結果としては正直、あまり成功ではなかったかな、という印象を受けます。この「白と黒のモントゥーノ」はMONDO GROSSOによるリミックスも収録されておりリミックス自体はそれなりによかったものの、斎藤宏介のハイトーンボイスが若干邪魔にすら感じてしまいました。またエミシーダが参加した「Believer feat. Emicida and Fióti FPM Remix 」も、エミシーダのラップがあまり効果的ではなかったような・・・。失敗、というほど酷くはなかったのですが、逆にあまり酷くないがゆえに中途半端な印象を感じてしまいました。
ただ、この「Believer」もそうですが、チャチャを取り入れた「恋してcha cha cha」や「Te Quiero con Bugalú」など、全体的にはラテン色を強く感じたのが今回のアルバムのもうひとつの特徴。このラテン色が強いナンバーに関してはいい意味で昔のスカパラを彷彿とさせるような楽曲が多く、最近のポップ色強い作品はどうも・・・という方でも無条件で受け入れられそうな楽曲になっています。
また「The Battle of Tokyo」などもホーンセッションとロッキンなバンドサウンドでダイナミックに、スカパラらしく怪しげな雰囲気でスカを聴かせてくれるインストナンバー。こちらも昔のスカパラっぽい雰囲気があり、初期からのファンも納得できる楽曲ではないでしょうか。
全体的には現在の彼らの方向性であるポップ路線を貫きつつも、ラテン色を強め、またかつてのスカパラらしいナンバーにも目配りをする、バランスの取れたアルバムだったように感じます。ただその分、コラボがあまりうまくいっていない点は残念。また全10曲入りながらもリミックス曲が2曲で、実質新曲が8曲のみだったのもちょっと残念だったかもしれません。
個人的にはここ最近のポップ路線には否定的ではありませんし、実際、ここ最近も傑作アルバムを数多くリリースしていると思っているのですが、このアルバムはここ最近のアルバムの中では若干残念に感じる内容だったかもしれません。ただ、このアルバムでもスカパラの魅力は十分に発揮されている作品だったと思います。特に本作も数多くのミュージシャンとのコラボは非常に意欲的だったと思います。まだまだスカパラの活躍からは目が離せなさそうです。
評価:★★★★
東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
ほかに聴いたアルバム
KBB vol.1/KANA-BOON
KANA-BOONのシングルのカップリング曲を収録した、いわゆるB面ベスト。ただカップリングといっても基本的にシングル曲やアルバム曲とは大きく変わらない、いつもの彼ららしいポップで軽快なギターロックというスタイル。いまひとつルーツレスな部分や、またラップなども自由に取り入れるところも今どきのバンドらしいといってもいいかもしれません。カップリングといってもあまり目新しさや挑戦的な曲がなかったのは残念ですが、バンドとしての安定感も感じたアルバムでした。
評価:★★★★
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コメント
ゆういちさん、こんばんは。
ここ最近のスカパラはめっちゃ精力的に活動してますよね!今年に入ってからでもこのアルバムに加えて、峯田和伸とコラボしたシングルやシシド・カフカとのディズニー映画の主題歌、さらにはマンウィズや関ジャニの作品にゲスト参加。さらにさらに今月にはさかなクンとのコラボ作もリリースされるなど毎月何かしらの形でスカパラの名前を目にしてるような気がしてます。そして、そんな中でもしっかりと良作をリリースしてくる彼らはやっぱり凄いなって思います。
投稿: 通りすがりの読者 | 2018年4月15日 (日) 01時16分
>通りすがりの読者さん
スカパラはかなり精力的に活動していますね!そのコラボが必ずしもすべて成功している訳でもないのですが・・・まあ、それもそれで彼らの今後の音楽にいい影響を与えているのでしょう。これからの活動にも期待したいですね!
投稿: ゆういち | 2018年4月15日 (日) 22時45分