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2018年4月 6日 (金)

バラエティー富んで飽きさせない作品

Title:cocoon
Musician:androp

前作であるミニアルバム「blue」から約1年半ぶりとなるandropのニューアルバム。前作はいままで所属していた事務所から、自ら新たに設立した事務所「image world」へ移籍。レコード会社も移籍して心機一転となるアルバムになりました。ただ結果として、「period」「androp」と2作続けていたベスト10ヒットが前作で途切れ、本作もフルアルバムとしては前作となる「androp」で記録した最高位8位から一転、チャート的には最高位23位に留まるなど、少々厳しい結果となっています。

さてそんな彼らの久々となるフルアルバム。前作「blue」はわずか6曲というミニアルバムでしたが、1曲1曲が異なるスタイルの曲調となっており、彼らの幅広い音楽性を感じるアルバムになっていました。そしてそれに続く本作ですが、いままで以上に曲調に幅のあるバラエティーあふれるアルバムに仕上がっていました。

冒頭の「Prism」はポップなメロディーのギターロックという典型的にありふれたスタイルですし、続く「Arigato」もタイトルそのままな前向きJ-POP的なナンバー。ここらへんは良くも悪くもありがちなギターロック路線でスタートします。

しかし、そんな雰囲気が変わるのは3曲目以降。先行シングルにもなった「Joker」は打ち込みのポップチューン。マイナーコードを含めてどこかアイドルポップ風のナンバーになっていました。

前半はある意味わかりやすい形のポップチューンが並んでいるのですが、バラエティーという側面でさらに変化が生じたのは後半から。中盤の「Sleepwalker」はアコースティックギターでしんみりと聴かせるナンバーで彼らのメロディーセンスの良さがキラリと光るナンバーからスタートし、続く「Kitakaze san」はカントリー風のポップチューン。さらに違ったタイプの作風ということで耳を惹くのがそれに続く「SOS!」。こちら、ラップユニットのCreepy Nutsとのコラボチューンなのですが、そのため全編、軽快なラップで構成されたHIP HOPチューン。さらにコミカルなリリックもとても楽しいナンバーで、このアルバムの中でもあきらかに異質なナンバーになっています。

さらにシティポップ風の「Proust」、明るいカーニバル風の「Ao」と続いていき、そしてこのアルバムの中で後半の山となるのが「Memento mori with Aimer」。こちら女性シンガーAimerとのコラボ曲となるのですが、シューゲイザー系の影響をダイレクトに受けたギターサウンドにハイトーンの女性ボーカルがピッタリとマッチしたドリーミーなナンバー。非常にスケール感を覚える曲になっており、なによりもバンドとしての実力を感じる曲になっていました。

そんな訳で、特にアルバムの後半は1曲たりとも同じタイプの曲がないというバラエティーにあふれる今回のアルバム。正直、アルバム全体としてまとまりがない部分があるのも事実ですし、核になる曲がCreepy Nutsとのコラボ曲だったり、Aimerとのコラボ曲だったりと若干離れ技的な側面を曲だったというのは気になります。また、序盤のギターロック路線の曲はちょっと平凡だな、ということも感じてしまったのですが、アルバム全体としてはバラエティー富んだ作品に最初から最後まで飽きることなく一気に楽しめてしまう傑作だったと思います。事務所移籍に伴って一時期に比べて人気の面では勢いの落ちてしまった彼らですが、肝心の楽曲の面ではまだまだ勢いを感じさせてくれるアルバム。この調子なら、再び以前のような人気を獲得する日も遠くなさそうです。

評価:★★★★★

androp 過去の作品
door
relight
one and zero
period
androp
best [and/drop]
blue

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