死ぬまで不死身
Title:FUJIMI
Musician:TOMOVSKY
毎回、世の中を斜めから見たようなユニークな視点の歌詞が強いインパクトのあるTOMOVSKY。約1年半ぶりとなるニューアルバムとなる本作。今回も非常にユニークな視点からの歌詞が特徴的なアルバムに仕上がっています。
今回のアルバム、かなり仰々しくテーマを言ってしまうと「生と死」ということになるのでしょうか。例えばアルバムタイトルからして「FUJIMI」ですし、1曲目もいきなり「不死身FUNK」というナンバーからスタート。続く「作戦会議」や「HAPPY BIRTHDAY」も生まれ変わりをテーマとしたりしています。もっとも、そういう重そうなテーマを掲げながらも、もちろん基本的にはユニークにまとめていて、たとえば「不死身FUNK」で歌われている「不死身」とは「死ぬのは誰でも1回。みんな死ぬまでは不死身だ」と歌う、ある意味「当たり前」的ではあるものの、逆転の発想的な歌詞が非常にユニークです。(ただ、同じような視点はソウル・フラワー・ユニオンの「死ぬまで生きろ!」でもありますが・・・)
もちろん、そんなテーマの楽曲以外にも今回のアルバムにはユニークな視点の楽曲が多く収録されています。「組曲・フミキリ」では人生の難局を開かずの踏切に例えて、やりすごそうとしても上手くいかないかもよ、ということをユニークに歌っていますし、「体温計」では風邪気味の時、体温計で熱をはかって、実際に熱があった時には自己催眠でもっと悪くないので、熱をはからない方がいいかもよ、と歌ったり、「友達いなそー。」では、変に群れてない人のほうが自分を持っていていいかもと歌ったり、今回のアルバムではそんなユニークな観点の楽曲が目立ちました。
楽曲的にはいかにも宅録らしい自由度の高いにぎやかな音を多く入れたサウンドが特徴的。公式サイトのアルバム全曲解説によると、特に「HAPPY BIRTHDAY」では、最初のタイトルが「BECKもどき」だったようで、BECKを彷彿とさせるユニークなサウンドが特徴的なのですが、この曲に限らず、全体的にユニークなサウンドをいろいろと入れたサウンドが大きな特徴となっています。
ある意味、いつものTOMOVSKYらしい作品ともいえるのですが、前作「SHAAA!!!」ではいまひとつユニークな視点が少なく物足りなさを感じるアルバムだったのですが、今回のアルバムはその反動でしょうか、非常にユニークな視点の多い歌詞が多く収録されていたと思います。
様々な音を取り入れたがらくたのようなサウンドを含めてTOMOVSKYらしい楽しさあふれるアルバムに仕上がっていた本作。彼の魅力がしっかり伝わってくる作品でした。「生と死」がテーマといっても全く重さを感じさせなく、「生と死」すらユニークに解釈してしまう彼のスタイルは見事。彼の才能をあらためて感じたアルバムでした。
評価:★★★★★
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コメント
ユーモア性で重さを感じさせない歌詞と宅録ゆえのいい意味でのチープさが魅力的でしたね。
投稿: ひかりびっと | 2018年6月 7日 (木) 22時13分
>ひかりびっとさん
ご感想ありがとうございました。
投稿: ゆういち | 2018年6月15日 (金) 23時17分