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2018年4月 2日 (月)

初のベスト10ヒットも記録

Title:H.O.T
Musician:Nulbarich

いわゆるシティポップ的な曲がここ最近注目を集めている・・・というのはここにも何度か書いています。そんな中、売上的な側面でおそらく頭ひとつ出ているのがSuchmosでしょうが、それに続くであろうバンドが彼ら、Nulbarich。ここでも何度か紹介しているバンドですが、このたび約1年半ぶりとなるフルアルバムをリリース。オリコンアルバムチャートでも見事ベスト10入りを果たし、人気の面での勢いを感じさせる結果となっています。

基本的にソウル、ファンク、ジャズといったブラックミュージック的な要素を強く取り入れてロック的な要素も加えてポップにまとめあげている・・・という点ではSuchmosと非常に近いタイプのミュージシャンとも言える彼ら。そんな中でもロック的な要素も比較的強く感じるSuchmosと比べると、爽快という側面がより強く、ジャズ的な要素も強く感じるのが彼らの大きな特徴です。

爽快という側面で言えば今回のアルバムでも軽快なリズムを聴かせるナンバーが多く、特にリズミカルでダンサナブルな曲も目立ちます。イントロに続いてはじまる本編1曲目「It's Who We Are」などはまさしく彼ららしい爽快さを感じるリズミカルなポップチューンになっていますし、「Zero Gravity」もアシッドジャズやディスコ的な要素を感じるダンスチューン。ほかにもメロディーラインはメロウに聴かせつつも軽快でリズミカルなナンバーが目立ちます。

ジャズという要素でいえばシンセを使ったメロウなサウンドが心地よい「Supernova」あたりが特徴的でしょうか。スペーシーな雰囲気も非常に心地よいナンバーになっています。この曲に限らず、シンセを多用したサウンドが特徴的で、アルバム全体にスペーシーな雰囲気が漂っています。

一方でシンセを多用したサウンドになっている影響もあり、バンド的なイメージは薄め。ロックの要素を取り入れている・・・と書いたのですが、正直言ってこのアルバムに関してはロック的な要素もあまり強くありません。もともとリーダーでメインのソングライターであるJQと中心としてメンバーは流動的なバンドのようで、そういう意味でも「バンド」というよりも「ソロプロジェクト」的な要素が強いのかもしれません。

彼らについてはいままでEP盤を2枚聴いてきて、これがはじめて聴くフルアルバムになるのですが、爽快で心地よい反面、ちょっとメロディーの引っかかりがないようにも感じました。Suchmosに似たタイプということで下手したらSuchmosの下位互換的とも捉えられかねない部分も否定できません。もちろん彼らは彼らなりに個性は出していると思うのですが。ミュージシャンとしておもしろさを感じると同時に、まだまだこれからの部分も感じたフルアルバムでした。

評価:★★★★

Nulbarich 過去の作品
Who We Are
Long Long Time Ago


ほかに聴いたアルバム

LIVE AT XXXX/The Birthday

昨年5月から行われたライブツアー「The Birthday TOUR 2017"NOMAD"」のうち、最後に行われた5か所の「Zepp」で行われたステージをまとめたライブアルバム。かなり意外といえば意外な印象なのですが、これが彼らにとっては初となるベストアルバム。結成から12年が経過。ギタリストとしてフジイケンジが加入して7年がたち、バンドとして満足のいくまとまりが出来てきたということでしょうか。実際、音源はシンプルなガレージロックがメインながらもバンドとしてのまとまりがあり、ある種の安定感を覚えます。この「安定感」はガレージバンドとして必ずしもプラス方向にばかり機能はしないのでしょうが、楽曲のバラエティーの広さで安定感からくる緊張感の欠如というマイナス要因をおぎなっているようにも感じます。バンドとしてこれだけまとまっていれば、結成12年目の彼らですが、まだまだその活動は長く続いていきそうです。

評価:★★★★

The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS

NOMAD

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