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2018年4月27日 (金)

自由度の高い音楽性が大きな魅力

Title:Boarding House Reach
Musician:Jack White

そろそろ「元White Stripesの」という枕詞が不要になりつつなるほどの積極的な活動を見せているJack White。2016年にはかのBeyonceとのコラボを果たし、特にそのコラボ作「Don't Hurt Yourself」がグラミー賞にノミネートされるなど大きな話題を呼びました。本作はそんな彼の約4年ぶりとなるニューアルバムとなります。

もともとWhite Stripesではルーツ志向の強い音楽性を見せていた彼。彼がメンバーとして活動しているThe Dead Weatherでも古き良きロックを志向する音楽性が特徴的ですが、今回のアルバムに関しては基本的にルーツ志向のへヴィーなロックを中心軸に置きつつも、簡単に一言では言い表せないような、幅広い音楽性を感じさせる曲調になっています。

例えば「Connected By Love」ではノイジーなオルガンの音色を強い印象として受けつつ、ゴスペル風のコーラスを力強く聴かせ、ソウルなテイストを強く感じます。また、「Corporation」ではファンキーなギターリフを聴かせつつ、ラテン風なパーカッションが強いインパクトを与えていますし、「Hypermisophoniac」ではピアノやバンドサウンドをバックに機械音的なイメージが強いエレクトロサウンドが終始流れています。

「Ice Station Zebra」ではラップが入ってきてHIP HOPテイストの強い作風になっていますし、「Everything You've Ever Learned」は最初、エレクトロな音からスタートしたかと思えば、トライバルなリズムが印象的なナンバー。「Get In the Mind Shaft」はサイケなシンセが耳を惹きます。

前作「Lazaretto」でも様々なタイプの曲に挑戦したアルバムになっていますが、今回はそれ以上に自由度の非常に高いアルバムに仕上がっていました。それゆえに正直なところ、最初このアルバムを聴いた時は、非常に飲み込みにくく、良くも悪くもひっかかりが多いアルバムだったことは否めません。ただ、それだけに何度か聴いてゆっくりとこのアルバムを飲み込んでいくにしたがって、Jack Whiteらしい豊かな音楽性の魅力が徐々に理解できる作品になっていました。

もちろんいろいろなタイプの音を入れつつも、基本的にはダイナミックなギターロックを主軸に入れており、全体的には統一感もしっかりと残しています。またロックという側面でもダイナミックなギターリフにシャウト気味のボーカルの、いかにも「ロック」といった様相の「Over and Over and Over」のような曲もあり、ロックの醍醐味はしっかりと味わえます。

また終盤は女性ボーカルとのデゥオでメロディーの美しさを聴かせるカントリーバラード「What's Done Is Done」、またおそらく多くの人に耳馴染みのあるドヴォルザークの「Humoresque」をアコースティックなサウンドで静かにカバーして締めくくり。ラストはシンプルなサウンドと聴かせるメロディーで締めくくり。ここに至るまではある意味、非常にバリエーションの多い作風でこってり風味の曲が続いていただけに、さっぱりとした風味の曲調で締めくくり、ほどよい後味を残す構成も見事です。

上にも書いた通り、ともすれば最初は聴きにくいという感想を抱くかもしれない作品。ただそれは、それだけ自由度の高く挑戦的だった結果と言えるでしょう。前作同様、抑えきれないJack Whiteの音楽への欲求を1枚に凝縮した傑作アルバム。まだまだ彼の活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

Jack White 過去の作品
BLUNDERBUSS
Lazaretto

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