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2018年4月

2018年4月30日 (月)

フェラ・クティの息子たち

主に1970年代から80年代にかけて活躍し、アフロビートの創始者としても名高いナイジェリア出身のミュージシャン、フェラ・クティ。彼は1997年にわずか58歳という若さでこの世を去りましたが、アフロビートという音楽は世界的に広まっていきました。そして、そんな彼の音楽を直接受け継いだのが彼の息子たち。その彼の音楽を受け継いだ長男、フェミ・クティと末の息子、シェウン・クティが相次いでアルバムをリリースしたということで話題となりました。

Title:BLACK TIMES
Musician:SEUN KUTI&EGYPT 80

まず末の息子、シェウン・クティのニューアルバム。幼少の頃からフェラ・クティのステージに立ち、彼のバンド、EGYPT80を引き継きついでいます。さすがに父親のような30分近い長尺の曲はありませんが、1曲あたり7分から9分程度の長い曲が多く、ミニマル的なサウンドで高揚感をあげて盛り上がるというスタイルはまさにフェラ・クティのスタイルを引き継いでいます。

全体的にホーンセッションを入れて明るく盛り上がるスタイルの曲が多く、軽快なサウンドが特徴的。昔、彼のステージはフジロックで一度見たことがあるのですが、そのアゲアゲなステージに我を忘れるほど踊ったことを覚えていますが、その高揚感はこのアルバムでも伝わってきます。

彼のアルバムを聴くのはこれが3作目。以前の作品は非常にあか抜けたサウンドだったという印象を受けました。特に前作はR&Bやラップなどの要素を入れて、いわば西洋音楽に近づいたスタイルを感じました。ただ、今回のアルバムに関してはそんないかにも西洋音楽的なR&B的な雰囲気やラップ的な要素は薄く感じます。むしろアフロ・ビートらしさを強く押し出したと言えるかもしれません。もっとも、全体的にあか抜けた雰囲気を醸し出している点は変わりありませんが。

また、意外とポップなメロディーラインもしっかりと聴かせてくれます。特に「Kuku Kee Me」「Bad Man Lighter(B.M.L.)」などではメロディアスなフレーズが印象に残る楽曲になっており、いい意味での聴きやすさを感じました。

今回ももちろん、魅力たっぷりのアフロー・ビートをしっかりと楽しめる傑作アルバム。父親の遺伝子はしっかりと受け継がれていることをあらためて強く感じました。

評価:★★★★★

SEUN KUTI&EGYPT80 過去の作品
FROM AFRICA WITH FURY:RISE
A Long Way To The Beginning(ロング・ウェイ・トゥ・ザ・ビギニング~始まりへの長い道のり)

Title:ONE PEOPLE ONE WORLD
Musician:FEMI KUTI

で、こちらはフェラ・クティの長男、フェミ・クティ。すでに御年55歳。シェウン・クティは36歳ですから兄弟とはいえ19歳の年の差があるわけです(ちなみに腹違いです)。彼もまた、フェラ・クティの生前、彼とともにバンド活動をしていたそうです。

シェウン・クティとフェミ・クティの一番わかりやすい違いは曲の長さ。1分あたり10分近い楽曲が並ぶシェウンの曲と比べると彼の曲は1曲あたり4、5分というポップソング志向。そのためミニマルなサウンドでどんどんと盛り上げるアフロ・ビートの特徴からすると高揚感が長く続かないという点でちょっと物足りなさを感じる部分も無きにしも非ずなのですが、その分、ポップなメロで聴きやすさを感じるアルバムになっています。

もちろん彼の楽曲に関してもホーンセッションを入れた軽快なファンキーなリズムというアフロ・ビートをしっかりと聴かせてくれます。そしてそんな中、メロディーラインもポップという点もシェウン・クティと共通項と言えるかもしれません。

ただ、彼の楽曲はそんな中でも55歳という年齢ということもあるのでしょうが、どこか大人らしい渋みのあるメロディーとサウンドが印象に残ります。メロディーに関しても比較的哀愁感の強いメロでしっかりと聴かせるようなスタイルがメイン。またサウンドに関してもアフロ・ビートのみならずジャズ的な要素を感じます。

同じアフロ・ビートを基調にし、フェラ・クティの遺伝子を引き継ぎつつも、シェウンとフェミ、それぞれ音楽性が微妙に異なってくるのが非常にユニーク。今回、比較的近い時期に2枚のアルバムを聴き、その「違い」をより強く感じました。

もちろんその違いがそれぞれの個性であり、ユニークさも感じました。そしてシェウン同様、彼もまたしっかりと引き継がれたフェラの遺伝子も感じます。もちろんしっかりと聴かせる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

FEMI KUTI 過去の作品
NO PLACE FOR MY DREAM

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2018年4月29日 (日)

死ぬまで不死身

Title:FUJIMI
Musician:TOMOVSKY

毎回、世の中を斜めから見たようなユニークな視点の歌詞が強いインパクトのあるTOMOVSKY。約1年半ぶりとなるニューアルバムとなる本作。今回も非常にユニークな視点からの歌詞が特徴的なアルバムに仕上がっています。

今回のアルバム、かなり仰々しくテーマを言ってしまうと「生と死」ということになるのでしょうか。例えばアルバムタイトルからして「FUJIMI」ですし、1曲目もいきなり「不死身FUNK」というナンバーからスタート。続く「作戦会議」「HAPPY BIRTHDAY」も生まれ変わりをテーマとしたりしています。もっとも、そういう重そうなテーマを掲げながらも、もちろん基本的にはユニークにまとめていて、たとえば「不死身FUNK」で歌われている「不死身」とは「死ぬのは誰でも1回。みんな死ぬまでは不死身だ」と歌う、ある意味「当たり前」的ではあるものの、逆転の発想的な歌詞が非常にユニークです。(ただ、同じような視点はソウル・フラワー・ユニオンの「死ぬまで生きろ!」でもありますが・・・)

もちろん、そんなテーマの楽曲以外にも今回のアルバムにはユニークな視点の楽曲が多く収録されています。「組曲・フミキリ」では人生の難局を開かずの踏切に例えて、やりすごそうとしても上手くいかないかもよ、ということをユニークに歌っていますし、「体温計」では風邪気味の時、体温計で熱をはかって、実際に熱があった時には自己催眠でもっと悪くないので、熱をはからない方がいいかもよ、と歌ったり、「友達いなそー。」では、変に群れてない人のほうが自分を持っていていいかもと歌ったり、今回のアルバムではそんなユニークな観点の楽曲が目立ちました。

楽曲的にはいかにも宅録らしい自由度の高いにぎやかな音を多く入れたサウンドが特徴的。公式サイトのアルバム全曲解説によると、特に「HAPPY BIRTHDAY」では、最初のタイトルが「BECKもどき」だったようで、BECKを彷彿とさせるユニークなサウンドが特徴的なのですが、この曲に限らず、全体的にユニークなサウンドをいろいろと入れたサウンドが大きな特徴となっています。

ある意味、いつものTOMOVSKYらしい作品ともいえるのですが、前作「SHAAA!!!」ではいまひとつユニークな視点が少なく物足りなさを感じるアルバムだったのですが、今回のアルバムはその反動でしょうか、非常にユニークな視点の多い歌詞が多く収録されていたと思います。

様々な音を取り入れたがらくたのようなサウンドを含めてTOMOVSKYらしい楽しさあふれるアルバムに仕上がっていた本作。彼の魅力がしっかり伝わってくる作品でした。「生と死」がテーマといっても全く重さを感じさせなく、「生と死」すらユニークに解釈してしまう彼のスタイルは見事。彼の才能をあらためて感じたアルバムでした。

評価:★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3
SHAAA!!!

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2018年4月28日 (土)

最近ではエヴァの作詞家としておなじみ

Title:ネコイズム~及川眠子作品集

最近ではTwitterでの積極的な発言で話題にのぼることも多い作詞家、及川眠子。アラフォー世代以上にはWinkの数多くのヒット曲でなじみある方も多いでしょうし、なによりももっと若い世代にとってはエヴァンゲリオンのテーマ曲の作詞家、というイメージが強いでしょう。既に作詞家として「大御所」の域に達している彼女ですが、そんな1980年代から一線で活躍した彼女の30年強に及ぶ活動を網羅した作品中がリリースされました。

内容はいまや彼女の代名詞ともなった「残酷な天使のテーゼ」からスタートし、ラストもエヴァンゲリオンのテーマ曲「魂のルフラン」で締めくくる内容。もちろんWinkのヒット曲「愛が止まらない~Turn it into love~」「淋しい熱帯魚」も含まれています。楽曲的にはバリエーションが多く、アイドルポップからAOR、ムード歌謡曲からキッズソングまで様々。職業作家らしい、いい意味でジャンルを全く選ばない仕事ぶりが目立ちます。

さてそんな及川眠子の代表作を並べた今回のコンピレーション。「歌詞」という側面の共通項で全体が貫かれていますが、彼女の作品でまず感じられるのが歌詞にほとんど癖がない、という点でした。もちろん職業作家である以上、自らの個性をあまり強く押し出すことはできません。ただそれでも、例えば秋元康などは今時の若者言葉を積極的に利用して「今時感」を出そうという傾向がありますし、例えば松本隆なども歌詞全体に純朴な恋愛観が目立つなど個性を感じます(もっとも松本隆の場合、デビューは「職業作家」ではありませんが)。

ただ彼女の場合、このコンピを聴いても特に目立つような特徴はあまりありません。彼女の場合、特に90年代前半はWinkのイメージが強いためかアイドルポップを手掛けていることが多いのですが、このアイドルポップはいかにもアイドルらしいかわいらしく元気ある歌詞が目立ちますが、かと思えば池田聡に提供した「僕は君じゃない」ややしきたかじん「東京」などではしっかりと大人の世界を描いています。

少年隊に提供した「PGF」などはしっかりといかにもジャニーズ系らしい歌詞に仕上げていますし、ご存じ「残酷な天使のテーゼ」や「魂のルフラン」はよく公言されているようにエヴァンゲリオンを一切見ない状況で書いたにも関わらず、エヴァの世界観に沿ったような歌詞とバリエーションが豊富。いい意味で癖のない歌詞を書くからこそ、幅広いタイプのシンガーから作詞を求められるということでしょう。

作品的には90年代のアイドルポップが多い印象。90年代のアイドルシーンといえば、当時、「アイドル冬の時代」と呼ばれ、アイドルの大きなヒットがほとんどありませんでしたが、もしこの時代、アイドルがもっと売れていたら、おそらく彼女ももっともっと多くのヒット曲を書いていたんだろうなぁ、と思います。最近はゲーム「アイドルマスター」のキャラソンの作詞を手掛けるなど、相変わらずいい意味で仕事を選ばず職業作家として活動を続ける彼女。まだまだその活躍は止まらなさそうです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

鯛~最後の晩餐~/小林克也&ザ・ナンバーワン・バンド

ラジオDJなどで活躍し、その渋い声とネイティブ顔負けの端正な英語の発音で男でも思わず聴き惚れてしまうトークを聴かせてくれる小林克也。そんな彼はかつてザ・ナンバーワン・バンドというバンドを率いて音楽活動をしていたのですが、25年ぶりとなるアルバムをリリースしてきました。御年77歳となる彼。ユニークな言葉遣いのセンスやウィットでシニカルな視点は相変わらずでその年齢を感じさせないパワーを感じますが、サウンドにしても歌詞にしても若干80年代的なものを感じてしまうのは否めません。ただ、「夢」ではともすれば上の世代にとっては批判の的となりそうな「お金をつかわない」若者たちをむしろ肯定的に描いており、ここらへんのセンスには若さを感じます。インタビューなどで「これが最後になる」と語っていますが、いや、是非80歳になってからも活動を続けてほしいなぁ・・・。まだまだお元気で!

評価:★★★★

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2018年4月27日 (金)

自由度の高い音楽性が大きな魅力

Title:Boarding House Reach
Musician:Jack White

そろそろ「元White Stripesの」という枕詞が不要になりつつなるほどの積極的な活動を見せているJack White。2016年にはかのBeyonceとのコラボを果たし、特にそのコラボ作「Don't Hurt Yourself」がグラミー賞にノミネートされるなど大きな話題を呼びました。本作はそんな彼の約4年ぶりとなるニューアルバムとなります。

もともとWhite Stripesではルーツ志向の強い音楽性を見せていた彼。彼がメンバーとして活動しているThe Dead Weatherでも古き良きロックを志向する音楽性が特徴的ですが、今回のアルバムに関しては基本的にルーツ志向のへヴィーなロックを中心軸に置きつつも、簡単に一言では言い表せないような、幅広い音楽性を感じさせる曲調になっています。

例えば「Connected By Love」ではノイジーなオルガンの音色を強い印象として受けつつ、ゴスペル風のコーラスを力強く聴かせ、ソウルなテイストを強く感じます。また、「Corporation」ではファンキーなギターリフを聴かせつつ、ラテン風なパーカッションが強いインパクトを与えていますし、「Hypermisophoniac」ではピアノやバンドサウンドをバックに機械音的なイメージが強いエレクトロサウンドが終始流れています。

「Ice Station Zebra」ではラップが入ってきてHIP HOPテイストの強い作風になっていますし、「Everything You've Ever Learned」は最初、エレクトロな音からスタートしたかと思えば、トライバルなリズムが印象的なナンバー。「Get In the Mind Shaft」はサイケなシンセが耳を惹きます。

前作「Lazaretto」でも様々なタイプの曲に挑戦したアルバムになっていますが、今回はそれ以上に自由度の非常に高いアルバムに仕上がっていました。それゆえに正直なところ、最初このアルバムを聴いた時は、非常に飲み込みにくく、良くも悪くもひっかかりが多いアルバムだったことは否めません。ただ、それだけに何度か聴いてゆっくりとこのアルバムを飲み込んでいくにしたがって、Jack Whiteらしい豊かな音楽性の魅力が徐々に理解できる作品になっていました。

もちろんいろいろなタイプの音を入れつつも、基本的にはダイナミックなギターロックを主軸に入れており、全体的には統一感もしっかりと残しています。またロックという側面でもダイナミックなギターリフにシャウト気味のボーカルの、いかにも「ロック」といった様相の「Over and Over and Over」のような曲もあり、ロックの醍醐味はしっかりと味わえます。

また終盤は女性ボーカルとのデゥオでメロディーの美しさを聴かせるカントリーバラード「What's Done Is Done」、またおそらく多くの人に耳馴染みのあるドヴォルザークの「Humoresque」をアコースティックなサウンドで静かにカバーして締めくくり。ラストはシンプルなサウンドと聴かせるメロディーで締めくくり。ここに至るまではある意味、非常にバリエーションの多い作風でこってり風味の曲が続いていただけに、さっぱりとした風味の曲調で締めくくり、ほどよい後味を残す構成も見事です。

上にも書いた通り、ともすれば最初は聴きにくいという感想を抱くかもしれない作品。ただそれは、それだけ自由度の高く挑戦的だった結果と言えるでしょう。前作同様、抑えきれないJack Whiteの音楽への欲求を1枚に凝縮した傑作アルバム。まだまだ彼の活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

Jack White 過去の作品
BLUNDERBUSS
Lazaretto

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2018年4月26日 (木)

やはり強いユーミン

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週に続きユーミンのベスト盤がまだまだ売れています。先週1位を獲得した松任谷由実「ユーミンからの、恋のうた。」は今週も3万8千枚の売上を上げ、2位にランクイン。また先週、ベスト10に返り咲いたベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」は今週、さらに1万枚に売上を伸ばし6位にランクアップ。まだまだその人気のほどを見せつけています。

さて今週の1位はK-POPの男性アイドルグループ。SHINeeのベストアルバム「SHINee THE BEST FROM NOW ON」が獲得しました。初動売上8万9千枚。前作「FIVE」の6万8千枚(3位)からアップしています。

3位初登場はMrs.GREEN APPLE「ENSEMBLE」がランクイン。最近、人気上昇中の、いわば「フェス向けバンド」という印象も強いロックバンド。初動売上1万5千枚は前作「Mrs.GREEN APPLE」の1万2千枚(9位)からアップ。初のベスト3ヒットを記録しています。

続いて4位以下の初登場盤です。5位には男性声優小野大輔「STARTRAIN」がランクインです。初動売上1万枚。前作「Doors」の1万5千枚(4位)からダウンしています。

7位にはDOBERMAN INFINITY「OFF ROAD」がランクイン。初動売上は1万枚。前作「#PLAY」の8千枚(4位)から若干アップしています。

9位にはロックバンドTHE BAWDIESのベスト盤「THIS IS THE BEST」が入ってきました。デビュー10周年を記念してリリースされるベストアルバム・・・ってもうデビューから10年も経つんですね・・・初動売上6千枚は前作「NEW」(10位)から横バイ。ベスト盤としては売上が伸びず、固定ファン以外にいまひとつ波及していないのが気になります。

そして今週、なんと安室奈美恵のベスト盤「Finally」が先週の23位から8位にランクアップ。3月19日付チャート以来5週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。売上枚数も3千枚から6千枚に倍増。いきなり売上が伸びた理由は不明ですが、4月21日付のデイリーチャートで3位にいきなりランクアップしています。4月20日からKOSEのCMに彼女が出演しているそうなので、その影響でしょうか。また4月21日から京セラドーム大阪でのライブがスタートしているので、ライブ会場での売上も反映されているのかもしれません。

またもう1枚ベスト10返り咲きが。10位に「グレイテスト・ショーマン(オリジナル・サウンドトラック)」がランクアップ。2週ぶりにベスト10返り咲き。ただし売上は6千枚から5千枚にダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日。

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2018年4月25日 (水)

女性アイドルが目立つチャート

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週1位はKAT-TUN「Ask Yourself」が獲得。フジテレビ系ドラマ「FINAL CUT」主題歌。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位、PCによるCD読取数で2位、Twitterつぶやき数11位を獲得。一方、ラジオオンエア数は54位と低迷しています。2016年にメンバー田口淳之介が脱退し、ついに3人組になってしまった彼ら。その後、充電期間と称して活動休止状態でしたが、今年に入り活動を再開。本作は約2年1か月ぶりにリリースされた3人組になってはじめてのシングルとなっています。オリコンでは初動売上13万7千枚で1位獲得。前作「UNLOCK」の19万4千枚(1位)から大きくダウン。ただ前作は田口淳之介脱退発表後にリリースされた影響で売上が大幅に伸びていました。前々作「TRAGEDY」の12万9千枚(1位)よりはアップしており、3人での新たな船出はまずまずといったところでしょうか。

2位は相変わらず強い。米津玄師「Lemon」。これで3週連続通算7回目の2位獲得となります。実売数は6位まで落ちてしまいましたが、PCによるCD読取数では1位を、You Tube再生回数では2位を獲得しており、まだまだ根強い人気を感じます。オリコンのデジタルシングルランキングでは今週も1位を獲得。これで9週連続の1位となりました。

3位初登場はハロプロ系の女性アイドルグループJuice=Juice「SEXY SEXY」が初登場でランクイン。最初、ちょっとメロウで大人の雰囲気のエレクトロチューンからスタートするのですが、途中からすぐ通常モードのアイドルソングになるのは、やはりハロプロ系の限界なんでしょうか。実売数2位、PCによるCD読取数34位、Twitterつぶやき数14位。ラジオオンエア数が17位とこの手のアイドル系にしては比較的上位にランクインしています。

さて今週は彼女たちを筆頭に女性アイドル系が目立つチャートとなりました。Hot100ではCD売上以外ではランキングを伸ばしにくい女性アイドル系は比較的苦戦気味なのですが、ほかに強力曲が少なかった影響か、多くの女性アイドル系がランクインしています。

まず5位にシュークリームロケッツ「君のAchoo!」が初登場でランクイン。テレビ朝日系オーディション番組「ラストアイドル」から生まれたグループ。作詞は秋元康で、正直、AKBグループとの差が全く不明です。実売数は3位ながらもPCによるCD読取数24位、Twitterつぶやき数30位、そのほかは圏外と固定ファンのみに支持された傾向の強いチャートになっています。オリコンでは初動売上5万5千枚で2位初登場。ラストアイドル名義だった前作「バンドワゴン」の4万2千枚(4位)からアップしています。

8位には乃木坂46「シンクロニシティ」が先週の19位からランクアップしベスト10入り。はるやま商事CMソング。4月25日にリリースされたシングルですが、先行配信の影響でベスト10入り。実売数9位、ラジオオンエア数11位、Twitterつぶやき数6位、You Tube再生回数21位を記録しています。

10位には同じく女性アイドルグループまねきケチャ「鏡の中から」が初登場でランクイン。こちらは実売数5位、PCによるCD読取数48位、Twitterつぶやき数84位、そのほかは圏外というCD売上に偏ったチャート傾向になっています。オリコンでは初動売上2万4千枚で5位初登場。前作「どうでもいいや」の2万2千枚(6位)から若干のアップとなっています。

ほかに今週は韓国の女性アイドルグループTWICE「What Is Love?」が6位にランクインしており、欅坂46「ガラスを割れ!」も7位にランクイン。この曲はこれで7週連続のベスト10入りとなり、ロングヒットを記録しています。

そんな中、孤軍奮闘しているのが4位初登場西野カナ「アイラブユー」。映画「となりの怪物くん」主題歌。そのまんまなかなりストレートなタイトルです。実売数4位のほかはラジオオンエア数15位、PCによるCD読取数14位、Twitterつぶやき数12位、You Tube再生回数35位とコンスタントに上位に入ってきています。ラップ気味のボーカルを聴かせている楽曲で、昔はやった女性ボーカル+男性ラッパーの着うた系ヒットを彷彿とさせます。ちなみにオリコンではシングルランキングは初動1万6千枚の8位にとどまっていますが、デジタルシングルチャートでは2位初登場。昔、着うたの女王と呼ばれた彼女ですが、相変わらず配信系で強い傾向がうかがえます。ちなみに前作「手をつなぐ理由」は初動1万5千枚(7位)で本作は微増にとどまっています。

もう1曲初登場が9位狼の姿で知られるロックバンドMAN WITH A MISSION「Take Me Under」が初登場でランクイン。映画「いぬやしき」主題歌。実売数7位、ラジオオンエア数14位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数33位。オリコンでは初動売上2万4千枚で4位初登場。前作「My Hero」の2万5千枚(2位)から微減という結果になっています。

さてほかのロングヒット組では先週10位だった星野源「ドラえもん」が今週、残念ながら11位にダウン。ベスト10入りは通算9週で終わりました。ただ、PCによるCD読取数はまだ4位と上位をキープしており、来週以降もまだまだ盛り返しの可能性があるかも?

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年4月24日 (火)

アフリカ的なサウンドを加えて

Title:Black Panther: The Album

今回紹介するアルバムは、今年公開された映画「ブラック・パンサー」にちなんだアルバム・・・といってもいわゆるサントラ盤ではなく、今、もっとも注目を集めているラッパーといってもいいKendrick Lamar プロデュースにより、映画にインスパイアされた曲を集めたアルバム。一部は映画にも使用されたようですが、基本的には映画本編とは直接関係ないアルバムで、ケンドリックの曲も多く収録されているため、Kendrick Lamarの事実上の新作的立ち位置でも注目を集めています。

そのため楽曲的にはまずは彼らしいといえる重低音のリズムのシンプルなサウンドが主軸になっているHIP HOPが中心となっています。また、例えばアルバムの冒頭を飾るタイトルチューンの「Black Panther」が、映画の主人公になりきって心境を語るというスタイルの作品になっており、内省的な楽曲も目立ちます。

ある意味、そういう意味でもケンドリックのアルバムらしい内容になっているのですが、一方で大ヒット映画のタイトルを冠したアルバムだから、ということでしょうか、歌モノも多く取り入れたポップな楽曲も目立ちます。例えば2曲目の「All the Stars」はケンドリック所属のレーベルの女性シンガーで、昨年リリースされた「Ctrl」が大きな話題となったSZAが参加。伸びやかでメロディアスなポップソングを聴かせてくれます。

また「I Am」では今、イギリスで注目のミュージシャンとして話題を呼んでいるJorja Smithが参加。気だるげなボーカルで感情たっぷりの歌声を聴かせてくれますし、「Bloody Water」ではかのJames Blakeが参加し、メロウな歌声を聴かせてくれます。

そしてここまで様々なミュージシャンをあげてきたことからもお分かりかと思いますが今回のアルバム、もうひとつの特徴としてKendrick Lamarを軸として様々なミュージシャンが参加し、アルバムに彩りを加えています。

そんなゲスト勢の中で目を引くのが今回、南アフリカのミュージシャンが多く参加しているという点でしょう。例えば「X」では南アフリカのMC、サワディが、「Opps」では同じく南アフリカのユーゲン・ブラックロックが参加。もともと映画の舞台がアフリカということでアフリカ的なものを意識しているのでしょう。実際、1曲目の「Black Panther」も最初、トライバルなリズムが薄く流れています。

個人的にこのアルバムの中で一番強い印象を受けた「Redemption」でも南アフリカの女性ラッパーBabes Wodumoが参加しトライバルなラップを聴かせてくれます。この曲はアフリカ的なリズムを入れつつ、メロディアスな歌が流れてポップに仕上げているという意味でもこのアルバムを代表するような作品と言えるかもしれません。

ただ、アフリカ的なサウンドを意識しつつも、基本的にはアメリカのメインストリームなHIP HOPに準じた楽曲が並んでおり、そういう意味ではアフリカ的なアフロサウンドを上手く融合させつつも、非常に聴きやすいアルバムに仕上がっていたと言えるかもしれません。ポップな楽曲が多いだけに、ともすればKendrick Lamarのアルバムよりも聴きやすく感じる方も多いかも。個人的にはポップなメロもさることながらアフロなサウンドも非常に心地よく、最初から最後まで楽しめたアルバムになっていました。Kendrick Lamarの新作的な立ち位置で注目すべき傑作です。

評価:★★★★★

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2018年4月23日 (月)

15年の沈黙をやぶった新作

Title:ロックブッダ
Musician:国府達矢

MANGAHEAD。この名前を聴いて「いたなぁ、懐かしい!」と感じる音楽ファンはどのくらいいるでしょうか。ただ、その名前に聞覚えがある方は少なからずいるかもしれません。1999年にシングル「Lines」でメジャーデビューした彼は、同年にアルバム「THE PLANET OF MANGAHEAD」をリリース。同作はプロデューサーに小林武史を起用。その当時はそれなりに話題を集めましたが、残念ながら売上的にはいまひとつ。その後、2003年には本人名義でアルバム「ロック転生」をリリース(こちらは未聴)したものの、その後はSalyuへの楽曲提供やインディーズからのシングルリリースなど活動は限定的なものとなりました。

そんな彼が15年ぶりとなるアルバムをリリース。MANGAHEADのアルバムはリアルタイムで聴いており、その名前を憶えていただけに「懐かしい!」という気分となり、何気ない気持ちでアルバムを聴いてみました。オルタナティブ傾向が強いロックサウンドを奏でていたミュージシャンということもあり、さほど期待はしていなかったものの、好みのサウンドだったらいいなぁ、程度の軽い気持ちで。

ただ、これが予想以上に素晴らしいアルバムにしあがっていました。まず耳を惹かれたのがアルバム冒頭を飾る「Rose」。ノイジーなエフェクトをかけつつ刻まれるロッキンなギターリフ。そしてそんなサウンドをバックに歌いあげる国府達矢のボーカルは浪曲風のこぶしを聴かせたもの。ロッキンなサウンドと和風なボーカルの微妙なバランスが非常にユニークに感じます。

この和風な雰囲気はアルバム全体を流れており、例えばタイトルからして和風な印象のある「祭りの準備」はどこか祭りの雰囲気を感じさせるビートにハイトーンのラップがのった独特なサウンド。非常にソリッドなサウンドに和風の要素を加味したラップというスタイルは、どこかZAZEN BOYSに通じるものを感じます。また「続・黄金体験」などもこぶしを聴いたサウンドと散文的な雰囲気のあるギターサウンドのバランスがユニークな楽曲に仕上がっています。

そんな「和」の要素を取り入れつつ、一方では「いま」ではファンキーなギターにスペーシーなシンセを重ねたサウンドを聴かせたり、「朝が湧く」ではギターのリフにエキゾチックな雰囲気を感じたりと様々な楽曲の要素を取り入れてきています。また、複雑なドラムのリズムやラップテイストのボーカルを取り入れた楽曲も目立ち、実験的なポップスという印象を強く受けます。前作「ロック転生」はかの七尾旅人に大きな影響を与えたとか。確かにタイプ的には七尾旅人と似たような方向性を感じます。

一方では「weTunes」では爽快でポップなナンバーになっており、アルバム全体としても意外とポップな要素を感じることが出来るのもユニークなところ。MANGAHEAD時代のアルバムも、プロデューサーが小林武史ということもあったのでしょうが、アルバム全体としてポップな雰囲気が強い作品になっており、国府達矢自身が強いポップスセンスを持ったミュージシャンだということに気が付かされます。

国府達矢が個性的でとてもおもしろい音を奏でるミュージシャンだということを実感させられるアルバム。15年ぶりのアルバムということですが、これだけの才能を持ったミュージシャンが、全くアルバムをリリースできなかったという事実が残念に思います。

ただひとつだけ気になることがあって、それは彼の声。正直言うと、彼の声は非常に弱く感じてしまいます。特に今回のアルバム、こぶしを利かせたボーカルの曲が多いのですが、そうなると彼のように線が細いシンガーはかなり不利だったような。このボーカルの弱さがマイナス要素になっていましたし、ひょっとしたら彼がいまひとつ売れなかった要因のひとつがこの声だったのかもしれません。

そういう気になる部分はあったものの国府達矢の実力がよくわかる文句なしの傑作だったと思います。なんでも今年はあと2枚、アルバムのリリースを予定しているのだとか。これは期待せざるを得ません!これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

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2018年4月22日 (日)

早くもソロデビュー15年(!)

Title:すてきな15才
Musician:YUKI

早くも・・・という表現がピッタリくるかと思います。ソロデビューから早くも15年を迎えたYUKI。5周年の時には「five-star」、10周年の時には「POWERS OF TEN」と区切りの年にベストアルバムをリリースしてきた彼女ですが、15周年となる今年もベストアルバムをリリースしてきました。「すてきな15才」とほかのベスト盤に比べると、とてもポップなタイトルが印象的ですが、今回のベスト盤は前のベストアルバム以降にリリースされたシングル「プレイボーイ」から最新シングル「フラッグを立てろ」までのシングルを発売順に収録したシングルコレクション。そのほか、以前のライブで歌われた未発表曲1曲に新曲2曲、TOKIOに提供した「手紙」のセルフカバーが収録されています。

そんな彼女のここ5年のシングル曲ですが、まずシングルの曲調の幅広さが目立ちます。ピアノとストリングスの音色が非常に爽快で心地よい「プレイボーイ」からスタート。ストリングスとバンドサウンドでスケール感あるバラードナンバー「STARMANN」など、この時期のナンバーはまずストリングスなどのサウンドで爽やかさを感じさせる曲が続きます。

しかしその後、「誰でもロンリー」はリズミカルなエレクトロポップに。「好きってなんだろう...涙」ではエレクトロサウンドにラップを取り入れたHIP HOPテイストの強い作品になっていますし、「となりのメトロ」はアコースティックテイストのサウンドが心地よいカントリー風のポップスに仕上げています。

最近のナンバーでは「フラッグを立てろ」はギターサウンドが軽快なロックテイストの強いポップチューンになっていますし、また新曲でもある「穴」はブルージーなギターサウンドが印象に残る楽曲に仕上がっていました。

どの曲もYUKIの年齢を感じさせないキュートなボーカルが魅力的に聴こえてきますし、またメロディーもポップで爽快なものばかり。ポップスシンガーとしてのYUKIの魅力を十分に感じさせるのは間違いありません。ただ一方でアルバム全体を通して感じてしまうのは、様々なタイプを器用に、そして無難にこなした結果として全体としていまひとつ、ミュージシャンとしての核が弱くなってしまっているように感じました。要するに、ここ最近のYUKIのシングル曲を聴くと、ミュージシャンとしてどの方向を目指したいか不明確。言い方は悪いのですが、無難に与えられたポップチューンをこなしているだけ、という印象すら受けてしまいます。

純粋なポップミュージックとして決して悪い出来ではないと思うのですが、ただ5周年、10周年の時のベストと比べると聴いていて安心できるような安定感は増したのですが、目新しさがなく、悪い意味での安定感も増してしまったのかなと思ってしまいました。

せっかくボーカリストとしてあれだけ魅力的な声を持っているんですから、もっといろいろと挑戦してもおもしろいと思うんですけどね。ここ最近の方向性をちょっと残念に感じてしまったベスト盤でした。

評価:★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき
YUKI RENTAL SELECTION


ほかに聴いたアルバム

BADAS(S)/JUN SKY WALKER(S)

今年、デビュー30周年を迎えたパンクバンドJUN SKY WALKER(S)。今年は30周年を記念して様々な企画が予定されているようですが、その第1弾としてリリースされたのが邦楽ロックを彼らがカバーしたカバーアルバム。RCサクセションやTHE MODS、ルースターズからブルハやBOOWY、ミスチルやスピッツにさらには意外なところでは松任谷由実「Hello,my friend」のカバーも収録。ユーミン以外は邦楽ロックとして抑えるべきところを抑えた王道的なセレクションとなっています。

全曲、しっかり「ジュンスカ節」でカバーしており、良くも悪くも一本調子的な部分もあるのですが、逆にそれゆえにカバーした曲のそれぞれの特徴がはっきりした感じが。RCサクセションの「ベイビー! 逃げるんだ。」などは誰が歌ってもRCらしさがこびりついていることを感じますし、BOOWYの「NO.NEWYORK」など、氷室京介の端整なボーカルで隠れていた楽曲のパンキッシュな側面に気が付かされます。スピッツやミスチルなどはメロディーメイカーとしての才能を再認識させられますし、MONGOL800「あなたに」はブルハ直系の音楽性を強く感じました。

ベテランらしい安定感のあるカバー。「Hello,my friend」のカバーも意外とマッチしていたのもユニーク。それ以外の曲に関してはさほど大胆な挑戦は行われていないものの、上に書いた通り、楽曲の意外な側面に気が付かされた、そんなカバーアルバムでした。

評価:★★★★

JUN SKY WALKER(S) 過去の作品
B(S)T
LOST&FOUND
FLAGSHIP
BACK BAD BEAT(S)
FANFARE

Attune/Detune /MONDO GROSSO

MONDO GROSSOの新作は前作「何度でも新しく生まれる」の続編的なアルバム。今回も女性ボーカリストを中心に数多くのゲストボーカルを配したアルバムになっています。全体的にはR&B調のポップチューンが多く、最新の・・・というよりは一昔前のサウンドという印象を受けてしまうアルバム。ただ大沢伸一らしいメロウなポップチューンは健在で、全体的にはメロディアスなポップチューンを楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

MONDO GROSSO 過去の作品
何度でも新しく生まれる

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2018年4月21日 (土)

懐かしさあふれるアニソン集

Title:週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.1

今年、創刊50周年を迎えた人気漫画週刊誌「週刊少年ジャンプ」。公称売上600万部を突破した90年代から比べると、売上部数は大幅に下落しているものの、少年漫画誌としては依然として高い人気を誇っています。そんな週間少年ジャンプの創刊50周年を記念してリリースされたのが本作。ジャンプ連載マンガがアニメ化した際の主題歌などをDJシーザーという主にアニソンやJ-POPを専門として活動としているDJによりノンストップミックスによって収録したアルバム。全70分強の内容で、有名なアニメソングが次から次へと展開する選曲となっています。

今回のアルバムでは週刊少年ジャンプの50年という長さを背景として、古くは男一匹ガキ大将の主題歌「男一匹ガキ大将」から、最近のアニメ主題歌まで幅広い収録されており、おそらく幅広い世代にとって懐かしさを感じさせる曲が収録されていたかと思います。

個人的にはやはりリアルタイムで見ていたような80年代あたりのアニソンに懐かしさを感じます。具体的に言えば「Dr.スランプアラレちゃん」のテーマ曲「ワイワイワールド」、「キン肉マン」の主題歌「キン肉マンGo Fight!」やキャプテン翼の「燃えてヒーロー」、さらにご存じCity Hunterにエンディング、TM Networkの「Get Wild」など、聴いていてもあの頃をアニメを思い出して気分がワクワクしてきます。

特にこの頃のアニメソングはアニメの世界観に直接リンクした、いかにもアニメソングといった感じの曲が多いのが魅力的。特に「ワイワイワールド」や「キン肉マンGo Fight!」などイントロのインパクトが抜群で、テレビの前でアニメがはじまるのをいまかいまかと待ちわび、ついに番組がはじまったあの瞬間の異様なワクワク感が思い出されます。楽曲としては最近のアニメソングの方がバラエティーも豊富で、アニメソングという枠組みに捕らわれないような曲が多いのですが、「単なるJ-POP」になってしまっている曲が多くなってしまっています。まあ、リアルタイムで見ていた人にはその主題歌を聴くだけでアニメ本体も思い出して懐かしさを感じるのでしょうが・・・。

また最近のアニメソングでアニメに直接リンクした曲としては「暗殺教室」の主題歌となった「青春サツバツ論」などがあるのですが、アニメソングというよりも完全にキャラクターソングみたいになってしまっていて、キャラクター、もしくは担当声優をアイドルとして売ろうとする思惑が垣間見れてしまい、若干残念に感じてしまいます。

またちょっと残念だったのは、「幅広い世代にとって」といっても70年代のアニメソングが少なく、「ど根性ガエル」とか「マジンガーZ」とか、この時代のジャンプ漫画でもアニメがヒットしたものは少なくないはずなのですが、ここらへんが収録されていない点が残念。世代的にこの手のコンピに手が伸びないと考えたのでしょうか?また「ドラゴンボール」「奇面組」「聖闘士星矢」など、80年代の大ヒットアニメの主題歌も収録されていませんが、こちらは4月にリリースされた第2弾のためにとっておいた模様です。

ORANGE RANGEの「*~アスタリスク~」やシャ乱Qの「シングルベッド」など、「え?この曲ってアニメ主題歌だったんだ?」と意外に感じたヒット曲も収録されていたりするのも新たな発見が。正直、全体的には「無難なJ-POP」的な曲が多く、このアルバムで「この曲知らなかった、きちんと聴いてみたい!」と思った新たな発見はありませんでした。ただ、バンドサウンドという観点で聴くと、やはりマキシマム ザ ホルモンとASIAN KUNG-FU GENERATIONが間違いなく頭2つくらい出ているな、ということを再認識しました。また、意外にカッコよかったのがDOES「曇天」。DOESって「銀魂」主題歌だけがヒットしたバンドというイメージがあったのですが、こうやってあらためて聴くと、バンドとしての力量もしっかり持っていたんだな、ということに気が付かされます。

DJミックスということで1曲あたり2分弱。サビや出だしの部分だけ収録されており、いまひとつな曲でもサラッと終わる分、曲の内容問わず気軽に楽しめる一方、おいしいところ取りといった感じもして、フルで聴きたかったなと思う部分も否めません。ただ、懐かしさにひたりながら十分楽しめたのは事実。特にアラサー世代、アラフォー世代にとってはアニメ好きか否かに問わず、楽しめる内容ではないでしょうか。お勧めです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Everybody!!/WANIMA

おそらく、今、最も勢いのあるバンドのひとつ、WANIMAのニューアルバム。昨年、初の紅白出場も決めたほか、このアルバムも見事チャート1位に輝いています。基本的に疾走感のあるパンクチューンで、分厚いバンドサウンドとコーラスが入ってハーモニーを生かした曲の多いのが特徴的。歌詞は前向き応援歌的なものが前作以上に目立ち、一昔前に流行った「青春パンク」的な部分を強く感じます。そういう歌詞の部分では若干辟易とする部分も否定はできないのですが、全体的には人気上昇中のバンドらしい怖いもの知らずの勢いを感じさせるアルバム。まだまだ今年もヒット曲をどんどん飛ばしていきそうな予感がします。

評価:★★★★

WANIMA 過去の作品
Are You Coming?

VECTOR/BLUE ENCOUNT

メジャー3枚目となるロックバンドの新作。最近多い、特にロックフェスで人気を博しそうなギターロックバンドというイメージですが、ミクスチャーロックからポップ色の強い楽曲、ファンキーな楽曲などバラエティー豊富。パンキッシュな作品を軸に様々な作風に挑戦しています。楽曲の勢いという点では前作ほどは感じなかったのですが、確かに今時のロックバンドとして人気は出るだろうな、ということを感じることは出来る作品でした。

評価:★★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

THE END

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2018年4月20日 (金)

最高に楽しいポップアルバム

Title:In Your Own Sweet Time
Musician:The Fratellis

イギリスのロックバンドThe Fratellisによる約2年7ヶ月ぶりとなるニューアルバム。The FratellisといえばアップルのCMソングに起用された「Flathead」の大ヒットでその名を知られるミュージシャン。前作「EYES WIDE,TONGUE TIED」は同作も収録したデビュー作「Costello Music」のプロデュースを手掛けたトニー・ホッファーを再びプロデューサーに迎えた話題作でしたが、本作は前作に引き続きプロデューサーとしてトニー・ホッファーを起用したアルバムになっています。

そんなトニー・ホッファーを起用した前作は彼らの音楽性を広げることを意図した意欲作となっていましたが、今回の作品はとシンプルで軽快な、彼らのポップな側面を押し出したような聴いていて楽しくなるアルバムに仕上がっていました。

まず1曲目「Stand up Tragedy」から軽快なリズムと陽気なギターリフを主軸とした陽性なポップチューン。続く「Starcrossed Losers」も派手さはないもののポップなメロディーラインが光るナンバーになっていますが、アルバムの中でまず耳を惹くナンバーとなっているのが3曲目の「Sugartown」。フィル・スペクターばりのウォール・オブ・サウンド的な分厚いサウンドが心地よいビーチボーイズ風のポップチューンに仕上がっています。

その後も聴いていて楽しくなるような軽快なポップチューンが続くのが今回のアルバム。「The Next Time We Wed」は打ち込みのサウンドを入れた軽快なダンスポップに仕上げていますし、「Advaita Shuffle」は逆にギターリフを前に出してきたガレージロック色の強いポップチューンになっています。

終始軽快なポップチューンが続くのですが、ただ全体としてはデビュー作「Costello Music」のような突き抜けたような明るさというのは感じませんでした。軽快なポップチューンの中でも、単純に勢いだけに頼るような感じではなく、ポップなメロディーラインや安定した足腰を持ったバンドサウンドをしっかりと聴かせるような、どこか落ち着きも感じられるポップチューンが並んでいたように感じます。前作ほどの振れ幅はなかったものの、ポップなサウンドの中に一癖二癖バリエーションを加える工夫も感じられ、そういう意味では同じポップなアルバムとはいえ、若さあふれるデビュー作とは異なり、中堅バンドである彼ららしい「大人」になった姿も感じさせられました。

そんな新作のラスト「I Am That」は同作の中でも唯一雰囲気の異なる作品。シタールを取り入れたエスニックテイストの強い作品で、このアルバムの中で唯一、7分近い長尺の作品となっています。サイケデリックでスケール感もあるこのナンバー、単なるポップバンドではないぞ、という彼らの主張も感じるような作品になっていました。

まずは聴いていて素直に楽しくなるポピュラーミュージックの王道を行くようなアルバム。正直なところ「Flathead」ほどパンチの利いたインパクトの強い楽曲はないのですが、それを差し引いても十分すぎるほど楽しめるアルバムだったと思います。ポップな傾向が強いせいか、ロケノンもミューマガもいまひとつ取り扱いが悪いように感じるのですが、本国イギリスでは、前作の出来がよかった影響もあるのかアルバムチャートで最高位5位を記録し、2枚目の「Here We Stand」以来のベスト10ヒットを記録するなど好セールスをマークしています。個人的にもこの手のポップアルバムは大好きなので、これからの活躍にも断然期待したいところ。無条件で楽しくなる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

The Fratellis 過去の作品
Here We Stand
We Need Medicine
EYES WIDE,TONGUE TIED

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2018年4月19日 (木)

ユーミン、強し!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ベテランながらもまだまだ高い人気のほどをみせつけました。

今週の初登場1位は松任谷由実「ユーミンからの、恋のうた。」。デビュー45周年を記念してリリースされたベストアルバム。2012年にベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」をリリースしていますが、それに続く形のベスト盤。「日本の恋と~」はユーミン本人は選曲に関わらない形でのベスト盤でしたが、本作は「日本の恋と~」に収録されなかった曲の中からユーミン自ら選曲したアルバムになっています。さすがにほとんどがアルバム収録曲で、前作のような誰もが知っているという曲はほとんどありませんが、まだまだこれだけの収録曲を「ベスト」として出せるあたり、彼女のミュージシャンとしての奥の深さを感じます。初動売上は10万8千枚。さすがにベスト盤としての前作「日本の恋と、ユーミンと。」の33万6千枚(1位)からはダウン。ただし、直近のオリジナルアルバム「宇宙図書館」の5万7千枚(1位)からはアップしています。

実はさらに今週、その5年前にリリースしたベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」が8位にランクアップ。8千枚を売り上げてベスト10入りを果たしました。これで同作の売上は94万5千枚とミリオン直前・・・だけど、あと5万5千枚の上積みはなんらかのカンフル剤が必要かもしれませんが・・・。

2位には韓国の女性アイドルグループTWICE「What is Love?」がランクイン。こちら韓国盤のミニアルバムとなります。初動売上は2万8千枚。輸入盤がこれほど上位に食い込んでくるのも珍しいかも。彼女たちの人気の高さを感じます。直近作は同じく韓国からの輸入盤「Twicetagram:1st Album」で、こちらの初動1万枚(7位)より大きくアップ。

今週はTWICEをはじめ韓流も目立つチャートに。4位に韓国の5人組バンドFTISLAND「PLANET BONDS」がランクイン。初動売上は1万7千枚。前作「UNITED SHADOWS」の1万8千枚(3位)から微減となっています。また10位にはEXO-CBX「BLOOMING DAYS」がランクイン。こちらは韓国の男性アイドルグループEXOの派生ユニットによる韓国盤。初動売上7千枚。前作は国内盤の「GIRLS」の5万5千枚(2位)からは大きくダウンしています。また他にも5位には先週1位を獲得したBTS(防弾少年団)「FACE YOURSELF」が4ランクダウンながらもベスト10をキープしています。

ベスト3に戻ります。3位にはGReeeeN「うれD」がランクイン。おそらく「うれしい」をもじったタイトルだと思うのですが、なんというかセンスが微妙というか痛々しいというか・・・。初動売上は2万2千枚。直近作はベスト盤「ALL SINGLeeeeS~&New Beginning~」で、こちらの4万8千枚(3位→ただし翌週には最高位1位を記録)からダウン。オリジナルアルバムの前作「縁」の2万8千枚(4位)からもダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。既に紹介したアルバム以外ではまず7位に女性アイドルグループEMPiRE「THE EMPiRE STRiKES START!!」がランクイン。BiSやBiSHが所属する事務所WACKとavexの共同プロジェクトとしてスタートしたアイドルグループだそうで、本作がデビュー作。初動売上9千枚でベスト10入りです。

そして9位も女性アイドルグループ。スターダストプロモーション所属のときめき宣伝部「ときおとめ」がランクイン。初動売上8千枚。これがアルバムとしてはデビュー作となります。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年4月18日 (水)

初登場だらけ

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はHot100では珍しく、初登場でのランクインが多い週となりました。10曲中6曲が初登場となっています。

まず1位から初登場。AKB48の姉妹グループで新潟を中心に活動をしているNGT48「春はどこから来るのか?」がランクイン。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数9位を記録。一方、ラジオオンエア数は90位に留まりました。オリコンでは初動売上10万9千枚で1位獲得。前作「世界はどこまで青空なのか?」の14万8千枚(2位)よりダウンしています。

2位にはまだまだ強い、米津玄師「Lemon」がランクイン。PCによるCD読取数、You Tube再生回数で1位を獲得しているほか、実売数も3位を記録。Twitterつぶやき数は15位、ラジオオンエア数は28位となっていますが、まだまだロングヒットを続けそう。オリコンではCDランキングでは14位まで落ちてしまいましたが、デジタルシングルランキングでは9週連続1位という記録を達成しています。

3位も初登場。コブクロ「ONE TIMES ONE」。ホーンセッションを取り入れたマーチ風にスケール感たっぷりにスタートする楽曲。アサヒもぎたてのCMソングとなっています。実売数は5位に留まりましたが、ラジオオンエア数7位、PCによるCD読取数4位と上位にランクインし、Twitterつぶやき数は71位でしたが総合順位ではベスト3入りとなっています。オリコンでは初動売上3万5千枚で2位初登場。前作「心」の3万6千枚(2位)から微減。

続いて4位以下の初登場曲です。4位はこちらも初登場。B2takes!「Shananaここにおいで」がランクイン。男性の「地下アイドル」によるメジャーデビュー作。メジャーデビューしておいてもう地下も何もないんじゃないかと思うんですが、単なる「売り文句」なんでしょうね。実売数2位のほかはTwitterつぶやき数で76位にランクインし、ほかは圏外という典型的に固定ファン以外に波及していないチャート傾向となっています。オリコンでは初動売上3万5千枚で3位初登場。

5位も初登場。こちらは韓国の男性アイドルグループB1A4「会えるまで」がランクイン。こちらも実売数4位、Twitterつぶやき数7位、PCによるCD読取数66位という固定ファン中心によるヒット。メロウなバラードでサビ近くでラップという一昔前の「着メロ系ヒット」みたいな楽曲になっています。オリコンでは初動1万9千枚で5位初登場。前作「Do You Remember」の1万3千枚(2位)からアップ。

6位は最近人気の韓国女性アイドルグループTWICE「What is Love?」が、こちらは先週の40位からランクアップしベスト10入り。今週、同曲を収録した韓国盤のミニアルバムがリリースされましたが、こちらは配信での売上が上位に入ってきて見事ベスト10入り。実売数4位、You Tube再生回数2位のほか、Twitterつぶやき数は1位を獲得しています。ちなみにオリコンデジタルシングルチャートでも5位にランクインしています。

8位も初登場。EXILE ATSUSHI「Just The Way You Are」。日本でも高い人気を誇るアメリカのシンガー、Bruno Marsの楽曲のカバー。実売数6位、ラジオオンエア数12位、PCによるCD読取数11位、Twitterつぶやき数56位とこちらは概ね上位にランクインしています。オリコンでは初動売上1万5千枚で6位初登場。前作「Beautiful Gorgeous Love」の4万2千枚(2位)からダウンしています。

9位も初登場。ももいろクローバーZ「笑一笑 ~シャオイーシャオ!~」がランクイン。映画「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~」主題歌。実売数9位、ラジオオンエア数31位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数20位を記録。オリコンチャートでは初動売上2万2千枚で4位初登場。前作「BLAST!」の5万枚(2位)より大きくダウンしています。

今週の初登場曲は以上。ちなみにロングヒット曲では星野源「ドラえもん」は今週10位までダウン。実売数11位、PCによるCD読取数2位、You Tube再生回数13位を記録しているもののラジオオンエア数は65位、Twitterつぶやき数40位と低め。来週の盛り返しはあるか?

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2018年4月17日 (火)

奥深いボーカロイド音楽の世界へ

Title:合成音声ONGAKUの世界

昨年2017年はボーカロイドソフト初音ミクの販売10周年という記念すべき年でした。このボーカロイドという技術、個人的には非常に興味深く感じています。以前にも書いたのですが、このボーカロイドの音楽シーンに与える大きな影響としては音楽を作る際にボーカルが不要になるという点。コンピューターの普及により楽器に関しては演奏が出来なくてもパソコンソフトにより代替することが可能となりました。しかしボーカルに関しては本人が行うにしろ誰か知り合いに頼むにしろ、必ず人間を介する必要がありました。しかし、このボーカロイドの技術により、ボーカルすら不要となり、結果として音楽を作成する敷居がさらに低くなったのではないでしょうか。

そして結果としてこの10年、初音ミクをはじめとしたボーカロイド技術をつかった曲を発表したミュージシャンが数多く登場しました。その中でも特に話題となったアルバムではここでも何度か紹介させていただきました。ただ一方で、個人的には初音ミクをはじめとするいわゆるボカロ曲界隈に関しては疑問に感じた部分も少なくありませんでした。

それはいわゆるボカロ曲がどれをとってもサウンドは音数を詰め込み、歌詞も言葉を詰め込んだ、悪い意味で情報を詰め込んだような曲ばかりが登場してくるという点でした。サウンドに関してもせいぜい登場するのはオルタナ系ギターロックくらいで、たいていは平凡なJ-POP。ボーカロイドをつかって音楽は極めて自由なはずなのに、その結果登場する音楽はほとんどがいままで聴いたことあるようなポップスばかり。正直言って、初音ミクが登場してから10年たつのにお茶の間レベルにまでヒットを飛ばしたミュージシャンが米津玄師一人だけというのは、残念にも感じていました。

そんな中でリリースされた今回のコンピアルバム。まずユニークなのがリリース元が、主にソウルやブルース、あるいはルーツ志向のロックなどをリリースしており、本来、ボカロ系からほど遠いレコード会社であるはずのP-Vineから、という点。また、雑誌広告などの売り文句も「ボカロに偏見ある人はそのままでいいと思う この音楽の楽園に一生気づかなくていい」というかなりの煽り文なのも目を引きました。

しかし、確かにこのコンピに収録されていた曲は私がいままでボカロ曲に対して抱いていたイメージを大きく覆す内容になっていました。まず1曲目に登場するのが春野というミュージシャンの「nuit」という曲。ピアノやアコースティックなサウンドをベースとしたシンプルなトラックにミディアムテンポのボーカルの切ない雰囲気のポップチューン。比較的シンプルな楽曲構成はボカロ曲に抱いていたイメージとは大きく異なります。

羽生まゐごというミュージシャンの「阿吽のビーツ」も祭囃子のようなビートが非常にユニークなナンバー。こちらもトラックは比較的シンプルに音数を絞っています。ちょっと洒落たシティポップ調のcat nap「ペシュテ」も、スタイリッシュな雰囲気がボカロ曲のイメージと大きく異なります。Dixie Flatlineの「シュガーバイン」も軽快なポップがなかなか洒落ている楽曲。こちらはボーカロイドというよりも人の声にエフェクトをかけたような、どこか人間味あるボーカルに仕上げており、ボカロのボーカルも十分ポップソングのボーカルとして聴けるんだな、ということを再認識させられます。

また実験的という意味では耳を惹くのがでんの子Pの「World is NOT beautiful」。ハンマーやらドライヤーやら身の回りの「音」をボーカロイドの声にあわせて流して音楽にしてしまうという実験的なナンバー。この試み自体は実験音楽によくありがちな手法ながらも、ボーカロイドの声の無機質さと、身の回りの無機質な音がピッタリとマッチしており、合成音楽という特徴を上手く利用した楽曲になっています。

楽曲として強く印象に残ったのがラストのNoko「只今」。恋人の別れを「ただいま」とそれに続く言葉だけで上手く表現した切ないポエトリーリーディング的なナンバー。ボーカロイドの声が無機質なだけに、逆に様々なシチュエーションが想像でき、切なくも暖かい雰囲気のトラックもマッチして、非常に切なく心に響くナンバーに仕上がっています。

ほかの曲に関しても一般的にボカロ曲に抱くようなイメージとはちょっと異なる楽曲が収録されているこのコンピは、ボカロ曲を普段聴かないようなリスナー層に向けてボーカロイド音楽の世界の幅広さ、奥深さをアピールした内容になっていました。私もこのアルバムで実はヒットしているボカロ曲だけでは気づかないような音楽的な幅の広さ、奥の深さをはじめて味わうことが出来、ボーカロイド音楽のシーンにあらためて興味を抱いた、そんなアルバムになっていました。

ちなみにもうひとつこのコンピがユニークなのは初音ミクのようなキャラクターを一切表に出していない点でした。正直、ボカロシーンに対して私が抱いていた大きな疑問のひとつがそれ。初音ミクのようなアニメキャラにシーン全体があきらかに頼りすぎており、結果としてそんなアニメキャラに興味がない人にとっては非常に入り込みにくいシーンになってしまっていました。このアルバムはあえてそんなアニメキャラを排することにより、より幅広いリスナー層に意識的にアピールしようとするアルバムに仕上がっていました。

収録されている楽曲は決してボカロシーンにおいて「大ヒットした曲」ばかりではないようです。ただ、ヒットという切り口ではなく音楽的なクオリティーという切り口でボカロ曲を紹介している点でも、ほかのボカロコンピとは明らかに一線を画しています。こういう音楽面で批判的な視点でボカロ曲を紹介するような動きは非常に興味深く感じます。今後もこの流れに続いて「ヒットしていないけど音楽的に優れたボカロ曲」がもっと紹介されるとうれしいのですが。

評価:★★★★★

で、このコンピと同時に発売されたのがこのムック本。

「ボーカロイド音楽の世界2017」。初音ミク販売10周年を迎えた2017年のボーカロイド音楽シーンについて俯瞰的に紹介した一冊。シーンの現状やトピックを紹介した本で、音楽的な考察というよりもボカロシーン全体の現状に関する考察が主なトピックとなっています。

ただそんな中「The Essential Songs of 2017」「The Essential Albums of 2017」は「合成音声ONGAKUの世界」と同様、批評的な観点からボカロ曲を紹介しています。ボーカロイドシーンはなぜかロケノン界隈もミューマガ界隈も完全に無視されており、批評的な視点から紹介されることがほとんどありません。そんな中、こういったムック本で音楽的観点からボカロ曲を紹介する動きはとても興味深く感じます。特に紹介されたボカロ曲は動画サイトで容易に視聴できるだけに、この本に紹介された曲は次々と聴いてみたくなりました。

今後もこのコンピ盤やムック本のように、もっとボカロ曲をめぐる音楽的な批評がもっと増えればいいんですけどね。そういう批評が増えることによりボカロ曲全体の質も上がり、結果、幅広いリスナー層を惹きこむことが出来ると思うのですが・・・。コンピ盤を聴きムック本を読んで、ボカロの世界により興味が持てました。とりあえずムック本で紹介されていたボカロ曲をいろいろと聴いてみなくちゃ。


ほかに聴いたアルバム

ALIVE! in Osaka/少年ナイフ

昨年12月22日に行われた大阪・十三ファンダンゴでのステージをそのまま収録した彼女たち12年ぶりとなるライブアルバム。ベスト盤的な選曲となっていて、彼女たちらしい「ゆるさ」と「ストイックさ」が同居したライブが魅力的。良くも悪くも安定感あるステージですが、その空気感はしっかりとパッケージされたアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

少年ナイフ 過去の作品
スーパーグループ
フリータイム
大阪ラモーンズ
Pop Tune
アドベンチャーでぶっとばせ!

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2018年4月16日 (月)

RATMの曲で大興奮!

PROPHETS OF RAGE

会場 Zepp Nagoya 日時 2018年4月3日(火)19:00~

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あのRage Against The MachineのメンバーとPublic Enemyのメンバー、さらにはCypress HillのB-リアルまでが参加したということで大きな話題となったスーパーグループPROPHETS OF RAGE。今回、彼らの来日ツアーが決行。名古屋公演も行われたということもあり足を運んできました。

今回は外タレ、かつ海外でも人気のバンドということもあり、会場には外国人の姿も目立ちます。開演直前に会場に入り、最初はビール片手にホールの外でのんびりとスタートを待っていたのですが・・・19時ちょっと前にいきなり会場から大きな音が。あわててホールに入るとDJロードによるDJプレイがスタートしていました。選曲はロックやHIP HOPをメインに会場を盛り上がらせます。

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15分ほどのDJプレイの後、会場内に警告音のようなサイレンの音が鳴り響きます。やがてメンバーが登場し、まずは彼らのテーマ曲ともいえる「Prophets Of Rage」からスタート。個人的には予想通りのスタートとなりました。

そしていきなり2曲目はRage Against The Machineの「Testify」へ。いきなりのレイジのナンバーに会場は大興奮。序盤からテンションは一気にマックスになります。トム・モレロのギターリフが迫力あるギターリフを鳴らしつつ、B-リアルとチャックDのラップの息もピッタリ。オリジナルに負けず劣らずの大興奮のステージングを聴かせてくれました。

その後も「Living on the 110」「Half to the Chief」などProphets Of Rageの曲を演奏しつつ、一方では「Take the Power Back」や「Guerilla Radio」などレイジの代表曲を取り交えての選曲に。トム・モレロのカッコいいギターリフでレイジの曲を聴けたことも非常にうれしかったのですが、Prophets Of Rageの曲もレイジの曲と並べて聴いても決して負けていません。「Legalize Me」を力強い2人のラッパーによる息の合ったラップにより聴かせてくれた後は、今度はPublic Enemyの「Fight The Power」へ。こちらはチャックD主導により披露。途中、トム・モレロのギターソロではギターを大きく持ち上げて、ギターの裏面を見せたところ・・・そこには「Fuck Trump」の張り紙がはってありました。

前半はここで終了。B-リアルが「HIP HOPのクラッシックは好きか!?」と呼びかけを客席に行ったかと思うと、DJロードによるDJタイムへ。ここではPublic Enemyの「Bring The Noize」やHouse Of Painの「Jump Around」などHIP HOPのスタンダードナンバーが流れ、客席を盛り上げます。

そして後半戦へ。最初は2人のラッパーのみでステージが再開され「Sleep Now Fire」からスタートし、途中でトム・モレロが乱入し、まずは会場を暖めます。しかし、その後はステージ上の雰囲気は一転。トム・モレロの「知っていたら歌ってほしい。知らなかったら心の中で平和を祈ってほしい」というMCで、昨年亡くなったクリス・コーネルに捧げる形で「Like a Stone」をギターのみのインストで披露。その感情的な演奏にしばし聴き入ります。

後半も「Know Your Enemy」や「Bullet in the head」などレイジの曲が惜しみなく続き会場を盛り上げます。さらにCypreee Hillの曲でレイジもカバーした「How I could just kill a man」も聴かせます。間にはまんでくる「Unfuck The World」などProphets Of Rageの曲も決して負けていません。

最後は、これまたレイジの代表曲「Bulls On Parade」からラストは「最も危険な曲」という「Killing In The Name」で締めくくり。この日はダイブは禁止だったので、さすがにダイバーはあらわれませんでしたが、会場先方はモッシュで大盛り上がり。大興奮のうちにライブは幕を閉じました。

アンコールはなし。21時ちょっと前に終了したので、実質的に1時間45分程度のちょっと短めのステージでした。上にも書いた通り、Prophets Of Rageの曲よりもむしろRage Against The Machineの曲の方を多く演っただけに、「誰のライブだ??」と思うようなセットリストでしたが、B-リアル&チャックDのラップがのったレイジの曲も文句なしの出来になっており、大満足かつ大興奮のステージでした。

Prophets Of Rageは冒頭でも書いた通り、3つのグループのメンバーが結成した、いわゆるスーパーグループなのですが、バンドとしてのメンバーの息はすでにピッタリ。なによりも非常に高い演奏能力が魅力的で、この日もまずはリズムのグルーヴ感が耳を惹きました。なによりもこの日のステージの音量は決して高くなく、「爆音」といった感じではないにも関わらず、非常に強い音の圧力を感じました。要するに音量に頼らずとも迫力のあるバンドサウンドを奏でることが可能ということなのでしょう。彼らのバンドとしての実力を感じます。

そのリズム感といい音量に頼らない演奏の迫力といい、あらためて感じたのは日本の多くのバンドとの格の違い。いや、もちろん日本にも演奏力の高いカッコいいバンドは少なくありません。ただ、このレベルに至っているバンドは日本に何組いるか・・・。あらためてレベルの違いを実感してしまいました。

Prophets Of Rageの曲にもほかにもカッコいいナンバーはあったため、もっと聴きたかったなぁ、というあり、満腹というよりも腹八分といったライブだったのですが、それでも密度の濃いステージに大満足のライブでした。ちなみにこの日、B-リアルはMCで何度も「これが1番目の・・・」と言っており、あきらかに今後、何度も来日ライブをやってくれるような口ぶりだったのが印象的。どうもまだ、Prophets Of Rageの活動は続いていきそう。次のライブも断然期待しちゃいたいところです!

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2018年4月15日 (日)

「意識高い系」?

Title:Reason of Black Color
Musician:雨のパレード

最近、徐々に注目を集めつつある4人組ロックバンド、雨のパレード。かつては自らを総合芸術の「創造集団」と名乗ったり、音楽以外のデザイナー集団もメンバーとして擁していたりしたようですが、公式サイトを見る限りは今はそういう方向性はやめて、基本的にメンバーはバンドメンバーの4人のみとなったようです。

ただ、音楽的な方向性は以前から変わらず、アートロック的な要素が強いのが彼らの特徴。アルバムはタイトルチューンの「Reason of Black Color」からスタートするのですが、うねるようなシンセのノイズとその中にリズムを刻むドラムの音が非常にドリーミーなナンバーからスタートしますし、そのほかにも最近のR&Bからの影響を強く感じる「(soda)」、ダブステップ的なビートミュージック「Hwyl」、またSOIL&”PIMP”SESSIONSのTabuzombieが参加し哀愁たっぷりのトランペットを聴かせる「Hometown」などソウル、R&B、ジャズなどの最近の音楽的潮流をうまくすくいあげて自らの音楽に取り入れている傾向を強く感じます。

ほかにも80年代的なエレクトロポップチューンの「Shoes」やファンキーなリズムが心地よい「ice」など様々な音楽的要素を意欲的に取り入れたバラエティー富んだ音楽性が特徴的。彼らの音楽的な素養を感じれます。

一方では「Horizon」はファンキーなリズムを聴かせつつ、基本的にはノイジーなギターロック。ラストの「March」もバンドサウンドをメインにストリングスなどを入れて聴かせる、比較的「よくありがちな」音楽構成のポップチューン。ここらへん、「普通のJ-POPバンド」らしい曲調もチラホラ垣間見れます。そんな楽曲によってアルバムの中でのポピュラリティーが増している影響もある一方、ほかの曲と比べると若干のチグハグさも感じてしまいます。

また、前作「Change your pops」のレビューの際、彼らのことを「意識高い系」と表現しました。この「意識高い系」とは彼らのアートな方向性を指して、半分揶揄を含めての表現でした。この言い方は彼らのいかにもアート志向な方向性を揶揄した表現でしたが、今回のアルバムに関しても正直なところ「意識高い系」という言葉が頭をよぎりしました。

その大きな理由が、最近のサウンドを意識的に取り入れているのですが、全体的に「とりあえず取り入れました」的な中途半端さを感じてしまう点。あくまでもJ-POP的なポップなメロディーラインがしっかり流れていますし、上にも書いた通り、よくありがちなJ-POPらしい曲も流れてきます。この振り切れのなさが良い意味では彼らの個性になっている部分もあるのですが、悪い意味ではおいしいところどりの中途半端さも感じてしまいました。

じゃあ振り切れればいいのか、といわれるとそうすると単なるyahyelになっちゃいそうですし、難しいところ。新人バンドとしては非常におもしろい音を出している点は間違いないと思うのですが、大絶賛するにはちょっと躊躇する部分も少なくないバンド。とりあえずまだまだこれからの可能性を感じるバンドだと思います。これからの活躍に期待です。

評価:★★★★

雨のパレード 過去の作品
Change your pops

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2018年4月14日 (土)

ラテン色がより強く

Title:GLORIOUS
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ

スカパラ約1年ぶりとなるニューアルバム。ここ最近は数多くのゲストを招いてポップな楽曲を多くリリースしている彼ら。そのスタンスは良くも悪くも賛否両論といった感じなのですが、ただインパクトある楽曲は一定以上の支持を得ているのは間違いありません。今回のアルバムに関しても基本的にその方向性に沿ったアルバムになっていました。

今回のアルバムに関しても豪華なゲストが多数参加しています。BRAHMANのTOSHI-LOWやUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介がゲストボーカルとして参加しているほか、FPMやMONDO GROSSOによるリミックス曲も収録。異色なところではブラジルNo.1ラッパーのエミシーダとのコラボ曲も収録されています。

基本的にコラボはポップという方向性で一貫しているものの、そんな中でも意欲的な試みを感じたのが今回のアルバムの特徴でしょう。例えばUNISON SQUARE GRADENの斎藤宏介は中性的なハイトーンボイスという特徴を持つボーカリスト。よくも悪くも昨今のJ-POPの流行りといった声質で、ともすれば「ポップすぎる」という印象すら受けます。正直なところ、彼とのコラボ曲「白と黒のモントゥーノ」は必ずしも大成功といった印象はないものの、いままでの彼らのスタンスにこだわらない彼らの意欲を感じることが出来ます。

今回のアルバム、そんな彼らの挑戦心を感じることが出来たアルバムなのですが・・・コラボの結果としては正直、あまり成功ではなかったかな、という印象を受けます。この「白と黒のモントゥーノ」はMONDO GROSSOによるリミックスも収録されておりリミックス自体はそれなりによかったものの、斎藤宏介のハイトーンボイスが若干邪魔にすら感じてしまいました。またエミシーダが参加した「Believer feat. Emicida and Fióti FPM Remix 」も、エミシーダのラップがあまり効果的ではなかったような・・・。失敗、というほど酷くはなかったのですが、逆にあまり酷くないがゆえに中途半端な印象を感じてしまいました。

ただ、この「Believer」もそうですが、チャチャを取り入れた「恋してcha cha cha」「Te Quiero con Bugalú」など、全体的にはラテン色を強く感じたのが今回のアルバムのもうひとつの特徴。このラテン色が強いナンバーに関してはいい意味で昔のスカパラを彷彿とさせるような楽曲が多く、最近のポップ色強い作品はどうも・・・という方でも無条件で受け入れられそうな楽曲になっています。

また「The Battle of Tokyo」などもホーンセッションとロッキンなバンドサウンドでダイナミックに、スカパラらしく怪しげな雰囲気でスカを聴かせてくれるインストナンバー。こちらも昔のスカパラっぽい雰囲気があり、初期からのファンも納得できる楽曲ではないでしょうか。

全体的には現在の彼らの方向性であるポップ路線を貫きつつも、ラテン色を強め、またかつてのスカパラらしいナンバーにも目配りをする、バランスの取れたアルバムだったように感じます。ただその分、コラボがあまりうまくいっていない点は残念。また全10曲入りながらもリミックス曲が2曲で、実質新曲が8曲のみだったのもちょっと残念だったかもしれません。

個人的にはここ最近のポップ路線には否定的ではありませんし、実際、ここ最近も傑作アルバムを数多くリリースしていると思っているのですが、このアルバムはここ最近のアルバムの中では若干残念に感じる内容だったかもしれません。ただ、このアルバムでもスカパラの魅力は十分に発揮されている作品だったと思います。特に本作も数多くのミュージシャンとのコラボは非常に意欲的だったと思います。まだまだスカパラの活躍からは目が離せなさそうです。

評価:★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER


ほかに聴いたアルバム

KBB vol.1/KANA-BOON

KANA-BOONのシングルのカップリング曲を収録した、いわゆるB面ベスト。ただカップリングといっても基本的にシングル曲やアルバム曲とは大きく変わらない、いつもの彼ららしいポップで軽快なギターロックというスタイル。いまひとつルーツレスな部分や、またラップなども自由に取り入れるところも今どきのバンドらしいといってもいいかもしれません。カップリングといってもあまり目新しさや挑戦的な曲がなかったのは残念ですが、バンドとしての安定感も感じたアルバムでした。

評価:★★★★

KANA-BOON 過去の作品
DOPPEL
TIME
Origin
NAMiDA

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2018年4月13日 (金)

スキマスイッチらしい久々の新作

Title:新空間アルゴリズム
Musician:スキマスイッチ

カップリングベストの「POPMAN'S ANOTHER WORLD」やリアレンジアルバム「re:Action」のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては約3年4ヶ月ぶりと久々となるスキマスイッチのニューアルバム。ただ、上に書いた通り、カップリングベストやリアレンジアルバム、シングルのリリースなどあがあったため、オリジナルアルバムが3年以上の間があいたというのはちょっと意外な印象も受けます。

さて、そんな久々となるニューアルバムですが、一言で言えば、良くも悪くも彼ららしいアルバムといった印象を受けます。1曲目「リチェルカ」は先行シングルのカップリング曲なのですが、軽快なホーンセッションにストリングスやピアノを加えたポップナンバー。サウンドは爽快な一方でメロディーラインがちょっと憂いを帯びているのが印象的。続く「LINE」は歌詞にもスケール感があり、サビのメロディーはちょっとミスチルっぽさも感じる(?)のですが、こちらもスキマスイッチらしい爽快なポップチューンに仕上がっています。

「パーリー!パーリー!」と序盤はアップテンポで軽快なナンバーが続いたかと思えば、中盤「ミスランドリー」から雰囲気が一転。アコースティックなサウンドで恋人の日常を描いた彼ららしい暖かみある楽曲。「Revival」も暖かい雰囲気のラブソングが続き、「未来花」ではピアノバラードでしっかりと聴かせます。

後半に入ると先行シングル「ミスターカイト」が。こちらは静かにスタートしつつ、後半ではバンドサウンドにストリングスが加わり一気にスケール感が増すダイナミックなナンバーで、このアルバムのひとつの核になっています。かと思えば「Baby good sleep」では一転、アコギのみでしんみりと聴かせるナンバーに。さらに「さよならエスケープ」はピアノやホーンセッション、シンセの音も重ねた分厚いサウンドが心地よいメロディアスなポップチューン。爽快なメロディーに前向きな歌詞が非常に心地よいナンバーに仕上がっています。そして最後はピアノとアコギのアコースティックなサウンドに薄く入るストリングスが心地よい「リアライズ」でゆっくりとメロディーを聴かせつつアルバムは幕を閉じます。

そんな訳で今回のアルバム、全体的にピアノやホーンセッションなどを上手く使いつつ、時にはピアノバラードやアコギのみのバラードナンバーを混ぜながらバラエティー富んだ展開で「歌」の魅力をしっかりと押し出したポップなアルバムに仕上がっています。そういう意味でファンが期待したスキマスイッチ像にきちんと答えたアルバムと言えるでしょう。

ただ一方では一般的なスキマスイッチのイメージに沿ったようなアルバムといった感じで、目新しさはなく、悪い言い方をしてしまえば無難なアルバムという印象を受けました。いや、「無難」というよりも既にデビューから15年目を迎えた彼らにとって、良くも悪くもベテランらしい安定感のあるアルバムと言えるかもしれません。もっとも、直近のリアレンジアルバム「re:Action」が様々なプロデューサーに彼らの楽曲をリアレンジさせる意欲的かつ挑戦的なアルバムだったので、今回のアルバムはファンの期待に沿ったアルバムに仕上げてきたのかもしれません。彼ららしさを強く感じる良作でした。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action

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2018年4月12日 (木)

韓流男性アイドルが目立つチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はまず1位にK-POPのアイドルグループがランクインです。

今週1位はBTS(防弾少年団)「FACE YOURSELF」がランクインです。国内盤では3作目となるアルバム。初動売上28万2千枚を記録。直近のランクインは韓国盤「Love Yourself 承‘Her’:5th Mini Album」の初動売上1万6千枚(2位)。ただこのアルバムは2週目に売上5万2千枚を売り上げ、1位にランクアップしています。国内盤の前作「YOUTH」は初動売上7万6千枚(1位)を記録しており、こちらから大幅にアップしています。

このBTSを含め、今週は韓国の男性アイドルのアルバムが目立つチャートとなりました。5位にはJun.K(From 2PM)「NO TIME」がランクイン。アイドルグループ2PMのメンバーによるソロ作。初動売上は1万4千枚。前作「NO SHADOW」の3万枚(2位)からダウンしています。

また7位には東方神起の韓国リリースのアルバム「NEW CHAPTER#1:THE CHANCE OF LOVE」が先週のベスト50圏外から大きくランクアップしてベスト10入り。売上枚数は1万1千枚を記録しています。

ベスト3に戻ります。2位にはゆず「BIG YELL」がランクイン。初動売上8万枚。直近作はベスト盤「ゆず「YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM 『ゆずイロハ 1997-2017』」で、こちらの17万3千枚(1位)からはダウン。ただ、オリジナルアルバムとしての前作「TOWA」の6万5千枚(2位)よりはアップしています。

3位にはAKB48「僕たちは、あの日の夜明けを知っている」がベスト50圏外から2万4千枚を売り上げて一気にランクアップ。2月5日付チャート以来10週ぶりのベスト10ヒット返り咲きとなりました。これは同作の劇場盤のうち、購入者の登録内容に不備があったことによるキャンセル盤が再発された影響のようです。またAKBがらみではHKB48「092」がこちらもベスト50圏外から売上枚数8千枚を記録し9位にランクアップしています。こちらも1月8日付チャート以来、14週ぶりのベスト10返り咲き。イベント参加券付の劇場盤の発売があった影響の模様です。

続いて4位以下の初登場盤です。まず6位に男性向けアイドル育成ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」からのキャラクターソング「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08」がランクイン。初動売上1万3千枚で、同シリーズの前作「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 07」の9千枚(6位)からアップしています。

初登場はもう1枚。8位に竹原ピストル「GOOD LUCK TRACK」がランクイン。昨年末は初の紅白にも出場し、一気にブレイクを果たした男性シンガーソングライター。初動売上1万枚は前作「PEACE OUT」の9千枚(5位)より若干ですがアップしています。

そしてロングヒット組。「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」は先週の8位から10位にダウン。売上枚数も1万枚から8千枚までダウン。さすがにここまでか?

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年4月11日 (水)

米津玄師もまだまだ強いが・・・

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週、1位2位に並んだ米津玄師、星野源。今週もまだまだ強さを見せています。米津玄師「Lemon」はワンランクダウンながらも2位をキープ。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)は3位、ラジオオンエア数9位、Twitterつぶやき数10位を記録しているほか、PCによるCD読取数、You Tube再生回数は1位をキープ。まだまだロングヒットが期待できそう。一方、星野源「ドラえもん」は今週は4位。実売数8位、PCによるCD読取数2位、You Tube再生回数は13位を記録。ただやはり特定のアニメをタイトルにしている影響か、ラジオオンエア数は45位と低迷しています。

さて今週1位を獲得したのが大阪を中心に活動をしているAKBの姉妹グループNMB48「欲望者」。実売数1位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数8位を記録。ただラジオオンエア数は圏外となっています。オリコンでは初動売上19万3千枚で1位獲得。前作「ワロタピーポー」の27万3千枚(1位)からダウンしています。

3位はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループ超特急「a kind of love」が初登場でランクイン。ミスチルやスキマスイッチあたりを彷彿とさせるような爽快でポップなJ-POPらしいナンバー。実売数は2位でしたが、ラジオオンエア数78位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数13位にとどまりこの順位に。オリコンでは初動売上9万8千枚で2位初登場。前作「My Buddy」の8万6千枚(2位)からアップ。

続いて4位以下の初登場曲です。もう1組、女性アイドルグループが。6位にでんぱ組.inc「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」がランクイン。メンバーの最上もがが脱退し、新メンバー2人加入後、初となるシングルで、H ZETT M作曲によるアバンギャルドなピアノのフレーズが耳を惹くナンバー。実売数4位、ラジオオンエア数14位、PCによるCD読取数18位、Twitterつぶやき数48位を記録。オリコンでは初動売上3万3千枚で3位初登場。前作「最Ψ最好調!」の2万1千枚(5位)からアップ。

7位にはEXILE「My Star」が初登場でランクイン。6ヶ月連続配信シングルリリースの第3弾で今回はピアノバラードのナンバーとなっています。実売数5位、Twitterつぶやき数6位を記録。一方、ラジオオンエア数は70位にとどまっています。ちないにオリコンではデジタルシングルチャートで初登場2位にランクインしています。

初登場最後は9位に福山雅治「零-ZERO-」がランクイン。映画「劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』」主題歌で歌詞にも映画の内容を意識したようなフレーズがチラホラ。実売数10位、ラジオオンエア数30位、Twitterつぶやき数15位を記録。配信限定のシングルで、オリコンではデジタルシングルチャートで3位を記録しています。

またロングヒット組では、前述の米津玄師、星野源のほか、菅田将暉「さよならエレジー」は5位から8位にダウン。ただ実売数9位、PCによるCD読取数5位、You Tube再生回数4位などまだまだ上位に食い込んでいるランキングも多いだけにまだまだロングヒットが予想されます。

今週のHot100は以上。アルバムチャートは明日更新!

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2018年4月10日 (火)

未発表音源集第3弾

Title:BOTH SIDES OF THE SKY
Musician:JIMI HENDRIX

2010年にジミ・ヘンドリックの音源に対する著作権がソニー・ミュージックに移って以降、彼に関する音源が様々とリリースされています。そんな中でもリリースのたびに話題になるのが未発表音源を集めた「オリジナルアルバム」。2010年にリリースされた「VALLEYS OF NEPTUNE」、2013年にリリースされた「People,Hell And Angels」も大きな話題となりましたが、本作はそれに続く第3弾。彼は様々な場所でジャム音源を残していたということで膨大な量の未発表音源が残っているそうなのです。そんな未発表音源がこうやって整理されて正式な形でアルバムとしてリリースされるというのは、やはりファンとしてはうれしいことでしょう。

今回のアルバム、収録曲の多くが後にバンド・オブ・ジプシーズになることで知られるビリー・コックス、バディ・マイルスとのトリオで収録されています。アルバムの冒頭に収録されている「MANNISH BOY」などはまさにそのトリオによって1969年に行われたセッションの模様を収録したナンバー。ただ、このナンバーもそうなのですが、「STEPPING STONE」など、新しいメンバーとのセッションということもあるのでしょう、演奏が全体的に明るく陽気な雰囲気がつたわってきます。新しいメンバーとのセッションはやはり希望に満ちており楽しかったということなのでしょうか。なによりも音楽を演れることの楽しさが伝わってくるようです。

セッションの楽しさが伝わってくるという意味では「$20 FINE」「WOODSTOCK」も同様。こちらはスティーヴン・スティルスとのセッションとなっており、2人の意気投合したセッションからは演奏していることへの楽しさも伝わってくるように感じます。

またアルバムとして、特に後半の聴きどころだったのが「THINGS I USED TO DO」「GEORGIA BLUES」。「THINGS I USED TO DO」はジョニー・ウィンターたちとのセッションということですが、正統派のブルースナンバーなこの楽曲。語るようなギターも印象的ですが、ブルージーなジミの歌声も印象に残ります。また、後半のハイライトともいえるのが「GEORGIA BLUES」。こちらはシャウト気味のボーカルが印象に残るナンバーなのですが、ブルージーなギターサウンドも非常に力強く、とにかく熱量の多いパワフルなセッションに仕上がっています。

さらにラスト前「SEND MY LOVE TO LINDA」はラフなデモ音源的な録音となっているのですが、そのギターサウンドは後のグランジにもつながりそうなサウンドとなっており、さらにラストの「CHEROKEE MIST」はエスニックな雰囲気が漂うサイケなナンバー。どちらも彼の音楽性の広さが垣間見れます。

未発表音源集の第3弾ということもあるのでしょう、正直、聴いていて素直にその演奏にカッコよさを覚えるという点では以前2作品の方が上だったと思います。ただ、上にも書いたとおり、とにかくセッションの楽しさを味わうかのような陽気なナンバーが多く、聴いていてこちらも楽しくなるような楽曲が多かったように思います。もちろん本作も彼の魅力が存分に味わえるアルバムであることは間違いないでしょう。

ちなみに本作、「VALLEYS OF NEPTUNE」、「People,Hell And Angels」とあわせて「未発表音源3部作」と称されているようですが、未発表音源集はこれで一区切りということでしょうか。ただ、まだまだ彼には多くの未発表音源が残されているようなので、今後も期待してしまうのですが・・・さてさて・・・。

評価:★★★★★

Jimi Hendrix 過去の作品
VALLEYS OF NEPTUNE
People,Hell And Angels
MIAMI POP FESTIVAL(THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE)


ほかに聴いたアルバム

2017 Grammy Nominees

毎年リリースされているグラミー賞のノミネート曲をあつめたオムニバスアルバム。こちらはその2017年バージョン。毎年、アメリカの、引いては世界的な音楽シーンの状況を俯瞰でき、ミュージックシーンの充実度を測るにはもってこいのアルバムなのですが、2017年バージョンはここ数年来、まれにみる不作ぶり。特にここ数年、音楽シーンには新たな才能が続々とあらわれてくる盛況ぶりを感じられただけにその落差は激しいように思います。冒頭のBeyonce feat.Jack Whiteによる「Don't Hurt Yourself」は文句なしにカッコいいのですが、その後はいまひとつ。後半のカントリー勢を含めてメロディアスな曲が多く、それなりに聴かせるものの平凡で目新しさはありません。

ここ数年で一番の不作だった2011年ほどの悪さはないものの、それ以来のいまひとつぶりが気になります。2018年以降にもっともっとおもしろいミュージシャンが世に表れてくることを期待したいのですが・・・。

評価:★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES
2015 GRAMMY NOMINEES
2016 GRAMMY NOMINEES

American Utopia/David Byrne

元Talking Headsのボーカリスト、David Byrneの14年ぶりとなるソロアルバム。渋みのあるボーカルを前面に押し出してメロディーを聴かせるような構成。ただ、所々トライバルな要素やエキゾチックな要素なども飛び出してひとひねりあるユニークなサウンドもまた聴かせどころになっています。全体的に派手さはないものの、ベテランらしい味のある1枚となっていました。

評価:★★★★

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2018年4月 9日 (月)

名前を間違えがちな2組

今日は最近話題の2組のバンドの紹介です。どちらも最近、ひとつの流行となっている「シティーポップバンド」として語られるバンド。そしてどちらも英語3語というバンド名という共通項が多く、正直言って、どちらがどちらだったか間違えてしまうことが少なくありません(^^;;

そんな2組が同日にどちらもミニアルバムをリリースしました。ただ、同じ「シティーポップ」と括られつつ、実は両者の音楽性は大きく異なります。そういう意味では「シティーポップ」という言葉の曖昧さも感じてしまうのですが・・・。

Title:SPRING CAVE e.p.
Musician:Yogee New Waves

まずこちらはYogee New Waves。こちらは男性4人組のバンドです。まずしんみりと聴かせるメロディーラインが印象に残るポップバンドで、メロウな雰囲気が漂っている点が特徴的。AOR的な要素も強い一方で、フォーキーな雰囲気も漂わせています。イメージ的にはサニーデイ・サービスと山下達郎を足して2で割った、といった感じでしょうか。

特に今回のミニアルバムでは「部屋のすみで 少しだけピアノを弾き」「Bluemin' Day」)、「都会の空できみが ひかりの粒まとって」「PRISM HEART」)と、いかにもシティーポップ的な都会の男女模様を描いたような歌詞も目立ち、まさにシティーポップの王道を行くようなスタイルが目立ちます。

一方ではラスト2曲である「Summer of Love-Sinking Time ver.」「Ride on Wave-Sweet William Remix」ではビートミュージック的な要素を加味したアレンジとなっており、(最後の曲は第三者によるリミックスですが)幅広い音楽に挑戦しようとする意欲も感じられます。これが3枚目のEP盤ですが、まだまだこれからの活躍が楽しみになってくるバンドです。

評価:★★★★

Yogee New Waves 過去の作品
WAVE

Title:Torso
Musician:Awesome City Club

で、こちらがAwesome City Club。男性3名、女性2名からなる5人組のバンドです。こちらはシンセを使用して80年代的なディスコチューンの要素も入れた軽快でリズミカルなポップチューンが大きな特徴。メンバーに女性ボーカルが参加しているだけに、男女のデゥオも上手く使用したポップチューンを聴かせてくれます。

そんな訳で同じブラックミュージックの影響を受けたシティーポップながらも一方はメロウなソウル的な要素が強く、一方はディスコミュージックの要素が強いとタイプが違う2組。楽曲的なインパクトを言えば間違いなくAwesome City Clubが一歩抜けています。今回も「ダンシングファイター」「yesから二人始めましょう」など男女のハーモニーを上手くいかしたインパクトのあるサビが耳に残るナンバーを聴くことが出来ます。

ただ、音楽的な幅広さ、アレンジの挑戦心で言えばYogee New Wavesの方が上だったかもしれません。彼らもダンスチューンのみならずラストにキリンジの「エイリアンズ」のカバーを入れてくるなどの挑戦をしているものの、こちらはキリンジの原曲に比べるとボーカルの力量の差が目立ってしまったかな?悪いカバーではないとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

Awesome City Club 過去の作品
Awesome City Club BEST

そんな訳で、今回どちらもミニアルバムで彼らの本領発揮・・・という訳にはいかなかったのかもしれません。どちらもまだまだな部分を感じつつ、これからの伸びしろの大きさも感じられたミニアルバム。シティーポップと一言で言っても方向性は別々の彼らですが、どちらもこれからの活躍が楽しみです。

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2018年4月 8日 (日)

パンクなアティチュードで

Title:STAY PUNK FOREVER
Musician:THE STARBEMS

BEAT CRUSADERSのボーカルとしてデビュー。その後、MONOBRIGHT加入などでも話題となった日高央率いるTHE STARBEMSの4枚目となるオリジナルフルアルバム。日高央の新バンド・・・というイメージも強かったのですが彼らも既にデビューから5年目になるそうです。早いなぁ・・・。

今回まず印象に残るのがアルバムタイトル。直訳すると「パンクよ、永遠にそのままで」となる訳ですが、カセットテープの背面を並べたジャケットも印象的。アルバムタイトルといいこのジャケット写真といい、古き良きなつかしさを感じさせてくれます。

表題曲である「Stay Punk Forever」を1曲目に持ってきているわけですが、まさに正統派パンクともいえる楽曲に。こぶしを振り上げてライブでは思いっきり盛り上がれそうな楽曲からスタートしています。

ただ今回のアルバム、決して正統派パンク一本というアルバムではありません。日高央自身、このアルバムに関するインタビューの中でパンクとは音楽の形態というよりも「パンクするアティチュードである」と語っているように、昔ながらもこぶしをふりあげて歌い上げるようなパンクミュージックだけがパンクとは限らないというスタンスでのぞんでいます。

そのため本作も前半はパンク、あるいはパンクに比較的近いスタイルのメロコア路線の曲が並んでいますが、「Wolfman」などは歪んでいないギターサウンドで爽快に聴かせるポップテイストの強いナンバーになっていますし、「Funky Control」「Go to Hell, Instead of Us」はパンクというよりもメタルに近いスタイルになっています。

さらに「Laugh Until You Die」はシンセも入って軽快なオルタナ系ロックとなっていますし、「Go-Go Sensation」は80年代のニューウェーヴの色合いが濃いナンバーに。さらにラストを締めくくる「Saturday Night We Must be Allniters」はスカパラ?と思わせるような軽快なスカパンクに仕上げています。

まさにインタビューでの日高央のコメントの通り、パンクといっても音楽的なスタイルは一定ではなく、パンクなアティチュードの方が重要である、ということを体現化しているアルバムになっています。ただ、それでもあえて言えば、アルバムを聴き終わった後には音楽的にもパンク色の強いアルバムだなぁ、ということを感じました。

もともとTHE STARBEMSはパンクを中心軸にしつつもバラエティーある音楽性が特徴的でしたし、日高央がいままで活動してきたBEAT CRUSADERSやMONOBRIGHTに比べても明らかに音楽的な意味でのパンクへの傾倒が強くなっているように感じます。「パンクなアティチュードこそパンクである」と言っている一方で、音楽的な意味でのパンクミュージックへの敬愛も強く感じました。

メロディーのインパクトという意味では相変わらず若干弱いように思うのですが、日高央の音楽性の広さと、パンクに対する愛情を強く感じるアルバム。早くも5年目を迎えたTHE STARBEMS。日高央も比較的短期間でいろいろなバンドを乗り換えているだけに今後このバンドがどれだけ続くのかはわかりませんが・・・今後もそのパンクなスタイルに注目していきたいです。

評価:★★★★

THE STARBEMS 過去の作品
SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD
VANISHING CITY
Feast The Beast
NEW WAVE


ほかに聴いたアルバム

In Colors/ART-SCHOOL

途中、B面ベストのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしては2年10ヶ月ぶりとちょっと久々となった新譜。ここ最近のアルバムに比べて、圧倒的にシューゲイザー色が強い作品になっており、ギターノイズが非常に心地よい作品に仕上がっています。またひたむきな前向きさを感じさせる歌詞も本作では強い印象に残るアルバムとなっており、少々マンネリ気味に感じられたここ最近の彼らの作品の中では会心の出来ともいえるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY

14 SOULS
Anesthesia
BABY ACID BABY
The Alchemist
YOU
Hello darkness,my dear friend
Cemetery Gates-B SIDES BEST-

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2018年4月 7日 (土)

ティジュリドゥの不思議な音色が癖になる

Title:STARTING OVER
Musician:GOMA&THE JUNGLE RHYTHM SECTION

今年、「高次脳機能障害」という言葉が話題となりました。今年1月、小室哲哉がその妻でありglobeのボーカリストであるKEIKOが高次脳機能障害を患っているという事実を公表し大きな話題となりました。しかし音楽シーンではほかにもこの病気と闘っているミュージシャンがいます。それが今回紹介するGOMA。ディジュリドゥというオーストラリアのアボリジニが用いる金管楽器の奏者である彼は2009年に交通事故にあい、過去10年ほどの記憶を失うという高次脳機能障害を患いました。

その当時は復帰は絶望的とも言われていたのですが、リハビリ生活を経て徐々に活動を再開。現在も長期間の記憶に支障をきたすという記憶障害を患いながらも積極的な音楽活動を続けています。

今回紹介するのはそんな彼の9年ぶりとなるニューアルバム。前作「You are beautiful」がリリースされたのが2010年の8月と事故後、比較的短いタイミングでもリリースとなっていましたが、今回はその後リハビリを通じて徐々にその活動が活発化していき、満を持してのリリースともいえる新作になっています。

楽曲の構成はドラムやパーカッションなどの軽快なリズムをバックに、GOMAが演奏するディジュリドゥの音色が鳴り響くというスタイル。このティジュリドゥなのですが、なんとも不思議な響きのある「笛」。個人的にはジャグ・バンドが奏でるジャグの響きに近い印象を受けました。ジャグというのはウィスキーなどを入れておく大きな瓶のこと。みなさんもガラス瓶の入り口に口をつけて、笛のようにして鳴らした経験があるかもしれません。ディジュリドゥの音色はそのガラス瓶を吹いた時に出る、濁った音色がもっと大きくなったような感じといっていいでしょうか。濁った音色ながらも非常に独特のグルーヴ感を奏でるサウンドになっています。

そんな独特の音色をおもいっきりうねらせながら軽快なリズムをバックに聴かせるのが彼のスタイル。最初はその不思議な音色に違和感を覚えるような方もいるかもしれません。ただ、その音色が軽快なパーカッションのリズムと意外なほどマッチして聴いていくうちに妙に癖になっていくのがとてもおもしろく感じます。

今回のアルバムのひとつ大きな特徴が、こもったようなディジュリドゥの音色と反するように、楽曲全体は非常に軽快で明るい内容になっている点。特に全編、カウベルの軽快な音色が鳴り響き、楽曲全体の明るさの大きな要因になっていました。ファンクの要素を取り入れた「Heian Magic」やトライバルな雰囲気のある「Awamori」などといった曲もありつつ、全体的にはテンポよい軽快なリズムが耳を惹く、いい意味でポップな雰囲気の強いアルバムになっていたと思います。

GOMAに関しては「高次脳機能障害を患っている」という紹介のされ方をすることが多く、実際、この紹介文でも最初は病気の話からスタートさせていただきましたが、音楽の内容に関してはそんなこと全く関係なく、純粋にその不思議なディジュリドゥの音色にはまりつつ、軽快なリズムを楽しめるアルバムになっていました。いい意味でポップで聴きやすいアルバムなので、幅広くお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★

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2018年4月 6日 (金)

バラエティー富んで飽きさせない作品

Title:cocoon
Musician:androp

前作であるミニアルバム「blue」から約1年半ぶりとなるandropのニューアルバム。前作はいままで所属していた事務所から、自ら新たに設立した事務所「image world」へ移籍。レコード会社も移籍して心機一転となるアルバムになりました。ただ結果として、「period」「androp」と2作続けていたベスト10ヒットが前作で途切れ、本作もフルアルバムとしては前作となる「androp」で記録した最高位8位から一転、チャート的には最高位23位に留まるなど、少々厳しい結果となっています。

さてそんな彼らの久々となるフルアルバム。前作「blue」はわずか6曲というミニアルバムでしたが、1曲1曲が異なるスタイルの曲調となっており、彼らの幅広い音楽性を感じるアルバムになっていました。そしてそれに続く本作ですが、いままで以上に曲調に幅のあるバラエティーあふれるアルバムに仕上がっていました。

冒頭の「Prism」はポップなメロディーのギターロックという典型的にありふれたスタイルですし、続く「Arigato」もタイトルそのままな前向きJ-POP的なナンバー。ここらへんは良くも悪くもありがちなギターロック路線でスタートします。

しかし、そんな雰囲気が変わるのは3曲目以降。先行シングルにもなった「Joker」は打ち込みのポップチューン。マイナーコードを含めてどこかアイドルポップ風のナンバーになっていました。

前半はある意味わかりやすい形のポップチューンが並んでいるのですが、バラエティーという側面でさらに変化が生じたのは後半から。中盤の「Sleepwalker」はアコースティックギターでしんみりと聴かせるナンバーで彼らのメロディーセンスの良さがキラリと光るナンバーからスタートし、続く「Kitakaze san」はカントリー風のポップチューン。さらに違ったタイプの作風ということで耳を惹くのがそれに続く「SOS!」。こちら、ラップユニットのCreepy Nutsとのコラボチューンなのですが、そのため全編、軽快なラップで構成されたHIP HOPチューン。さらにコミカルなリリックもとても楽しいナンバーで、このアルバムの中でもあきらかに異質なナンバーになっています。

さらにシティポップ風の「Proust」、明るいカーニバル風の「Ao」と続いていき、そしてこのアルバムの中で後半の山となるのが「Memento mori with Aimer」。こちら女性シンガーAimerとのコラボ曲となるのですが、シューゲイザー系の影響をダイレクトに受けたギターサウンドにハイトーンの女性ボーカルがピッタリとマッチしたドリーミーなナンバー。非常にスケール感を覚える曲になっており、なによりもバンドとしての実力を感じる曲になっていました。

そんな訳で、特にアルバムの後半は1曲たりとも同じタイプの曲がないというバラエティーにあふれる今回のアルバム。正直、アルバム全体としてまとまりがない部分があるのも事実ですし、核になる曲がCreepy Nutsとのコラボ曲だったり、Aimerとのコラボ曲だったりと若干離れ技的な側面を曲だったというのは気になります。また、序盤のギターロック路線の曲はちょっと平凡だな、ということも感じてしまったのですが、アルバム全体としてはバラエティー富んだ作品に最初から最後まで飽きることなく一気に楽しめてしまう傑作だったと思います。事務所移籍に伴って一時期に比べて人気の面では勢いの落ちてしまった彼らですが、肝心の楽曲の面ではまだまだ勢いを感じさせてくれるアルバム。この調子なら、再び以前のような人気を獲得する日も遠くなさそうです。

評価:★★★★★

androp 過去の作品
door
relight
one and zero
period
androp
best [and/drop]
blue

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2018年4月 5日 (木)

ベスト盤で2作目の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ベスト盤が2作目の1位獲得です。

まず今週の初登場1位はサカナクション「魚図鑑」。彼ら初のベストアルバムで2013年にリリースしたアルバム「sakanaction」以来の1位獲得となっています。初動売上は7万2千枚。その前作「sakanaction」の8万2千枚(1位)よりダウン。ただもう彼ら、オリジナルアルバムを約5年もリリースしていないんですね。今年、待望のオリジナルアルバムも予定されているようで、ベスト盤以上にリリースが待たれます。

続いて2位にランクインしてきたのが韓国の男性アイドルグループWanna One「0+1=1(I Promise You):2nd Mini Album」。先週、初動売上4千枚で13位にランクインしてきましたが、今週は売上を4万枚に一気にあげてランクアップ。初のベスト10入りとなりました。これは特設サイトから予約購入することによりイベント招待券がついてくるのですが、その予約購入分が、今週のアルバムチャートの対象週で発送され、売上枚数に加わった影響のようです。逆に言えば、予約購入していないようなファン以外の層でアルバムを買った人はほとんどいなかったということなのでしょう・・・。

3位はEXILE THE SECOND「Highway Star」がランクイン。EXILEの弟分的な男性ボーカルグループによる3枚目のオリジナルアルバム。初動売上3万4千枚は前作「BORN TO BE WILD」の6万2千枚(1位)からダウン。タイトル的にあきらかにクラッシックなロックを意識している感じ。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず4位に「Fate/Grand Order Original Soundtrack II」がランクイン。スマートフォン専用RPGゲーム「Fate/Grand Order」のサントラ盤第2弾。初動売上2万6千枚。同ゲームのサントラ盤第1弾「Fate/Grand Order Original Soundtrack I」の5万4千枚(2位)からダウン。

5位はL'Arc~en~Ciel「25th L'Anniversary LIVE」。昨年4月に東京ドームで行われた25周年記念ライブの模様を収録した彼ら初となるライブアルバム。初動売上は2万枚。直近作はライブ会場のみで販売という変則的な販売方法だったベスト盤「World's Best Selection」で、こちらの8千枚(8位)からはアップ。ラルクもなにげに最後のオリジナルアルバムが6年も前になってしまうだけに、そろそろ新譜が待ち望まれます。

6位にも韓国の男性アイドルグループB.A.P「MASSIVE」がランクイン。日本盤では3枚目となるアルバム。初動売上1万3千枚は前作「UNLIMITED」の2万1千枚(6位)からダウン。

7位には「ポプテピピックALL TIME BEST」が入ってきました。奇抜な展開が大きな話題となったクソアニメ「ポプテピピック」のサントラ盤が見事ベスト10入り。初動売上は1万3千枚を記録しています。

9位初登場はASIAN KUNG-FU GENERATION「BEST HIT AKG2(2012-2018)」。タイトル通りのベスト盤第2弾で、ベスト盤としては前作「BEST HIT AKG」以降の曲を収録しています。初動売上は9千枚。直近作は「ソルファ」のセルフカバーリメイクで、こちらの2万2千枚(4位)から大きくダウン。ベスト盤の前作「BEST HIT AKG」の8万8千枚(1位)からも大きくダウンしています。

最後10位にはXX:me「ダーリン・イン・ザ・フランキス エンディング集 vol.1」がランクイン。テレビアニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のエンディングテーマ曲集。XX:meはアニメに出てくるキャラクターによるユニットだそうです。初動売上は8千枚でベスト10入りを記録しました。

さてロングヒット組ですが、まずは「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」。3週連続3位を記録していましたが今週は8位にランクダウン。売上枚数も1万3千枚から1万枚にダウンしています。また米津玄師「BOOTLEG」ですが、今週は残念ながら15位までランクダウン。ベスト10から陥落しています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年4月 4日 (水)

「今」を代表するミュージシャンがワンツー

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は1位2位に今、もっとも注目を集めているミュージシャンの曲が並びました。

まず1位は米津玄師「Lemon」が先週から2週続けての1位キープです。PC売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数で1位、ラジオオンエア数で3位、Twitterつぶやき数5位といずれも高い順位をキープしています。オリコンではCDシングルランキングでは8位に留まっていますが、デジタルシングルランキングでは先週から続けて1位をキープしており、配信を中心に高い売上をキープしています。

そしてそれに続いて2位にランクインしてきたのが星野源「ドラえもん」。先週の5位から2位にランクアップ。通算7週目のベスト10入りで、4週ぶりのベスト3返り咲きです。ラジオオンエア数は26位、Twitterつぶやき数12位、You Tube再生回数は13位に留まっていますが、実売数では6位、PCによるCD読取数では2位を記録。ほかに強力曲がなかった影響もあり、ランクアップしています。オリコンではCDシングルランキングは22位に留まっていますが、デジタルシングルランキングでは3位を記録しており、こちらも配信を中心に高い売上をキープしています。

3位が初登場曲最高位。女性アイドルグループBiSH「PAiNT it BLACK」が初登場でランクイン。実売数は2位でしたが、ラジオオンエア数15位、PCによるCD読取数25位、Twitterつぶやき数35位と固定ファン以外の波及が弱く、この順位に留まりました。テレビ東京系アニメ「ブラッククローバー」オープニングテーマ。以前からいかにもロックリスナーに向けて「なんだかんだいっても若い女の子が好きなんでしょ?」と言うような戦略が目立つアイドルグループでしたが、今回は楽曲タイトルももろ狙ったタイトルになっています。オリコンでは初動売上3万8千枚で1位獲得。前作「プロミスザスター」の2万4千枚(4位)からアップ。

続いて4位以下の初登場曲です。6位初登場はハロプロ系女性アイドルグループこぶしファクトリー「これからだ!」。いかにもアイドルソングらしいエレクトロ風アレンジの前向き応援歌。実売数4位、ラジオオンエア数10位、PCによるCD読取数54位、Twitterつぶやき数31位。この手のアイドルソングとしてはラジオオンエア数の順位が高い印象。オリコンえは初動2万9千枚で3位初登場。前作「シャララ!やれるはずさ」の2万2千枚(4位)からアップ。

7位にはCleasky「虹色letters」が初登場でランクイン。Cleaskyはゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」に登場するアイドルユニットで、本作はそのキャラクターソングとなります。実売数3位、PCによるCD読取数8位ながらもTwitterつぶやき数61位、その他は圏外という、キャラソンにありがちな固定ファン層以外に全く波及していないチャート傾向のためこの順位に留まりました。オリコンでは本作を収録した「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 06 Cleasky(虹色letters)」が初動3万2千枚で2位初登場。同シリーズの前作、夜想令嬢 -GRAC&E NOCTURNE-名義の「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 05 夜想令嬢-GRAC&E NOCTURNE-(昏き星、遠い月)」の3万枚(3位)より若干のアップ。

今週、初登場は以上。全体的に強力曲が少なかった影響で、ベスト10返り咲きも何曲がありました。まず8位にONE OK ROCK「Change」が先週の14位からランクアップ。3月5日付チャートから5週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。実売数8位、ラジオオンエア数52位、Twitterつぶやき数91位を記録。オリコンではデジタルシングルランキングで5位を記録。

そしてTWICE「Candy Pop」が先週の16位から9位にランクアップ。こちらは3月12日付チャートから4週ぶりのベスト10返り咲きです。実売数は20位に留まり、PCによるCD読取数11位でしたが、Twitterつぶやき数9位、You Tube再生回数7位とネット系のチャートが高順位を記録しています。ちなみにオリコンのCDシングルランキングでは15位を記録しています。

さらに10位にはサカナクション「新宝島」が先週の38位からランクアップ。2015年11月23日付チャート以来、124週ぶりにベスト10返り咲きです。実売数18位のほか、ラジオオンエア数12位が大きな要因になった模様。今週のアルバムチャートで上位に入ってきたベストアルバム「魚図鑑」リリースの影響でしょう。オリコンでもデジタルシングルランキングで8位にランクインしてきています。

なおロングヒット組としては菅田将暉「さよならエレジー」が6位から5位にランクアップ。これでベスト10入り8週目。実売数7位、PCによるCD読取数5位のほか、You Tube再生回数2位が大きなロングヒットの要因となっています。オリコンでもデジタルシングルランキングで6位を記録しています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年4月 3日 (火)

邦楽離れした音楽性

Title:Human
Musician:yahyel

以前から名前を聴いたことはあったのですが、今、最も注目を集めている新人バンドの一組、yahyelの2ndアルバム。2015年に結成されたバンドで、メンバーの中に映像作家として活躍している山田健人も参加しているという点も話題になっているようです。今回、はじめて彼らのアルバムを聴いてみました。

彼らの音楽の特徴として、いわゆるビートミュージックからの強い影響を感じます。彼らの楽曲についてはジェイムス・ブレイクからの影響を指摘され、実際、彼らもその影響を公言しているのですが、静かなエレクトロサウンドが流れる中、ビートの部分が強調されたサウンドスタイル。そこにメロディアスで静かな歌が流れるというスタイルは基本的にジェイムス・ブレイクと共通しています。

そんな彼らのサウンドは非常に洋楽テイストが強い点も大きな特徴。楽曲が基本的に英語詞であることや、海外のビートミュージックの影響をダイレクトに受けた、その垢抜けたサウンドが、彼らの楽曲が洋楽的である大きな要因なのですが、おそらく何の情報もなく楽曲を聴くと日本のバンドであると気が付かない方も出てきそうなほどだと思います。

ただ、彼らの楽曲に関してはジェイムス・ブレイクよりもよりサウンド的には硬質になっているような印象。池貝峻のボーカルがハイトーンであるという点が大きな要因になっていると思うのですが、サウンドの面も含めてよりメタリックさを感じる点も彼らの特徴のひとつだと思います。彼らの書くメロディーラインはどこか物悲しく、哀愁感があるという、ともすれば「歌謡曲的」になる要素を持っているのにかかわらず、邦楽臭が皆無なのは、このある種のJ-POPにはあまり見られないメタリックで冷たい雰囲気が大きな要素になっているように感じました。

またメロディーラインはジェイムス・ブレイクに比べるとソウル色は薄い感じ。「Body」など、そんな中でもソウルフィーリングの強いナンバーもあるものの、明確にブルーアイドソウルの方向性を感じるジェイムス・ブレイクと比べると、ソウルやブラックミュージックからは一歩距離を置く方向性を感じ取れました。

個人的にはその日本人離れした音楽性にクールなエレクトロサウンドが非常にカッコよさを感じ、かなりはまりました。ただ、一方で洋楽からの影響があまりにストレートなため批判を受けるケースも多く、賛否両論のバンドのようです。私自身は彼らが批判的なバッシングを受けるというのは若干の疑問が。確かに日本の音楽シーンの実力もあがってきたとはいえ、まだまだ新しい音楽の流れとしては海外が圧倒的に主流。そんな中で当然邦楽勢としては海外の音楽をそのまま取り入れるというのは当然の方向性なわけで、それを批判的に叩いていては、日本の音楽シーンの進歩はありません。

確かにそんな中で彼らの音楽性が、彼らなりの独自の解釈がない、と言われれば、海外の音楽をそのまま取り込んでいる点は否めないのですが、その点を差し引いても十分すぎるほど彼らの奏でる音楽はカッコいいと感じさせてくれます。これからの活躍が非常に楽しみな新人バンド。まだまだこれから注目度はあがっていくでしょう。要注目です。

評価:★★★★★

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2018年4月 2日 (月)

初のベスト10ヒットも記録

Title:H.O.T
Musician:Nulbarich

いわゆるシティポップ的な曲がここ最近注目を集めている・・・というのはここにも何度か書いています。そんな中、売上的な側面でおそらく頭ひとつ出ているのがSuchmosでしょうが、それに続くであろうバンドが彼ら、Nulbarich。ここでも何度か紹介しているバンドですが、このたび約1年半ぶりとなるフルアルバムをリリース。オリコンアルバムチャートでも見事ベスト10入りを果たし、人気の面での勢いを感じさせる結果となっています。

基本的にソウル、ファンク、ジャズといったブラックミュージック的な要素を強く取り入れてロック的な要素も加えてポップにまとめあげている・・・という点ではSuchmosと非常に近いタイプのミュージシャンとも言える彼ら。そんな中でもロック的な要素も比較的強く感じるSuchmosと比べると、爽快という側面がより強く、ジャズ的な要素も強く感じるのが彼らの大きな特徴です。

爽快という側面で言えば今回のアルバムでも軽快なリズムを聴かせるナンバーが多く、特にリズミカルでダンサナブルな曲も目立ちます。イントロに続いてはじまる本編1曲目「It's Who We Are」などはまさしく彼ららしい爽快さを感じるリズミカルなポップチューンになっていますし、「Zero Gravity」もアシッドジャズやディスコ的な要素を感じるダンスチューン。ほかにもメロディーラインはメロウに聴かせつつも軽快でリズミカルなナンバーが目立ちます。

ジャズという要素でいえばシンセを使ったメロウなサウンドが心地よい「Supernova」あたりが特徴的でしょうか。スペーシーな雰囲気も非常に心地よいナンバーになっています。この曲に限らず、シンセを多用したサウンドが特徴的で、アルバム全体にスペーシーな雰囲気が漂っています。

一方でシンセを多用したサウンドになっている影響もあり、バンド的なイメージは薄め。ロックの要素を取り入れている・・・と書いたのですが、正直言ってこのアルバムに関してはロック的な要素もあまり強くありません。もともとリーダーでメインのソングライターであるJQと中心としてメンバーは流動的なバンドのようで、そういう意味でも「バンド」というよりも「ソロプロジェクト」的な要素が強いのかもしれません。

彼らについてはいままでEP盤を2枚聴いてきて、これがはじめて聴くフルアルバムになるのですが、爽快で心地よい反面、ちょっとメロディーの引っかかりがないようにも感じました。Suchmosに似たタイプということで下手したらSuchmosの下位互換的とも捉えられかねない部分も否定できません。もちろん彼らは彼らなりに個性は出していると思うのですが。ミュージシャンとしておもしろさを感じると同時に、まだまだこれからの部分も感じたフルアルバムでした。

評価:★★★★

Nulbarich 過去の作品
Who We Are
Long Long Time Ago


ほかに聴いたアルバム

LIVE AT XXXX/The Birthday

昨年5月から行われたライブツアー「The Birthday TOUR 2017"NOMAD"」のうち、最後に行われた5か所の「Zepp」で行われたステージをまとめたライブアルバム。かなり意外といえば意外な印象なのですが、これが彼らにとっては初となるベストアルバム。結成から12年が経過。ギタリストとしてフジイケンジが加入して7年がたち、バンドとして満足のいくまとまりが出来てきたということでしょうか。実際、音源はシンプルなガレージロックがメインながらもバンドとしてのまとまりがあり、ある種の安定感を覚えます。この「安定感」はガレージバンドとして必ずしもプラス方向にばかり機能はしないのでしょうが、楽曲のバラエティーの広さで安定感からくる緊張感の欠如というマイナス要因をおぎなっているようにも感じます。バンドとしてこれだけまとまっていれば、結成12年目の彼らですが、まだまだその活動は長く続いていきそうです。

評価:★★★★

The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS

NOMAD

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2018年4月 1日 (日)

30歳ながらキャリア20年

Title:BEST
Musician:三浦大知

三浦大知がようやく大きくブレイクしようとしています。現在30歳になる彼はその若さながらも芸歴20年というベテランシンガー。もともとはFolderというアイドルグループに所属し、わずか9歳という年齢でデビュー。その当時から「和製マイケル・ジャクソン」としてその歌の上手さには定評がありました。

その後、変声期を迎えたところで1年間、活動を休止。その後はソロとして活動をはじめました。ただ正直なところFolder時代は大ブレイクという訳にはいきませんでしたし、ソロデビュー後も売上的には伸び悩んでいた時期が続きました。

しかし、2010年代に入ってからは徐々にその人気を伸ばしていきます。2011年にリリースしたアルバム「D.M.」が初のベスト10ヒットを記録。その後はシングルでもヒットを飛ばしていき、昨年はシングル「EXCITE」で初となるチャート1位を獲得したほか、年末には「紅白歌合戦」に初出場。その知名度をお茶の間レベルにまで広げました。

そんな中リリースされた彼の初となるベストアルバムが本作。基本的には2005年にリリースしたソロデビュー作「Keep It Goin' On」から配信限定となった最新シングル「普通の今夜のことを-let tonight be forever remembered-」までをリリース順に並べたシンプルな構成。さらに新曲1曲が追加で収録されています。

まず彼のボーカリストとしての実力は言うまでもありません。Folderでデビューした頃から非常に伸びるハイトーンボイスが魅力的でしたが、その魅力は年齢を経ても全く衰えがありません。基本的にダンスポップチューンが多いのですが、もちろんリズム感も抜群。また年齢を経るごとにその表現力も増してきています。

ただ彼のソロデビュー以来の楽曲を聴くと、そんな彼の実力に反して肝心の楽曲の中身がついてきていないようなそんな印象を受けてしまいました。リズミカルなエレクトロダンスチューンがメインで良くも悪くも平凡なJ-POP。RHYMESTERの宇多丸をフューチャーした「No Limit」みたいなロッキンなHIP HOPチューンなど耳を惹く曲もあるのですが、初期の作品、このアルバムでいえばDisc1の曲に関しては平凡なEDMチューンがメインとなっており、楽曲自体の面白味はあまりありません。

Disc2になると楽曲のバリエーションも増え、エレクトロアレンジの曲にも凝ったサウンドが増えてきます。またバラードナンバーのような彼の歌声をきちんと聴かせようとする楽曲も増え、ようやく彼の歌の上手さを生かそうとするような楽曲も増えてきます。ちょっといやらしい言い方かもしれませんが、彼が売れることによってようやく楽曲制作にも力を入れてもらえるようになったようにも感じてしまいます。

そういうこともあって今回、オールタイムベストということですが正直言って楽曲の出来栄えという意味では直近のオリジナルアルバムのほうがよかったかもしれません。ただ、昔の楽曲を含めて彼のボーカルとしての実力は折り紙付き。その歌声を聴くだけでも一聴の価値ありのベスト盤です。これからのますますの活躍が期待できる彼。それに伴い楽曲ももっともっと良くなっていく、はず。

評価:★★★★

三浦大知 過去の作品
D.M.
The Entertainer
FEVER
HIT


ほかに聴いたアルバム

充分未来/集団行動

相対性理論を脱退した真部脩一と西浦謙助がアイドルオーディションのファイナリストだった齋藤里菜をボーカルに迎えて結成した新バンドの、これが2枚目となるアルバム。真部脩一は相対性理論の初期のナンバーで作詞作曲として名前を記載していたものの、彼の脱退後、バンドから「メンバー全員で作詞作曲を行っている」とアナウンスされたことがありました。正直言って、彼が脱退した後の相対性理論の音楽的変化からこのアナウンスの真偽はかなり疑わしいな、と思っていたのですが、この新バンドの曲を聴いて、初期相対性理論の特徴である独特な言葉の言い回しやシンプルながらも妙に耳に残るメロディーラインはやはり真部脩一の手によるものだったんだな、ということを再認識しました。まさに初期相対性理論そのままの歌詞とメロディーラインが耳の残るアルバム。ただその一方、それでも初期の相対性理論に比べるとインパクトが薄く感じてしまうのは、やはりやくしまるえつこのボーカルに寄る部分が大きかったんだな、とあらためて感じてしまいます。またメロディーのインパクトの薄さも感じてしまい、この点、初期相対性理論のメロディーラインに関しては、ほかのメンバーの手も加わっていたのかもしれません。ただ、個人的には今の相対性理論よりも楽曲は断然よかったように思います。そういう意味で真部脩一の実力を感じられたアルバムでした。

評価:★★★★

MODERN TIMES-Commentary-/PUNPEE

Punpee

これはなかなかおもしろいアルバムがリリースされました。昨年リリースされ、大絶賛を受けたPUNPEEのアルバム「MODERN TIMES」。本作はその「MODERN TIMES」についての制作秘話や楽曲にまつわる話をラジオ番組形式でPUNPEE自ら解説するコメンタリーアルバム。ストリーミング限定でリリースされました。ちゃんと楽曲を流しつつ、曲をバックに解説するスタイルなので、曲に関する説明も非常にわかりやすく、非常に楽しめる内容でした。「MODERN TIMES」が気に入った方なら是非とも聴いておきたいアルバムです。

評価:★★★★★

PUNPEE 過去の作品
MODERN TIMES

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