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2018年3月18日 (日)

早くも新作!

Title:Tomorrow's Shore
Musician:RIDE

いわゆるシューゲイザーバンドの代表格として90年代初頭に活躍し、シューゲイザー系バンドの代表格として日本でも高い支持を誇るバンドRIDE。1996年にバンドとしては解散したものの2014年に再結成。昨年6月には実に21年ぶりとなるニューアルバムを発表して話題となりました。

それから約8か月。早くもRIDEの新作がリリースされました。ただリリース形態がユニークでLP盤と配信のみでのリリース。最近、時々見かけるケースではありますが要するにCDだけリリースなしというスタイルが、いかにも今の時代らしいといった印象を受けます。

さてそんな新作は全4曲入りのミニアルバム。1曲目「Pulsar」は最初、スペーシーなエレクトロサウンドでスタート。最初はRIDEのイメージとは異なる・・・と思いつつ聴きすすめていくと40秒あたりで強いドラムの音が入って、楽曲を埋め尽くすノイジーなギターの音とポップなメロディーがスタートします。まさにRIDEらしいシューゲイザーポップ。破壊的なノイジーギターの後ろでイントロからなり続けているスペーシーなエレクトロサウンドがまた美しく、楽曲に大きなインパクトを与えています。

一方、続く「Keep It Surreal」はドラムのリズムも軽快なメロディアスでポップなナンバー。ハイトーンボイスのボーカルに爽快さを感じるサウンドはどこか80年代的。ところどころにノイジーなギターが挿入されてシューゲイザーらしさを感じるのですが、1曲目とは異なったポップチューンを聴かせてくれます。

3曲目「Cold Water People」は憂を帯びたメロディーが印象に残る楽曲。シンセも大胆に導入しており、途中で聴かせるシンセのアルペジオも非常に物悲しげで印象に残ります。途中でアコギの音色も取り入れているのですが、こちらも哀愁感たっぷり。最後まで聴かせるナンバーになっています。

そしてラスト「Catch You Dreaming」はタイトル通りエレクトロサウンドを取り入れてドリーミーな雰囲気に仕上げているのが印象的なナンバー。ミディアムテンポの打ち込みの力強いビートもインパクトに。エレクトロサウンドは決して「今風」ではないものの、1曲目「Pulsar」とは明らかに異なる、今を意識したような方向性を感じました。

そんな訳で全4曲。収録曲は少ないものの4曲が4曲とも違った顔を見せる楽曲になっています。シューゲイザーという建付けでは典型的なのは1曲目のみで、ノイジーなギターを聴かせてくれるもの2曲目まで。ただ、分厚いサウンドでドリーミーな雰囲気を醸し出すというシューゲイザーの特徴を考えれば、4曲とも同じベクトルを持っているともいえるかもしれません。

復帰後初のアルバム「Weather Diaries」が、ある意味復帰前のイメージに沿った、ファンにとっては安心できるアルバムに仕上がっていましたが、そういう意味では今回の作品は次の一歩を進めようとする作品と言えるかもしれません。ともかく、復帰をしたばかりのベテランバンドですが、決して「懐メロ」にとどまることなく、今後も新たな音楽性を模索しようとする現役感を覚えることが出来るアルバムでした。これからの活躍にも期待できそうです。

評価:★★★★★

RIDE 過去の作品
OX4 -the best of RIDE
Weather Diaries

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