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2018年3月10日 (土)

懐かしき80年代的な・・・

Title:Little Dark Age
Musician:MGMT

2007年にリリースされたアルバム「Oracular Spectacular」が非常に高い評価を受け、一躍時代の寵児となったアメリカはブルックリン出身の2人組ロックデゥオ、MGMT。その話題になったアルバム「Oracular Spectacular」ではそのポップなメロディーラインが大いに評価されたものの、その後のアルバムは徐々にサイケ路線が強くなり、セルフタイトルとなった「MGMT」ではポップな路線がかなり後ろに下がっていました。

その後、バンドとしては活動休止状態となり、その前作「MGMT」から約5年。待望となるニューアルバムがリリースされました。かなり不気味で、悪夢に出てきそうなジャケットがマイナスな意味で目を引くのですが、そんなジャケットとは裏腹にアルバム自体は前作までの方向性とは一転、非常にポップなメロディーが耳を惹くアルバムに仕上がっていました。

まずアルバムは軽快なエレクトロのポップチューンと、昔のラジオのアナウンスのような女性の呼び声からはじまる「She Works Out Too Much」でスタート。フレンチポップのような軽快さを感じるエレクトロポップで、女性コーラスも鮮やかなポップチューンに仕上がっています。

続くタイトルチューン「Little Dark Age」はエレクトロなリズムが軽快なナンバー。ちょっと80年代を彷彿とさせるサウンドに心地よさを感じます。かと思えば「When You Die」はアコースティックギターの音色を入れたネオアコ風のナンバー。こちらもどこか80年代テイストを感じさせるメロディアスなポップチューンになっています。

そんなどこか80年代的な、懐かしさを感じつつもシンプルで心地よいポップなメロが耳を惹く本作。その後も軽快なポップチューンが並びます。一方、サウンド的には軽快なエレクトロサウンドがメインなのですが、サウンド的に耳を惹くのが「James」。全面的にノイジーなギターが入り、ダウナーなボーカルとあわせてシューゲイザー色が強い楽曲になっています。続く「Days That Got Away」もドリーミーなインストナンバーになっており、アルバムの中で特にサウンド面で聴かせるナンバーとなっています。

80年代的といえば、特にその傾向が強かったのが「One Thing Left to Try」。ドラムの音色といい、チープなシンセのサウンドといい、完全に80年代的なディスコチューン。正直、この曲を聴いていると、いかにもMTVで流れていそうなカラフルなPVが目の前に浮かんでくるような錯覚すら覚えます(笑)。

とにかく全編80年代的なサウンドとメロディーが心地よかった今回のアルバム。ポピュラリティーが薄かった前作から反転、いままでの作品の中でもっともポップに振り切ったアルバムと言えるかもしれません。あらためてポップミュージシャンとしてのMGMTの魅力を再認識したアルバムでした。

評価:★★★★★

MGMT 過去の作品
Oracular Spectacular
CONGRATULATIONS
MGMT

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アルバムレビュー(洋楽)2018年」カテゴリの記事

コメント

80年代のノリを蘇らせたようなポップなメロディーの楽曲陣がMGMTというバンドの最大の持ち味だということを再確認させられますね。

投稿: ひかりびっと | 2019年3月15日 (金) 17時58分

>ひかりびっとさん
ご感想ありがとうございました。

投稿: ゆういち | 2019年4月 1日 (月) 00時11分

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