3枚のEP盤をまとめて1枚に
Title:How To Solve Our Human Problems
Musician:Belle and Sebastian
「ベルセバ」の相性で日本でも親しまれているイギリス・グラスゴー出身のギターポップバンド、Belle and Sebastian。今回、約3年ぶりとなるニューアルバムがリリースされましたが、そのリリース方法がなかなかユニーク。本作はもともと「How To Solve Our Human Problems」を3部にわけて、それぞれEP盤としてリリース。そしてその3作をまとめて1枚にしたアルバムがあらためてリリースされる流れになっています。
今回は3枚のEP盤をまとめたアルバムを紹介する形になっています。ただ、私が本作を聴いたのは3枚のEP盤をバラバラに、それぞれリリース直後に聴きました。そのようにEP盤をそれぞれ聴いてみると、3枚のEP盤はそれぞれその方向性が若干違うことに気が付きます。
まず1枚目、Part1ですが、こちらは「We Were Beautiful」や「The Girl Doesn't Get It」のように打ち込みのリズムを取り込んだポップチューンがまず目立ちます。「Fickle Season」のような暖かみのあるメロディーを聴かせるナンバーもあるのですが、全体的には軽快なポップチューン。メロディーラインは魅力的ではあるものの、正直言うと全体的にチープさを感じてしまいました。タイプとしては前作「Girls in Peacetime Want To Dance」からの流れを感じます。
続くPart2ですが、いきなりガレージロックナンバーの「Show Me The Sun」からスタートし雰囲気は一転。このPart2では、この「Show Me The Sun」を含めて、アコースティックでどこか暖かみあるナンバーが並びます。特に「I'll Be Your Pilot」ではアコースティックなサウンドをバックに素朴ながら暖かみのあるメロディーが非常に魅力的なポップチューンになっており、ベルセバらしさを強く感じます。
そしてPart3はPart1と2の融合のような形でしょうか。最初の「Poor Boy」はいきなりエレクトロなダンスチューンからスタートするのですが、続く「Everything is Now(Part Two)」はアコギでメロディーを聴かせるナンバー。さらに「There Is An Everlasting Song」はとにかくメロディーの美しいフォーキーなナンバー。タイトル通り、永久に歌い継がれそうな魅力を感じさせる名曲になっています。
ただ、今回、3枚のEPをまとめて聴くと、エレクトロ路線が強かった前作から一転、エレクトロな曲もあるのですが、全体的にはベルセバらしいフォーキーでアコースティックな暖かいメロディーラインを聴かせるような曲が目立つように感じます。とにかく要所要所で胸をかきむしられるような美しいメロディーラインが光るアルバム。その魅力はいまだ健在です。
評価:★★★★★
Belle and Sebastian 過去の作品
Write About Love(ライト・アバウト・ラヴ~愛の手紙~)
Girls in Peacetime Want To Dance
ほかに聴いたアルバム
You're Not Alone(邦題:ユアー・ノット・アローン~オレがついてるぜ)/ANDREW W.K.
とにかく盛り上がることだけを重視したパーティーチューンと兄貴分的なキャラクターで、本国アメリカよりもむしろ日本で人気を博したミュージシャン、ANDREW W.K.。日本オンリーで企画されたカバーアルバムなどのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしてはなんと12年ぶりとなる新作がリリースされました。
今回もまた彼らしい邦題がついたアルバムになっています。楽曲は相変わらずギターやシンセサウンドを盛り込んだ分厚いサウンドのパーティーチューンとなっているのですが、以前のような高揚感は薄く、比較的おとなしくなった印象が。途中に彼の信念を語るパートもあったりするのは彼らしい感じ。基本的に難しいこと抜きで楽しめるナンバーが並んでいるのですが、音楽的には押し一辺倒の大味な印象がしてしまうアルバムでした。
評価:★★★
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