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2018年3月26日 (月)

Pixies脱退後、初のアルバム

Title:All Nerve
Musician:The Breeders

ご存知、Pixiesのベーシストとして活躍したキム姉さんことキム・ディール。彼女が双子の姉、ケリー・ディールらと活動していたバンドがThe Breedersです。キムは再結成後のPixiesにも参加したものの、2013年には残念ながらPixiesを脱退。その後、The Breedersとしての新曲を制作中というニュースが流れたもののしばらく音沙汰なしの状況が続いていましたが、昨年、久々にThe Breedersとしての新曲がリリース。そしてこのたび、10年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

そんな久々となるニューアルバムですが、また前作に引き続き、おなじみのスティーブ・アルビニがプロデューサーとして参加。またバックコーラスとしてオーストラリアの女性シンガーソングライター、コートニー・バーネットもバックコーラスとして参加しています。彼女に関しては当サイトでもアルバムを何度か紹介したことがありますが、タイプ的にThe Breedersとも非常に親和性の高いミュージシャンと思われるだけに今回の起用についてはとても納得感がありました。

さてそんな彼女たちの久々となるニューアルバムは、基本的にはThe Breedersらしさをアルバム全編に貫いた作品になっていました。1曲目「Nervous Mary」からダウナーなボーカルにシンプルにまとめたノイジーなギターが鳴り響く展開。続く「Wait In The Car」は最初のシャウト気味のボーカルがまさにPixiesを彷彿とさせるナンバー。ノイジーなギターの後ろで鳴っているセカンドギターのリフがいかにもアルビニ節といった感じでうれしくなってくるナンバーです。

前作「Mountain Battles」ではラテン風な曲があったり、メロウなワルツのナンバーがあったりといままでの彼女のスタイルにとどまらない曲調を聴かせてくれましたが、今回のアルバムに関しては全編、ダウナー気味のボーカルとノイジーなガレージギターという展開が続き、楽曲のバリエーションは乏しく感じますが、一方でThe Breedersらしい曲が並んだアルバムとも言えます。

ただそんな中でも中盤「Waiting with a Killer」ではしっかりとメロディーラインを聴かせるナンバーとなっており、彼女たちのメロディーセンスを感じる曲になっていますし、続く「Howl At The Summit」では同じくゆっくり聴かせるナンバーながらもノイジーなギターの中、ストリングを取り入れたりと聴かせる曲が続きます・・・と思ったら、続く「Archangel's Thunderbird」ではいきなり爽快なギターリフからスタートする「ポップ」な雰囲気の漂う軽快なギターロックチューンに。このダウナーで聴かせる曲から一気に爽快なギターロックへという展開はこのアルバムの中で非常に心地よさを感じた瞬間でした。

そんな訳で10年ぶりとなる新作は良くも悪くもいままでの彼女たちから大きな変化は感じませんでしたが、ただThe Breedersに対するファンの期待にしっかりと応えたアルバムになっていました。ここちよいダウナーなギターロックを終始楽しめるアルバム。オルタナ系ギターロックバンドが好きなら間違いなく楽しめる作品です。

評価:★★★★

The Breeders 過去の作品
Mountain Battles


ほかに聴いたアルバム

Everything Was Beautiful,and Nothing Hurt/Moby

前作「These Systems Are Failing」では今の世界に対する怒りを表明したパンキッシュなアルバムをリリースしたMoby。新作では一転、美しいエレクトロサウンドを聴かせるチルアウトなアルバムをリリースしてきました。女性ボーカルを全面的に取り入れたドリーミーなサウンドが非常に心地よいアルバムになっており、特に「The Tired and the Hurt」では悲しくも美しいメロディーラインが印象に残ります。ある意味、いままでのMobyらしい方向性に戻った作品とも言えるアルバムですが、その中でも特に夢見心地のサウンドが全編に流れている作品でした。

評価:★★★★

MOBY 過去の作品
Go:The Very Best Of Moby

Last Night
Wait for me
Destroyed
Innocents
These Systems Are Failing(Moby and The Void Pacific Choir)

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