新生フランツ、久々の新作
Title:Always Ascending
Musician:FRANZ FERDINAND
2016年、ギターのニックことニコラス・マッカーシーが脱退。その後の動向が心配されたフランツ・フェルディナンドでしたが、2017年、ニックにかわってディーノ・バルドーとジュリアン・コリーという2人のギタリストが新規加入し5人組となった彼ら。新生フランツとしては初となるアルバムがリリースされました。直近作「FFS」はSparksとのコラボユニットだったのでフランツの純然たるオリジナルアルバムとしては約4年半ぶりのアルバムとなります。
ただ、新生フランツになったといっても基本的な路線はいままでと変わりません。今回のアルバムはタイトルチューンである「Always Ascending」からスタートするのですが、彼ららしい打ち込みのリズムが軽快なダンスポップチューン。続く「Lazy Boy」もギターサウンドでリズミカルに展開されるダンサナブルなポップチューンとなっています。
またギタリストが一人増えた、といっても音楽的にサウンドがいきなり分厚くなった、といった感じではありません。シンセでダンサナブルなリズムを刻みつつ、ちょっと憂いを帯びたようなポップなメロディーラインというスタイルは変わりませんし、サウンド的にも比較的シンプル。以前の彼らと同様、いい意味で頭をからっぽにしてダンスポップを楽しめるアルバムになっていたと思います。
ただその一方で今回の作品、「新生フランツ」を感じさせるような新たな音楽性も垣間見れた作品になっていました。例えば「Huck And Jim」などは分厚くノイジーなギターサウンドが入っており、ギターロックバンド然とした雰囲気を強く押し出しています。逆に「The Academy Award」はアコギのサウンドからスタート。途中からシンセも入るのですが、全体的に暖かみのあるフォーキーな雰囲気の楽曲になっています。
またほかにも「Finally」はどこか60年代のギターロック的な懐かしさを感じさせるナンバーになっていますし、ラストを飾る「Slow Don't Kill Me Slow」はメロウさを感じるミディアムテンポのメロディーラインを聴かせるナンバーに仕上がっていました。
全体的にはいままでのフランツらしさをきちんと残しつつ、ほどよいバランスで新たなスタイルにも挑戦したアルバムと言えるでしょう。メンバーチェンジにより新たな一歩をいい形で踏み出した作品。これからの彼らの活動が楽しみになる傑作でした。
評価:★★★★★
FRANZ FERDINAND 過去の作品
TONIGHT
Right Thoughts,Right Words,Right Action
FFS(FFS)
ほかに聴いたアルバム
10/30/96 SAPPORO,JAPAN COUNTERACTION/FUGAZI
伝説のハードコアバンドとして今なお多くのミュージシャンに支持を受けるアメリカのバンドFUGAZI。そんな彼らが1996年に札幌で行ったライブ音源がリリースされました。もともとは2011年に日本国内限定で1,000枚のみリリースされていたアルバムの再発だそうです。
その現場の空気をそのまま詰め込んだようなダウナーで非常に重いものの、迫力を感じさせるサウンドが印象に残るアルバム。バンドの演奏を待ちわびていた会場のファンの熱狂も伝わってきます。リアルタイムでライブを見たかったな、ということも強く感じさせるライブ音源でした。
評価:★★★★★
FUGAZI 過去の作品
First Demo
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2018年」カテゴリの記事
- 恒例のブルースカレンダー(2018.12.29)
- 大物然としたステージセットだけども(2018.12.28)
- オリジナルメンバー3人が顔をそろえる(2018.12.25)
- まさかの第2弾(2018.12.21)
- ディスコブームそのままに(2018.12.17)
コメント
フランツの新作は安定している部分と冒険している部分。双方の美点がちゃんと両立している良作ですね。
投稿: ひかりびっと | 2018年3月10日 (土) 17時46分
>ひかりびっとさん
このアルバムはいいアルバムでした。
投稿: ゆういち | 2018年3月17日 (土) 00時03分