キャリア25年目にして初の1位
今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/
先週も芸歴20年という「ベテランシンガー」が1位を獲得しましたが今週は25年目というベテランミュージシャンがなんと初となる1位獲得です。
今週1位は斉藤和義「Toys Blood Music」。今年デビュー25年目を迎えるベテランシンガーの彼ですが、シングルアルバム通じて1位獲得は初。斉藤和義といえば1994年にシングル「歩いて帰ろう」がスマッシュヒットを記録。1997年にリリースしたアルバム「ジレンマ」で初のベスト10ヒットを記録しているもののその後は低迷してしまいます。しかし、2000年代後半からその人気が上昇。2008年の「やぁ 無情」はデビューから15年目にして初となるシングルでのベスト10ヒットを記録。そしてご存じ「やさしくなりたい」がドラマ主題歌として大ヒットを記録し、一躍人気シンガーの仲間入りをして今に至っています。
彼みたいに一度ある程度売れて注目された後に人気が低迷した場合、復活するというケースはあまりありません。「人気が低迷」といっても一定以上の固定ファン層は確保していたのですが、徐々に彼の歌の良さが浸透していった結果と言えるでしょう。得てしてデビュー直後に大々的にプロモーションを実施し、華々しくヒットというケースが多いポップスシーンの中で彼のような売れ方は純粋に歌の良さが広がって行ったという意味でうれしく感じます。
ただし、初動売上は1万9千枚で前作「風の果てまで」の2万4千枚(2位)よりダウン。アルバム初動売上は2作連続のダウンとなってしまい、右肩上がりだった人気傾向は一段落といった感じになっています。
2位もベテランバンド。BUCK-TICK「No.0」が初登場でランクインです。こちらはデビュー30周年を迎えるバンド。ベスト3入りはなんと1995年にリリースされた「Six/Nine」以来23年ぶり。こちらはどちらかというとずっと固定ファンに支えられた一定の人気を確保してきた結果といった感じでしょう。直近作はベスト盤「CATALOGUE 1987-2016」でこちらの9千枚(6位)よりアップ。オリジナルとしての前作「アトム 未来派No.9」の1万7千枚(5位)からは微増となっています。
3位は先週から変わらず「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」がキープ。売上枚数は2万1千枚から1万6千枚にダウンしていますが、まだまだ強さを感じます。
続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にはスキマスイッチ「新空間アルゴリズム」がランクイン。カップリング曲集やコンセプトアルバム「re:Action」のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては3年4ヶ月ぶりと少々久々となる作品となっています。初動売上は1万6千枚。直近作の「re:Action」の1万枚(8位)よりアップ。ただし、オリジナルアルバムとしては前作の「スキマスイッチ」2万2千枚(6位)よりはダウンしています。
5位には人気動画サイトニコニコ動画で活動するゲーム実況、音楽制作ユニットM.S.S.Project「M.S.S.Phoenix」が初登場。初動売上1万4千枚は前作「M.S.S.Phantasia」の1万2千枚(4位)からアップしています。
8位には男性声優下野紘「Color of Life」がランクイン。6曲入りのミニアルバム。シングルはいままで3枚リリースしていますが、アルバムは初のリリースとなります。初動売上7千枚を記録。
9位にはソロミュージシャンとして高い人気を誇ったYUI(このバンドでの名義はyui)が結成したバンドFLOWER FLOWERの2枚目となるアルバム「スポットライト」がランクイン。yuiの出産があり、しばらく活動は停滞気味でしたが昨年からライブを中心に本格的に活動を再開。フルアルバムとしては3年半ぶり。ミニアルバム「色」以来でも約3年ぶりとなる新作となりました。初動売上7千枚は前作「色」の8千枚(10位)よりダウン。
最後10位には韓国の男性アイドルグループNCTの「NCT 2018 Empathy」がランクイン。初動売上は6千枚。様々な派生ユニットがあるようですが、これがNCTとしては初のアルバムリリースとなります。
さてロングヒット組では先週10位までランクダウンしていた安室奈美恵のベスト盤「Finally」が今週12位までダウンし、ついにベスト10から陥落しました。とはいえ昨年の11月20日付チャート以来、ずっとベスト10をキープしてきたわけで、その人気のほどに驚かされます。
もう一方で驚きなのが今週、米津玄師「BOOTLEG」が先週の13位からランクアップし7位にランクイン。1月15日付チャート以来10週ぶりにベスト10返り咲きです。これは今週のHot100でも2位にランクインしたシングル「Lemon」のヒットに伴ってのベスト10返り咲き。新譜リリースにともない過去のアルバムの人気が再燃するというあたり、楽曲以上にミュージシャン自身に注目が集まる点で米津玄師の強い人気をうかがわせる結果となっています。
今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!
| 固定リンク
「ヒットチャート2018年」カテゴリの記事
- 男性陣が上位を占める(2018.12.26)
- 星野源旋風吹き荒れる(2018.12.27)
- 「U.S.A.」が大きく躍進するも・・・(2018.12.19)
- 「U.S.A.」効果がアルバムにも?(2018.12.20)
- 男性アイドル勢が目立つチャート(2018.12.14)
コメント
ゆういちさん、こんばんは。
せっちゃんの再浮上のきっかけは個人的には2007年のBank bandによる“歌うたいのバラッド”のカバーではないかと思ってます。これがきっかけでミュージシャン斎藤和義に再び注目が集まり、翌年リリースのベスト盤で一気にブレークしたって感じです。
せっちゃんのような職人肌なミュージシャンがブレークしたことは、我々音楽ファンだけでなく同じミュージシャンにとっても喜ばしいことだったんじゃないかと思っています。
てか、中島みゆきの“糸”が注目されるきっかけもBank bandによるカバーなんですよね。何気にBank bandってスゲーなって思ってしまいました。
投稿: 通りすがりの読者 | 2018年3月23日 (金) 01時06分
>通りすがりの読者さん
Bank Bandがきっかけだったかどうかはわらかないのですが、彼のようなミュージシャンが注目を集めて人気を博するというのは素直にうれしい話です。アラフォー世代にとっては、今のヒット曲で「聴ける」曲が少ないだけに彼のようなベテランミュージシャンにはこれからも期待したいです。
投稿: ゆういち | 2018年3月27日 (火) 23時43分